「解体費のほうが売却価格より高いやないか~!」大阪の狭小地を更地にして失敗した人から学ぶ古家・長屋売却 ~前道・間口が狭い土地、再建築不可物件は解体前の査定が鉄則です~

~前道・間口が狭い土地、再建築不可物件は解体前の査定が鉄則です~

 

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「古い家が残っていたら売りにくいやろ?」

 

「家財を片付けて、建物も解体して、

きれいな更地にした方が高く売れるんとちゃう?」

 

古家の売却相談を受けていると、

このような話をよく聞きます。

 

確かに、建物を解体して更地にすれば、

土地の形状が分かりやすくなり、

買主も新しい家をイメージしやすくなります。

 

大阪市には、一定の地域や条件を満たす老朽住宅について、

解体費の一部を補助する制度もあります。

大阪市・狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度

 

 

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「補助金も出るんやったら、先に解体した方が得やん!」

そう考える気持ちも分かります。

 

ところが、すべての古家が

「解体したら売りやすくなる」とは限りません。

 

物件によっては、お金をかけて建物を壊した結果、

かえって売りにくくなることがあります。

 

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「補助金が出る」と「安く解体できる」は別の話

 

近年は人件費、廃材処分費、運搬費などが上がり、

古家・長屋の解体費も高くなっています。

 

補助制度を利用できたとしても、

解体費が全額出るわけではありません。

 

対象地域、建物の状態、道路条件、

申請時期などによって利用できる制度は異なります。

 

何より注意したいのは、原則として工事を始める前に

申請や確認が必要になることです。

 

解体業者と契約して、重機が屋根を半分壊してから、

「ところで補助金、もらえますか?」

市役所へ聞いても遅い可能性があります。

 

役所の担当者も、さすがに壊れかけの家を

元へ戻して申請前の状態にはできません。

 

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そして、補助金が出たとしても、解体費そのものが

高くなれば、売主さんの負担は残ります。

 

以前なら150万円ほどで済んだかもしれない工事が、

条件によって200万円、250万円と膨らむ。

 

そこから補助金が出ても、

売主さんが期待したほど安くならないことがあります。

 

補助金が出ることと、解体した方が得になることは、まったく別の話です。

 

ここを混同したらあきません。

 

 

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大阪の古家は「小さいから解体費も安い」とは限らない

 

大阪市内や東大阪市、守口市、門真市などの古い住宅地には、

間口の狭い家や細い路地に面した長屋が数多く残っています。

 

家の前に軽自動車が来たら、自転車を壁際へ寄せる。

 

宅配便のトラックが止まったら、後ろに車が3台並ぶ。

 

向かいのおばちゃんが玄関を開けたら、

こちらの晩ご飯まで見える。

 

それも昔ながらの大阪らしい風景です。

 

ところが、その家を売る、建て替える、解体するとなった瞬間、

狭い道路と間口が一斉に売主さんへ牙をむきます。

 

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前道が広ければ、大型の重機やダンプを入れ、

壊した廃材をまとめて搬出できます。

 

しかし、前道が狭くて大型車両が入れなければ、

小型重機を使うか、人の手で解体する部分が増えます。

 

廃材も小分けにして運び出し、

小型トラックで何度も往復しなければなりません。

 

隣家との隙間がほとんどなければ、養生にも手間がかかります。

 

屋根や外壁がつながった長屋なら、隣家との切り離し、

補修、雨仕舞いなども検討しなければなりません。

 

つまり、

 

  • 建物は小さい
  • 土地も小さい
  • 間口も狭い
  • 道路も狭い

 

それなのに、解体費の単価は高くなる。

 

普通の人からすれば、納得しにくい話です。

「家がちっちゃいんやから、解体費も安いやろ?」

 

見積書を開いたら250万円。

「この家、壊すときだけ急に豪邸扱いされとるやないか!」

 

笑いたくなりますが、

売主さんにとっては笑われへん問題です。

 

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売るときは安く見られ、壊すときは割高になる

 

