「住宅ローン50年、火災保険は5年!」完済までに10回も入り直すんか~い!
最近、住宅ローンの返済期間が長くなっている。
昔は住宅ローンといえば35年が一般的だったが、
今では50年ローンを利用して住宅を購入する人もいる。
土地も建物も高くなった。
建築費もリフォーム費も上がった。
若い世帯が毎月の返済額を抑えようと思えば、
返済期間を長くするのも一つの方法だろう。
しかし、ここで一つ気になることがある。
住宅ローンは50年やのに、火災保険は最長5年。
単純に考えれば、完済するまでに
最大10回も火災保険へ入り直すことになる。
家より先に、火災保険が9回も満期を迎えるやないか~い!
昔は住宅ローンと同じ35年契約ができた
以前は、住宅ローンの返済期間に合わせて
火災保険へ35年一括で加入することができた。
住宅を購入するときに35年分の保険料をまとめて支払えば、
住宅ローンを完済するまで火災保険の満期を
それほど心配しなくてよかった。
実は、私の自宅もこの長期契約である。
現在、築17年。
ところが火災保険は、まだ18年も残っている。
17年と18年を足せば35年。
自慢するような話ではない。
ないのだが、火災保険が最長5年になった
今では、ちょっとだけ自慢したくなる。
今、新築住宅を購入する人は、
5年ごとに契約を更新しなければならない。
50年ローンなら、完済まで最大10回である。
新築時には30歳だった人も、10回目の更新を迎える頃には80歳。
80歳になっても、
火災保険の更新案内を開けなあかんのか。
私はその頃、とっくに35年分の補償が終わっているが、
少なくともあと18年は更新案内を見なくてよい。
申し訳ない。
やっぱり少しだけ自慢している。
35年から10年、そして5年へ
火災保険の契約期間は、段階的に短くなってきた。
2015年10月以降は最長10年となり、
2022年10月以降の新規契約では原則として最長5年になった。
背景には、台風や豪雨などの自然災害があり、
保険会社にとって何十年も先のリスクや保険料を
見通すことが難しくなった事情がある。
契約期間が短ければ、その時々の災害リスクや
建築費の変化を保険料へ反映しやすくなる。
保険会社の事情としては理解できる。
しかし住宅所有者からすれば、5年後に同じ補償内容、
同じ保険料で更新できる保証はない。
50年ローンを組んだときに分かるのは、
今の返済額と今の保険料である。
10年後、20年後、30年後の火災保険料までは分からない。
住宅ローンは長期化したのに、火災保険は短期化した。
何でそっちは反対方向へ行くねん!
火災保険が最長5年となった経緯については、
保険会社の案内でも確認できる。

マンションの火災保険は比較的分かりやすい
同じ住宅でも、建物の構造によって
火災保険料や加入時の確認事項は異なる。
鉄筋コンクリート造などのマンションは、
一般的に耐火性能が高い。
木造住宅と比べると保険料が抑えられやすく、
専有部分の契約も比較的分かりやすい。
中古マンションを購入する場合、建物全体ではなく、
基本的には自分が所有する専有部分や家財について
火災保険を検討する。
共用部分については、
通常、管理組合が別に保険へ加入している。
マンションだから絶対に安心というわけではないが、
構造や管理の仕組みが明確なので、保険の話も進めやすい。
ところが、古い木造長屋になると様子が変わる。
「昭和の木造長屋です」で空気が変わる
私のところには、古い長屋の売却や買取相談が多い。
不動産の売買価格が決まれば、それで終わりではない。
購入後は火災保険も必要になる。
保険会社や代理店へ問い合わせる。
「建物の構造は何ですか?」
「木造です」
「建築年月はいつですか?」
「昭和です」
「一戸建てですか?」
「隣と壁がつながっている長屋です」
ここで電話の向こうの空気が、
少し変わったような気がする。
もしもし?聞こえてますか~?

もちろん、長屋だから
必ず火災保険へ加入できないわけではない。
長屋は保険上、共同住宅として扱われる場合がある。
ただし木造か、耐火性能があるか、どのような用途で使うのか、
現在人が住んでいるのか、空き家なのかなどによって、
構造級別や引受条件が変わる。
築年数が古く、雨漏りや建物の傷みがあり、
長期間空き家になっている物件なら、
希望する補償内容で簡単に加入できるとは限らない。
保険会社によっても取扱いや確認内容が違うため、
何社か相談してようやく契約先が見つかることもある。
建物が200万円、300万円で買えたからといって、
火災保険まで簡単で安いとは限らないのである。
長屋やマンションなどの共同住宅でも、柱の構造や耐火性能によって
構造級別が分かれることは、保険会社の資料にも示されている。
長屋は隣から火が来ることもある
長屋で怖いのは、
自分の家だけを注意していればよいとは限らないことだ。
隣家と壁や屋根がつながっている。
自分は火の元に気をつけ、コンセント周りも掃除し、
古い家電も交換している。
それでも隣から火が出れば、延焼する可能性がある。
反対に、自分の家から出火して隣へ被害を広げる恐れもある。
火災保険だけでなく、個人賠償責任や施設賠償責任など、
その建物の使い方に応じた補償も検討しなければならない。
賃貸に出すなら、大家としてのリスクも加わる。
水漏れ、外壁の落下、設備の不具合など、
火事以外の事故も考える必要がある。
売買価格ばかりに気を取られ、決済直前になって、
「ところで、この長屋の火災保険は入れるんか?」
では遅い場合がある。
古い長屋を購入するときは、契約前から保険会社や代理店へ
相談しておいたほうが安心である。
火災保険は家を持つ限り付いて回る
不動産を購入するときは、
どうしても売買価格や住宅ローンに目が向く。
しかし購入後には、固定資産税、修繕費、管理費、
修繕積立金、そして火災保険が待っている。
火災保険は、住宅購入時に
一度だけ支払って終わる費用ではなくなった。
5年ごとに補償内容を確認し、その時点の保険料で更新する。
建物が古くなるにつれて、
必要な補償や加入条件が変わる可能性もある。
住宅ローンを50年に延ばして毎月の返済額を抑えても、
将来の維持費まで消えるわけではない。
むしろ家を長く持つほど、火災保険との付き合いも長くなる。
住宅ローン50年。
火災保険は最長5年。
完済まで最大10回の契約。
それだけでも大変なのに、
今後さらに契約期間が短くなったらどうなるのか。
35年から10年、そして5年。
この流れでいけば、次は3年。
最後は最長1年になったりして。
住宅ローンを完済するまで、火災保険を50回更新。
毎年届く更新案内は、もはや年賀状である。

その点、私の自宅は築17年だが、火災保険はあと18年残っている。
自慢やないで。
いや、ほんまに自慢するようなことではない。
けど今の時代なら――
ちょっとだけ自慢してもええか。
かたじけない・・。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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