『「あんた、もう決めといてえな~」家探しに疲れ果てた主夫・健太さんのマイホーム探し奮闘記』【後編】

~半年間探しても見つからなかったマイホーム。

 

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前編では、主夫の健太さんが

半年間マイホームを探し続けました。

 

築年数を広げた。

 

間取りも見直した。

 

ついには希望エリアまで広げた。

それでも見つからない。

 

そしてとうとう、

「もう家探すのやめるわ!賃貸のままでええ!」

 

パソコンを閉じてしまいました。

 

一方、年収約1,000万円の奥さんはというと――。

 

「明日早いから寝るで!」

「あんた、もう決めといてえな~」

相変わらずです(笑)。

 

半年間続いた健太さんのマイホーム探し。

これで終わった。

 

……はずでした。


数日後、奥さんが一枚の紙を持って帰ってきた

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ある日の夜。

 

仕事から帰ってきた奥さんが、

健太さんに声をかけました。

 

「なあ、あんた」

「何?」

 

「ちょっとこれ見て」

ペラッ。

 

一枚の物件資料をテーブルに置きました。

 

健太さん。

「何これ?」

 

「取引先の人にな、家探してるって話したら、

不動産屋さん紹介してくれてん」

 

「へぇ~」

「ほんでな、この物件……」

 

奥さんが言います。

「なんか掘り出しもんみたいやで」

 

「ほんまかいな……」

半年探し続けた男です。

 

簡単には信用しません(笑)。

健太さん、物件資料を手に取ります。

 

まず価格を見る。

「…………ええやん」

 

エリアを見る。

「…………え?」

 

間取りを見る。

「…………ちょっと待って」

 

築年数を見る。

もう一度、価格を見る。

 

最初から全部見直す。

そして一言。

「完璧やん!」

 

奥さん。

「そうなん?」

 

「そうなん?ちゃうがな!めっちゃええやん!」

 

半年間、毎日のように探していた健太さん。

 

その健太さんが見ても、かなり条件に近い。

「これ、明日見られるんかな?」

 

奥さん。

「不動産屋さんに聞いたら?」

 

「明日行くわ!」

半年前の健太さんに戻りました(笑)。


半年間探した人間は、内覧を見る目が違う

 

 

翌日。

 

健太さんはさっそく物件を見に行きました。

 

奥さん?

仕事です。

 

もちろん健太さん一人です(笑)。

現地到着。

 

まず周辺を見る。

「場所ええな……」

 

玄関を開けます。

「おお……」

 

室内へ。

 

リビングを見る。

「広さ、十分やん」

 

キッチン。

「ええやん」

 

水回り。

「きれいやな」

 

収納。

「これだけあったら十分や」

 

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半年間家を探し続けています。

もう初心者ではありません。

 

最初の頃のように、「わぁ~、きれい!」

だけでは終わらない。

 

生活した時の動線を考える。収納を見る。日当たりを見る。

部屋の使い方を考える。

 

そして、もう一度リビングへ戻りました。

しばらく部屋を見渡して――。

 

「……これやな」

 

半年間ずっと探していたのは、

この感覚だったのかもしれません。

 

「悪くない」ではない。

「まあ、ここでもええか」でもない。

 

「ここに住みたい」そう思える家でした。


なぜ、こんな物件が突然出てきたのか?

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気になるのは、

なぜそんな物件が出てきたのかです。

 

聞いてみると、売主さんはこの家に

まだ2年程度しか住んでいませんでした。

 

せっかく買ったマイホームです。

 

普通なら、まだまだこれから。

ところが、急きょ転勤が決まってしまった。

 

しかも話を聞けば、今後も仕事の関係で

転勤が多くなる可能性がある。

 

「それなら、この機会に売ってしまおう」

そう判断されたようです。

 

そして売主さんは、とことん高く売ることより、

転勤に合わせてスムーズに売却することを優先していました。

 

だから価格も現実的。

 

築浅。状態もいい。場所も健太さんの希望に合う。

間取りもいい。

 

半年間探し続けても見つからなかった家が、

健太さんが探すのをやめた直後に突然現れました。

 

これが不動産の面白いところでもあります。

 

ずっと売りに出ている物件の中だけから

選ぶわけではありません。

 

昨日まで存在しなかった売物件が、

明日には市場へ出てくる。

 

売却には売主さんそれぞれの事情があります。

 

相続。住み替え。転勤。家族構成の変化。

そして時には、

 

「ちょうどこんな家探しててん!」

 

という人の前に、

ピタッとはまる物件が出てくることがあります。


「めちゃくちゃ良かったで!」

 

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健太さん、大満足で帰宅しました。

 

夜。

奥さんが仕事から帰ってきます。

 

「なあ!」

「何?」

 