間口や前道の狭い土地は、売却査定にも影響します。

 

建築会社が土地を購入して新築住宅を建てる場合、

資材を積んだトラックや工事車両を

現場へ入れなければなりません。

 

道路が狭ければ工事効率が落ち、建築費も上がります。

 

土地が小さく、セットバックまで必要になれば、

実際に建物を建てられる面積が

さらに小さくなる可能性もあります。

 

国土交通省も、幅員4メートル未満の道路や無接道の敷地を、

接道規制上の課題として挙げています。

 

細い道に見えても建築基準法上の道路である場合、

道路ではない場合、セットバックが必要な場合などがあり、

見た目だけでは判断できません。

 

国土交通省・狭あい道路整備の必要性

 

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売主さんにとってつらいのはここです。

 

前道が狭いから、土地の査定額は下がる。

間口が狭いから、買える建築会社も限られる。

重機が入らないから、解体費は高くなる。

 

つまり、

売るときは安く見られ、壊すときは高く取られる。

 

狭小地の泣きっ面に、

解体見積書がフルスイングで飛んでくるわけです。

 

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更地にしてから分かった「再建築不可」

 

以前、建物を解体して更地にしたものの、

売却できずに困ったお客さんから相談を受けたことがあります。

 

相談者としては、古い家を残しておくより、

きれいな土地にした方が売れると考えたのでしょう。

 

家財を処分し、費用をかけて建物を解体した。

雑草もなく、空から見たら実にきれいな更地です。

 

ところが調査してみると、再建築が難しい土地でした。

 

そのうえ、間口が狭い。前道も狭い。

土地面積も小さい。

 

新しい家を建てることができない。

駐車場にするにも車が入りにくい。

 

資材置場として使うには狭すぎる。

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古家が残っていれば、改装して自分で住む、

賃貸住宅として貸す、収益物件として購入するという

可能性が残っていたかもしれません。

 

しかし、自分のお金で建物を解体したため、

その可能性までなくなってしまいました。

 

そして、解体費の見積書と更地の売却査定額を見比べて、

思わず出てくるのがこの言葉です。

 

「ちょっと待って!

解体費のほうが売却価格より高いやないか~!」

 

土地を売ったらお金が入ってくると思っていた。

 

ところが、解体費が250万円、

更地の売却価格が200万円なら、差し引き50万円の持ち出しです。

 

実際には家財処分費、登記費用、仲介手数料、

測量費などが加わる可能性もあります。

 

「土地を売るのに、なんでワシが追い銭せなあかんねん!」

 

ごもっともです。

けれど、建物はすでにありません。

 

壊した家を元へ戻すこともできません。

 

 

古家が残っていること自体に価値がある場合もある

 

古家は、必ずしも邪魔者ではありません。

 

雨漏りしている。床が沈む。設備が古い。

家財が大量に残っている。

 

見た目だけなら

「こんな家、壊すしかない」と感じるでしょう。

 

しかし、古家を専門に扱う不動産会社や買取会社は、

そのまま利用できるのか、どこまで改修すれば貸せるのか、

隣家と切り離せるのか、収益物件として成立するのかを考えます。

 

一般のお客さんには売りにくくても、不動産会社が買い取り、

改装して再生できる場合があります。

 

特に再建築不可物件では、

今ある建物が利用できること自体が重要です。

 

更地にしたら新しい建物を建てられない。

 

しかし、既存建物が残っていれば、法令や建物の状態を

確認したうえで、改修して使える可能性がある。

 

その古家は、

土地に残された最後の使い道かもしれないのです。

 

大手不動産会社へ持っていきにくい物件ほど、

先に専門会社へ相談する

 

間口が狭い。前道が狭い。土地は10坪ほど。

 

家財はそのまま。雨漏りもある。

再建築できるか分からない。

 

このような物件を所有している人は、

大手不動産会社へ相談すること自体に

気後れすることがあります。

 

梅田の立派なビルに入り、ピカピカの受付で、

「前道1.8メートル、間口2メートルほどの古家なんですけど……」

と説明する。

 

