「時間かけて高く売るつもりやったんです」 2年かけて売れた大阪市内・居住中一戸建の“本当の結果”
「急いでへん。時間かけて高う売るんや」
「急いでへんのです。
時間かけて、ちゃんと高く売りたいんです。」
大阪市内で、長年住んできた一戸建て。まだ居住中。
築年数はそこそこやけど、
手入れもしてきたし、思い入れもある。
そんな状況で売却を考え始めた
60代後半のご婦人が、最初に口にされた言葉です。
この考え方、実はかなり多い。
- 急ぐ理由はない
- 住みながら売れる
- 時間をかければ、いい条件で売れるはず
一見、冷静で理にかなっているように見えます。
ただ、このケースは結果的に売れるまで2年かかり、
最後はこう言われました。
「正直……もう疲れてしもて。ええです、安うても。
もう終わらせたいんです。」
この記事では、「時間をかけて高く売ろう」とした結果、
何が起き、何が変わり、**本当に“高く売れたのか”**を
時系列で追っていきます。

売却スタート時の状況|条件は悪くなかった
物件は大阪市内の住宅地。
駅からは徒歩圏内。前面道路も問題なし。
- 居住中の一戸建
- 大きな修繕履歴あり
- ご本人は引っ越し予定なし
「住みながら、ええ条件の人を待つ」という
戦略自体は、間違いではありません。
ご婦人自身も、「安売りするつもりはない」
「時間を味方につけたい」はっきりされていました。

1社目の仲介会社|「この価格でいけますよ」
最初に依頼した仲介会社は、かなり強気でした。
- 「大阪市内ですし」
- 「今は相場も悪くない」
- 「時間かけたら、この価格狙えます」
ご婦人も納得し、相場より
やや高めの価格で売り出し開始。
ただ、ここから少しずつズレが出始めます。

内覧が入らない、理由が分からない
売り出して数か月。
- 問い合わせはある
- でも内覧につながらない
- 反応が薄い
仲介会社からは「様子見ましょう」「そのうち動きます」
時間はある。急いでへん。だから待つ。
この判断が、後から効いてきます。

2社目へ変更|「今度こそちゃんと売りたい」
半年以上経ち、ご婦人は不安になります。
- 本当にこの価格でええんやろか
- ちゃんと動いてくれてるんやろか
そこで、仲介会社を変更。
2社目は少し現実的でした。
- 「価格、少し見直しましょうか」
- 「居住中はハードルになります」
ただ、ご婦人の気持ちはこうです。
「せっかくここまで待ったんやし、
もう少し様子見たいです。」
価格は小幅調整のみ。売却は続行。

居住中売却の“見えないストレス”
この頃から、ご婦人の口から
こんな言葉が増え始めます。
- 「内覧のたびに片付けるのがしんどい」
- 「生活見られるのが嫌になってきた」
- 「いつ売れるか分からへんのが不安」
居住中売却は、時間が長引くほど、
精神的に効いてきます。
最初は「住みながらで大丈夫」と思っていても、
- 予定が縛られる
- 期待と落胆を繰り返す
- 気持ちが削られていく
これが、じわじわ積み重なります。

3社目へ|「もう、どうしたらええんか分からへん」
売却開始から1年半。結果は出ていません。
ご婦人は言われました。
「もう3社目です。でも、どこも同じこと言うんです。」
- 価格を下げた方がいい
- 居住中は厳しい
- 市場の反応が鈍い
頭では分かっている。でも、心が追いつかない。
「ここまで待ったのに」
「今さら下げるのは悔しい」
この感情が、判断をさらに難しくします。

そして2年後|「もう疲れました」
売り出しから約2年。
内覧のたびに気を使い、価格調整を繰り返し、
仲介会社も3社目。
最終的にご婦人が選んだのは、「もうええです。
多少安うても、早く終わらせたいです。」
結果、当初想定していた価格よりかなり
下がった条件での買取となりました。

2年かけて…果たして「高く売れた」のか?
結論から言います。
金額だけ見たら、
「時間をかけて高く売れた」とは言えません。
当初、1社目が提示した想定価格。そこから2年。
- 価格は段階的に下がり
- 最後は仲介ではなく買取
- 当初想定より、はっきり分かる差が出た
しかもここで見落とされがちなのが、
**「2年間で失ったもの」**です。

時間をかけた“本当のコスト”
このご婦人が2年間で支払ったコストは、
お金だけではありません。
① 精神的コスト
- 内覧のたびに落ち着かない
- 期待しては、断られる
- 「まだ売れへんのか…」という不安
これが2年続くと、想像以上に気力を削られます。
後半になるにつれ、ご婦人の口からは
「もう判断するのもしんどい」
という言葉が出るようになりました。

② 生活の自由度
居住中売却は、時間が延びるほど生活を縛ります。
- 予定を入れにくい
- 突然の内覧連絡
- 常に家を“見せる前提”で保つ
最初は「それくらい大丈夫」と思っていても、
2年続くと話は別です。

③ 判断力の低下
一番大きかったのが、これです。
長期化すると、
- 冷静な判断ができなくなる
- 「もうここまで来たから…」と引けなくなる
- 条件比較ができなくなる
結果、最後は「一番楽な選択」を選びやすくなる。
これは決して弱さではなく、人として自然な反応です。

なぜ途中で方向転換できなかったのか
後から振り返ると、「もっと早く
切り替えられたんちゃうか?」と思えます。
でも、当時は難しかった。
理由ははっきりしています。
「時間をかけた分だけ、引き返しにくくなった」
- 半年待った
- 1年待った
- 1年半待った
この積み重ねが、「今さら安く売るのは悔しい」
という気持ちを強くしました。
これは、時間をかけた人ほどハマりやすい心理です。

「時間をかけて高く売る」が向いている人
ここで誤解してほしくないのは、この戦略自体が
完全に間違いではないという点です。
向いている人もいます。
- 居住していない
- 生活に一切影響がない
- 市場を冷静に見られる
- 条件が合わなければ売らない覚悟がある
こういう人は、時間を武器にできます。

逆に、向いていなかった人
今回のご婦人は、正直こちら側でした。
- 居住中
- 生活のストレスがある
- 「いつかは売りたい」と決めている
- でも、決断は先送りしたい
この条件がそろうと、時間は味方ではなく、
じわじわ負担になります。

最後にご婦人が言われた一言
引き渡しが終わったあと、ご婦人がぽつっと
言われた言葉が、この話を象徴しています。
「最初に“どこまで頑張るか”を
決めといたらよかったわ…」
- いくら以上なら売る
- ここまで下がったらやめる
- ここまで来たら買取に切り替える
これを決めないまま、
「時間かけたら何とかなる」で進んだこと。
それが一番の後悔やったそうです。

結論|時間をかければ、高く売れるとは限らない
このケースから言えることは、とてもシンプルです。
「急がない」と「長引かせる」は、別物。
- 急がなくていい
- でも、判断は先送りしない
- ゴールと撤退ラインを決めておく
これがないと、時間は“味方”ではなく
消耗戦になります。

これから売る人へ
もし今、「急いでへんし、時間かけて高う売るつもり」
そう考えているなら、
一度だけ立ち止まってください。
- どこまで粘るか
- いつ切り替えるか
- しんどくなったらどうするか
ここを決めた上でなら、
時間をかける価値はあります。
決めずに進むと、最後は今回のご婦人と同じく、
「もう疲れたから、安くてもええわ…」
になりかねません。

