長屋は空き家の3000万円控除の対象外?「なんで長屋はあかんのや!」大阪の長屋と制度のギャップを徹底解説【前編】
相続した空き家を売却した際、一定の要件を満たせば
譲渡所得から最大3,000万円を控除できる
「空き家の3,000万円特別控除」。
相続した実家の売却を考えている方にとっては、
とても大きな節税制度です。
しかし、大阪で長屋の売却相談を受けていると、
こんな声を耳にすることがあります。
「なんで長屋はあかんのや!」
マンションが対象外なのは何となく分かる。
でも、昔からある長屋まで対象外になると聞けば、
「それはおかしいんちゃう?」と思う方も少なくありません。
実は、この違いを分けているのは
**「長屋」という建物の種類ではなく、建物の登記**です。
ところが、建物の謄本を見る機会は
一般の方にはほとんどありません。
そのため、売却の話が進んでから初めて
「えっ、うちは区分所有建物やったん?」
と驚かれるケースもあります。
この記事では、空き家の3,000万円特別控除の制度を
分かりやすく解説するとともに、大阪の長屋ならではの
事情や、現場で感じる制度とのギャップについてお話しします。
空き家の3,000万円特別控除とは?
まずは制度を簡単に整理しておきましょう。
「空き家の3,000万円特別控除」は、
相続した被相続人(亡くなった方)の居住用住宅を売却した際、
一定の要件を満たせば譲渡所得から
最大3,000万円を控除できる制度です。
相続した実家を売却する際には非常に大きなメリットがあり、
利用できるかどうかで納める税金が大きく変わるケースもあります。
ただし、すべての建物が対象になるわけではありません。
その中でも、
大阪の長屋で注意したいのが区分所有建物です。
「長屋だから対象外」ではありません
ここは少し誤解されやすいポイントです。
インターネットでは、
「長屋は空き家の3,000万円控除の対象外」
と紹介されている記事もあります。
しかし、これは少し説明不足です。
正確には、長屋だから対象外なのではなく、
区分所有建物として登記されている建物は
制度の対象外となるため、
結果として対象外になる長屋があるということです。
つまり、長屋=対象外ではありません。
ここを勘違いしたまま売却を進めてしまうと、
「使えると思っていた控除が使えなかった」
ということにもなりかねません。
「これって運なん?」と思ってしまう理由
大阪には昔ながらの長屋が今でも数多く残っています。
同じ年代。
同じような間取り。
同じ路地に並んでいる長屋。
見た目では、ほとんど違いはありません。
それなのに、
「こちらの長屋は控除の対象。」
「隣の長屋は対象外。」
そんなケースも実際にあります。
一般の方からすれば、「これって運なん?」
と思ってしまいますよね。
でも実際は、運ではありません。
違いは、建物の登記内容です。
見た目では分からないため、
運のように感じてしまうだけなのです。
💬 フォローウィンド松本のひとこと
長屋のご相談を受けていると、
「長屋やから無理ですよね?」と聞かれることがあります。
でも実際は、一軒一軒登記が違います。
長屋というだけで判断できるケースは、
ほとんどありません。
だからこそ、まず確認していただきたいのが
建物の謄本です。
建物の謄本は一度確認してみましょう
「うちの長屋は対象になるんやろか?」
そう思ったときに、まず確認していただきたいのが
**建物の謄本(登記事項証明書)**です。
難しそうに感じるかもしれませんが、
見るポイントはそれほど多くありません。
特に確認したいのが、
「専有部分の表示」
という記載があるかどうかです。
この記載がある場合は、
区分所有建物として登記されているため、
空き家の3,000万円特別控除は適用対象外とほぼなります。
反対に、この記載がないからといって必ず控除が
利用できるとは限りませんが、まずはここを
確認することで大きな判断材料になります。
売却の話が進んでから
初めて建物の謄本を見る方も少なくありません。
だからこそ、相続した長屋を売却しようと思ったら、
早い段階で一度確認しておくことをおすすめします。
大阪の長屋は「一軒一軒違う」
私自身、大阪市内で長屋の売却相談を
受けていて強く感じることがあります。
それは、長屋は一軒一軒、本当に違う。
ということです。
例えば、
- 建物の登記
- 接道状況
- 境界の考え方
- 再建築できるかどうか
- 増改築の履歴
これらは同じ長屋でも全く異なります。
見た目はそっくりでも、
中身は別の不動産と言ってもいいくらいです。
そのため、
「長屋やから大丈夫。」
「長屋やから無理。」
どちらも正しいとは言えません。
一軒ごとに確認するしかないのです。
昭和初期から残る長屋は一戸建て登記も見かけます
現場で長屋を見ていると、一つ感じることがあります。
築80年、90年、中には100年近いと思われる長屋では、
一戸建てのような登記になっているケースも少なくありません。
一方で、比較的新しい長屋では、区分所有建物として
登記されているケースを目にすることもあります。
もちろん、
「古い長屋だから大丈夫」
「新しい長屋だから対象外」
という話ではありません。
建物が建てられた時代だけで決まるものではなく、
その後の登記の経緯や建築時の取り扱いなどによって
変わるためです。
あくまでも現場で感じる傾向であり、
最終的には建物の謄本を確認しなければ判断できません。

「制度」と「現場」にギャップを感じることも
制度の趣旨を考えれば、区分所有建物が
対象外になっている理由は理解できます。
しかし、大阪で古い長屋を所有されている方からすると、
「マンションが対象外なんは分かる。
でも、うちの長屋まで一緒なん?」
という気持ちになるのも無理はありません。
しかも、その違いは見た目では分からず、
建物の謄本を確認して初めて分かるケースがほとんどです。
だからこそ、「知らなかった。」
「誰も教えてくれなかった。」
という声が出てしまうのだと思います。
制度そのものを変えることはできません。
でも、売却前に建物の登記を確認することで、
防げることはたくさんあります。
相続した長屋を売却する際は、価格だけでなく、
税金まで含めた資金計画を立てることが大切です。
次回予告
今回ご紹介したように、
長屋だからといって必ず空き家の3,000万円特別控除の
対象外になるわけではありません。
しかし実際には、
「控除が使えると思って売却したのに、
後から対象外だと分かった…」というケースも起こり得ます。
売却代金を受け取った後に想定外の税金が発生すると、
資金計画が大きく狂ってしまうこともあります。
後編では、
「税金はかからへんと思っていた…」という
実際に起こり得る事例をもとに、
売却前に確認しておきたいポイントや、
制度と現場のギャップについてさらに詳しく解説します。

- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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