まだ断られてもいないのに、

相談者の気持ちはすでに負け試合です。

 

しかし、大阪にはそのような物件がたくさんあります。

 

狭い道も、狭い間口も、長屋も、借地も、

再建築不可も、大阪の不動産市場の一部です。

 

大切なのは、立派な店舗へ持っていくことではありません。

 

その物件を実際に見て、道路、接道、建物、権利関係、

解体費、改装費、売却先まで考えられる会社へ相談することです。

 

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解体する前に確認したいこと

 

古家を解体する前には、

少なくとも次の内容を確認してください。

 

建築基準法上の道路へ接しているか。

 

接道間口は足りているか。

 

セットバックが必要か。

 

建物は単独の一戸建なのか、隣家とつながった長屋なのか。

 

借地ではないか。解体後は誰が、何の目的で買うのか。

 

そして、古家付きのまま売る価格と、

更地にして売る価格にどれくらい差があるのか。

 

査定額が100万円上がっても、解体に200万円かかるなら、

売主さんは100万円損をします。

 

「更地の方が高く売れる」という言葉だけでは足りません。

 

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いくら高く売れ、そのためにいくら必要なのか。

 

ここまで計算して、初めて比較できます。

補助制度も役立ちます。

 

しかし、「補助金が出るから壊す」のではなく、

「壊した後の使い道と買主が見えているから壊す」

という順番が大切です。

 

一度壊した建物は戻ってきません。

 

古家の解体ボタンには、

パソコンのような「元に戻す」がないのです。

 

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古家解体・狭小地売却のQ&A

 

Q.解体補助金が出るなら、先に壊した方が得ですか?

 

必ずしも得とは限りません。

 

対象地域や建物などの要件があり、

通常は工事前の申請や確認が必要です。

 

補助後の自己負担額と、更地にした場合の

売却価格を比較してから判断してください。

 

Q.再建築不可かどうかは、どうすれば分かりますか?

 

登記簿や地図だけでは判断できないことがあります。

 

前面道路の種類、接道間口、現況などを調査し、

必要に応じて自治体の建築担当窓口で確認します。

 

見た目が道路でも、建築基準法上の道路とは限りません。

 

Q.前道や間口が狭くても売却できますか?

 

売却できる可能性はあります。

 

ただし、住宅用地として買う人、改装して利用する人、

隣接地の所有者、専門の買取会社など、

買主候補は一般的な土地より限られます。

 

 

Q.長屋の一軒だけを解体できますか?

 

構造や隣家との接続状況によります。

 

切り離し後の壁補修、雨仕舞い、

隣家への影響なども検討が必要です。

 

自分の建物だからと、

隣家へ説明せずに解体を進めるのは危険です。

 

Q.家財や雨漏りをそのままにして査定できますか?

 

対応できる不動産会社もあります。

 

先に高額な家財処分や修理を行う前に、現状のまま査定を

依頼した方が、余計な出費を防げる場合があります。

 

Q.更地にしてから再建築不可と分かった場合も売れますか?

 

売却の可能性はありますが、利用方法が大きく限られます。

 

隣接地所有者への売却、資材置場、駐輪場などを

検討できる場合もありますが、土地の面積や道路状況に

よっては難しいケースもあります。

 

Q.結局、古家はいつ解体すればよいのでしょうか?

 

道路、接道、間口、境界、解体費、補助制度、

解体後の売却先を確認し、「古家付きより更地の方が

手取り額まで増える」と判断できたときです。

 

古家は、古いから壊すのではありません。

 

壊した後の方が、

本当に価値が上がると分かってから壊すものです。

 

もし判断に迷ったら、解体業者へ電話する前に、

まず古家や長屋を実際に扱っている不動産会社へ相談してください。

 

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その一本の電話が、

 

「解体費のほうが売却価格より高いやないか~!」

 

という悲しい名言の誕生を防いでくれるかもしれません。

 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
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若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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