お金と手間の負担
今月の初めに大阪府豊中市某所にある
借地物件の査定に行きました。

元々、親御さんがお住まいだった長屋でしたがお亡くなりになり
その後、お姉様がお住まいだったそうです。

そして今では空き家で10年ほど経過しているとの事でした。
ここ数年は依頼者である弟さんが誰も住んでいない家の土地代を払っているそうです。
地代は1か月12,500円なのでそんなに安いわけではありません。

当然、売れるなら誰しもが売りたいケースです。

まず最初に地主さんの窓口になっている不動産会社に相談したそうですが
こう言われたそうです。
『更地にして返すのが本来ですが長屋なので難しいので解体費用相当分を
地主さんに払ってもらえば返却と見なしますよ』
その金額は100万円だったそうです。

住んでいない家にそんなに払うのは誰しもが厳しいお話です。
・・ということで弊社に売却査定のご依頼をいただきました。

名義変更料や新地代(名義が変わった際に土地代を上げるのが通例)を
まだ確認されていなかったので具体的な話はできませんでしたが
家の状態を見たところ、どちらにしても出費は出そうな感じでした。

要は解体相当分を払うのと売って損した分を払うのとどちらが安いか・・。
毎月の土地代と家のリフォームを考えると売却しても数十万円が相場と思います。
・・というのも過去にもその近くで借地物件を数軒売却したことがあったので
相場観があるエリアだったからです。

しかしお話を伺えば伺うほど地主さんは売却ではなく返してほしい意向に聞こえます。

この場合、仮に50万円で売却したとしても家財が多く残っていることと相続登記が必要なこと、
そして名義変更料を払い、仲介手数料を払えば売主さんも
かなりのマイナスになりそうな感じでした。

おそらく購入した方はリフォームで300~400万円程度はかかりそうです。

査定の最後は地主さんに名義変更料と新地代を確認するという事でしたが
確認する際に解体費用相当分を安くしてもらえないかの相談もされたほうがいいと思いますと
言って別れました。

まだその後の連絡は来ていませんが
私の予想では室内の家財を撤去して地主さんに解体相当分を安くしてもらい
地主さんに返却されると考えています。
もちろん売却したほうが売主さんにとって得であれば頑張って売却活動を行いますが・・
地主さんに返した方がお金と手間の負担が減るのでは・・と考えているからです。

しかし建物の状態がかなりひどい場合には
正直、売却価格がつかない物件もあります。特に借地で地代が高い場合は・・。

これが土地付だったとしても再建築不可で路地奥や車が侵入できず
建物リフォームに数百万円は最低かかる物件の場合であれば、
その場所、エリアによっては売却価格が出ない物件もあります。

大阪市内ではあまりありませんが
売買の流通性のこともあり、地方の空き家問題はそういう物件が多いと思います。
本当に難しい問題ですね・・。

