「家より車のほうが高いやないか~!」200万円の大阪の長屋、本当にそんな価値しかないんか? ~衣食住の“住”が高級車より安い時代。それでも長屋がお荷物になる理由~
~衣食住の“住”が高級車より安い時代。それでも長屋がお荷物になる理由~
大阪の街を車で走っていると、
ピカピカの高級車をよく見かける。
大きな外国製SUV、迫力のある四輪駆動車、高級セダン。
車にあまり詳しくなくても、
「これは高いやろな」と分かる車が、
梅田や難波だけでなく普通の住宅街にも停まっている。
500万円、700万円、
中には1,000万円を超える車もあるだろう。

その立派な車が信号待ちをしている横には、
築年数の古い長屋が並んでいる。
不動産情報を調べてみたら、販売価格は250万円。
ちょっと待て。
家より、前に停まっている車のほうが高いやないか~!
車1台の値段で、長屋が2軒買える?
冷静に考えると不思議な話である。
車は移動するための道具だ。
どれだけ大切に乗っていても、走行距離は増え、
タイヤや部品は傷み、いつか買い替える時期が来る。
基本的には消耗品である。
一方、長屋は人が生活する場所だ。
屋根がある。壁がある。台所、風呂、トイレがある。
夜になれば布団を敷いて眠れる。
雨の日も風の日も、人の生活を守ってくれる。
土地が所有権なら、建物が古くなっても土地は残る。
衣食住の「住」である。
それが200万~300万円。
街を走る高級車より安いどころか、
車1台の値段で長屋が2軒、場合によっては3軒買えてしまう。
なんぼ古いからいうても、安すぎへんか?
人が暮らす場所やで。
そう思うのも無理はない。

長屋は買ってからもお金がかかる
しかし、200万~300万円で売られている長屋には、
それなりの理由がある。
まず建物が古い。
雨漏り、シロアリ、床の傾き、古い給排水管。
浴室は昔ながらのタイル張りで、トイレは和式。
窓や建具も傷んでいるかもしれない。
販売価格は250万円でも、普通に住める状態まで直そうとしたら、
リフォーム費用が300万円、400万円とかかることもある。
「長屋よりリフォーム代のほうが高いやないか~!」
という話になってくる。
さらに、長屋には一戸建てとは違う難しさがある。
隣家と壁や柱を共有する連棟式なら、
自分の家だけを簡単に解体できるとは限らない。
切り離しには隣家との協議が必要になり、
切り離した壁の補修も考えなければならない。
前の道が狭い。
建築基準法上の道路に接していない。
再建築ができない。
借地になっている。
境界がはっきりしない。
そうした条件が重なれば、欲しい人は少なくなる。

車なら買取店、長屋はどこへ持っていく?
車には分かりやすい出口がある。
新しい車に乗り換えたくなったら、
ディーラーや中古車買取店へ持っていけばよい。
値段は下がっても、
一般的な車なら査定をして買い取ってもらえる。
ところが、長屋はそう簡単ではない。
「もう使わへんから売ろう」
と思って不動産会社に相談しても、
「再建築不可なので難しいです」
「連棟式は取り扱っていません」
「借地は買取できません」と断られる場合がある。
売却価格を下げても買主が見つからない。
それでも所有している限り、
固定資産税や修繕、建物管理の責任は残る。
屋根材が飛んだ。
外壁が崩れた。雑草が伸びた。隣から苦情が来た。
空き家になっても、所有者は知らん顔をできない。
車なら置いておくだけでも駐車場代がかかるが、
最終的には処分できる。
しかし古い長屋は、欲しい人が現れなければ、
処分したくても処分できないことがある。
つまり200万円の長屋は、価値が低いというより、
購入後に引き受ける責任と、将来の売りにくさまで
価格に織り込まれているのだろう。
それでも家賃5万円なら面白い?
もちろん、安い長屋にも使い道はある。
250万円で購入し、300万円かけてリフォームしたとする。
諸費用を別にすれば、合計550万円だ。
それを月額5万円で貸せれば、年間家賃収入は60万円。
計算上の利回りは決して悪くない。
自分で住むなら、家賃を払い続けるより
安くなる人もいるだろう。
趣味の部屋、事務所、倉庫として活用できる物件もある。
立地がよく、建物の状態も比較的良好なら、
「なんでこんなに安いんや」と思う掘り出し物もあるかもしれない。

ただし、安いから買うのではなく、
何に使えるのかを決めてから買うことが大切だ。
高級車を買う人は、
その車に乗りたいという目的がはっきりしている。
ところが長屋の場合、
「200万円なら安いし、とりあえず買っておこう」
と考える人がいる。
不動産は動かせない。
あとから不便に感じても、駅の近くへ移動できない。
前道を広げることも、
再建築不可を簡単に解決することもできない。

安い不動産ほど、買う理由よりも、
将来どう手放すかまで考えておかなければならない。
車には人気がある。古い長屋には人気がない

結局、価格を決めるのは
「衣食住としてどちらが大切か」だけではない。
欲しい人が何人いるか。
そして、次に売れるかどうかである。
高級車には憧れがある。
ピカピカの車で街を走れば、本人も気持ちがよい。
家族や友人にもすぐ分かる。
趣味、満足感、便利さ、ステータスまで含めて価値が付く。
一方、200万円の長屋を買っても、
「うわっ、すごい!長屋買うたんや!」
とは、なかなか言われない。
「雨漏りしてへん?」
「隣と壁つながってるん?」
「再建築できるん?」
「それ、最後に売れるの?」
まず心配される。
高級車は、多くの人が欲しがる。
古い長屋は、使いこなせる人しか欲しがらない。
この買いたい人の数の違いが、
価格に表れているのだろう。
車が高すぎるんか?長屋が安すぎるんか?
200万円の長屋は、
本当に200万円分の価値しかないのだろうか。
私は、そうではないと思う。
雨風をしのぎ、人が生活できる。
直して貸せば家賃を生むこともある。
土地が残り、何十年も人の暮らしを支えてきた。
ただし、建物が古く、使い方が限られ、所有する責任も重い。
そして将来の出口が見つかりにくい。
価値がないから安いのではない。
その価値を生かせる人が少なく、責
任まで背負える人も少ないから安い。
そう考えると、200万~300万円という価格にも理由はある。

それでも大阪の街を走れば、
500万円、700万円の車が次々と横を通り過ぎていく。
その車が停まっている家の近所では、
古い長屋が「価格280万円」で売りに出されている。
車は、いつか乗れなくなる。
長屋も、いつか大きな修繕が必要になる。
どちらもお金はかかる。
しかし一方は移動するための道具で、
もう一方は人が暮らす場所である。
それなのに、家より車のほうが高い。
やっぱり最後に、これだけは言わせてほしい。
車が高すぎるんか?
長屋が安すぎるんか?
衣食住の“住”やで。世の中、どないなっとるんや!
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
どんな物件買取もお任せ下さい!
若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!
家の買取や売却のご依頼・ご相談は
ワンちゃんと古い家が大好きな白髪交じりの私・松本が全てご対応いたします!