「今日、家見てきたで!」

「どうやった?」

 

「めちゃくちゃ良かった!」

健太さん、半年分しゃべります(笑)。

 

「場所もええし、間取りも使いやすいし、

中もめっちゃきれいやったわ。

築浅やから設備もまだ新しいし……」

 

奥さん。

「へぇ~」

 

「へぇ~って……」

もう慣れました(笑)。

 

健太さんは続けます。

「俺は正直、あの家やったら欲しいと思ってる」

 

「そうなん?」

「うん」

 

ただ、一つ当然のことがあります。

奥さんはまだ家を見ていません。

 

そこで健太さん。

「ほんなら今度の休み、一緒に見に行く?」

 

すると奥さん――。「いや。私は見んでええで」

 

「…………は?」


家やで!?一回くらい見ようや!

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健太さんもさすがに驚きます。

 

「いやいやいや。家やで?」

「うん」

 

「俺の靴買うんちゃうで?」

「分かってるって(笑)」

 

「これから住む家やで?

一回くらい見た方がええんちゃう?」

 

すると奥さん。

 

しばらく健太さんを見て、こう言いました。

「あんたがええんやったら、私はそれでええわ」

 

「え?」

 

そして――。

「あんた、半年間ずっと頑張って探しとったもんな!」

 

健太さん。「…………」

 

今まで、「明日早いから寝るで!」

「あんた、もう決めといてえな~」

 

「へぇ~」

「ええんちゃう?」

ばっかり言うてた奥さん。

 

家に興味ないんちゃうか?

 

健太さんも一度くらい、そう思ったかもしれません。

 

でも違ったのでしょう。

半年間、健太さんがどれだけ物件を調べていたか、

ちゃんと見ていた。

 

だから最後は、

「あんたが選んだんやったら、それでええ」

そういうことだったのかもしれません。


結局、奥さんは一度も物件を見なかった

 

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そして本当に――。

奥さん。

 

購入を決めるまで、一度も物件を見ませんでした(笑)。

 

いやいや。

なかなかできませんで、これ。

 

年収1,000万円のキャリアウーマン。

仕事で忙しい。

 

半年間、ほぼ家探しには参加しない。

 

主夫のご主人が一生懸命探していても、

「あんた、もう決めといてえな~」

 

ところが夫が諦めたところで、仕事のつながりから

不動産会社を紹介してもらって、

ポンッと一枚の物件資料を持って帰ってくる。

 

そして最後は、

「あんたがええんやったら、それでええわ」

……。

 

男前やな~!(笑)

 


半年間の家探しは無駄ではなかった

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でも、この話で私が一番面白いと思うのはここです。

 

もし健太さんが半年間何も調べていなかったら、

この物件を見ても、「これって安いんかな?」

「もっといい家あるんちゃう?」

 

「もう少し待とうかな?」

となっていたかもしれません。

 

しかし半年間、予算。エリア。間取り。築年数。

 

たくさんの物件を見てきた。

築年数を妥協してみた。

 

間取りも考え直した。

エリアまで広げてみた。

 

それだけ探したからこそ、一枚の資料を見た瞬間に、

「これはええ!」と分かったわけです。

 

半年間決まらなかったからといって、

その半年が無駄だったわけではありません。

 

家を見る目を養っていた半年間だった。

 

私はそう思います。


マイホーム探しQ&A

 

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Q.希望条件に合う物件がなかなか見つからない時は?

 

まず「絶対に譲れない条件」と「できれば欲しい条件」

を分けてみるといいでしょう。

 

すべて100点を求めると候補が極端に少なくなります。

 

Q.最初に見直しやすい条件は?

 

家族によって違いますが、築年数の範囲を広げることで

物件数が増える場合があります。

 

築年数だけでなく、建物の状態や修繕状況なども

含めて判断することが大切です。

 

Q.長期間探していると良い物件を判断しやすくなりますか?

 

多くの物件を見れば、希望エリアの価格帯や

「この価格ならどの程度の家が買えるか」

が徐々に分かってきます。これは大きなメリットです。

 

Q.気に入った物件が突然出た時は?

 

焦って買う必要はありません。

 

ただ、予算や希望条件を事前に整理しておけば、

本当に条件の合う物件が出た時に判断しやすくなります。


 

半年探しても見つからなかった健太さん。

 

「もう賃貸でええわ!」

そこから突然現れた一軒の家。

 

でも、最後に一番印象に残ったのは

家ではありませんでした。

 

「あんたがええんやったら、私はそれでええわ。

あんた、半年間頑張って探しとったもんな!」

 

結局、家を一度も見ずに決めた奥さん。

 

いや~。

やっぱりこの奥さん、男前ですわ。

 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
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若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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