『あと20cmあれば再建築できる!?専用通路1.8mの家、お隣から土地を買う適正価格は、おいくら?』

 

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土地の値段って、

どうやって決まると思います?

 

駅からの距離、土地の広さ、前面道路、周辺の取引相場……。

もちろん、どれも大切です。

 

ところが今回のお話は、

普通の「坪いくら?」では、なかなか答えが出ません。

 

幅20cm、長さ約10m。

 

面積にすると、たった**2㎡**です。

 

さて、この細~~~い土地。

皆さんならいくらで買いますか?

 

50万円?

100万円?

 

「20cmやろ?そんなんもっと安いやろ!」

そう思うでしょう。

 

ところが、この20cmが今回の主役です。

 

親から相続したのは「再建築できない」と聞かされていた家

 

まず今回の土地の形を見てもらいましょう。

 

 

道路
↓

幅1.8m・長さ約10mの専用通路

↓

奥で横に広がる約28坪の敷地

↓

築約35年の家

 

※専用通路の横がお隣の約70坪の土地

 

これなら分かりやすいでしょう。

 

道路から幅約1.8mの細い専用通路を10mほど入ると、

その奥で横に広がっている約28坪の土地。

 

いわゆる旗竿状の敷地です。

 

この家を親から相続した所有者さんは、

昔からこう聞かされていました。

 

「うちの家は建て替えでけへんねん」

 

所有者さん自身がここへ住む予定もありません。

そこで売却することにしました。

 

再建築できない状態で不動産会社に

査定してもらったところ、買取価格は――

700万円。

 

まあ、再建築できないならそんなもんかな……。

 

ところが別の不動産会社が、

土地を見てこう言いました。

 

 

あと20cm確保できたら1,800万円で買います

 

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「この専用通路、1.8mありますよね」

あります。

 

「お隣さんから、あと20cm譲ってもらえませんか?」

20cm?

 

「必要な条件を確認して再建築できる

土地になれば、1,800万円で買います」

 

えっ?

 

700万円が1,800万円!?

差額は1,100万円です。

 

ここで少しだけ不動産の勉強です。

 

建築基準法では、建築物の敷地は原則として

幅員4m以上の道路に2m以上接していることが必要です。

 

一方で、一定の場合には建築基準法第43条第2項による

認定・許可という適用除外制度もあります。

(国土交通省)

 

詳しくはこちらです。

国土交通省「接道義務(建築基準法第43条)」

 

したがって、

「1.8mなら20cm買えば、

どんな土地でも再建築できる」

という意味ではありません。

 

道路の種類、接道状況、敷地形状、自治体の規定などを

確認して、20cmを取得した結果、このケースでは

再建築できると確認できることが大前提です。

 

ここ、かなり大事です。

 

そして所有者さんがお隣を見ると――。

 

あるんですよ。

専用通路の横に、ちょうど使っていない土地が。

 

しかも、お隣の土地は約70坪、約230㎡。

 

こちらが欲しいのは、

0.2m×約10m=2㎡。

 

約0.6坪です。

 

「これくらいやったら譲ってくれるんちゃう?」

そう思いますよね。

 

たった2㎡です。200万円なら十分でしょう?

 

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さて、ここからが今回の本題です。

 

この2㎡の適正価格はいくらなのか?

 

所有者さんは考えました。

「200万円くらいなら払ってもええんちゃうか?」

 

ところが計算してみると、

2㎡=約0.605坪。

 

200万円÷0.605坪ですから、

坪約330万円。

 

高っ!

 

幅20cmですよ(笑)。

 

ちなみに2026年地価公示では、

東京都世田谷区三軒茶屋1丁目の住宅地の標準地に1㎡100万円、

坪換算すると約330万円の地点があります。

 

つまり200万円で買っても、坪単価だけなら

三軒茶屋の住宅地の公示地点と同じくらいです。

(国土交通省情報ライブラリ)

国土交通省「不動産情報ライブラリ・2026年地価公示」

 

「いやいや、ここ三軒茶屋ちゃうで!」

 

大阪やで!(笑)

しかも20cm。

 

ただし、こちらには事情があります。

 

700万円だった土地が、

条件を満たせば1,800万円になる可能性がある。

 

なら200万円でも計算は合いそうです。

 

ところが――。

お隣さんも、そのへんはよう分かってはりました。

 

お隣さん「300万円なら売りましょう」

 

 

返ってきた答えが、

「300万円なら売りましょう」

 

……。

300万円?

 

2㎡で!?

 

もう一回計算します。

300万円÷約0.605坪。

 

出ました。

坪単価、約500万円!!

 

どこの一等地やねん!(笑)

 

しかも、土地を一部だけ

売却するなら分筆が必要になります。

 

法務省によれば、土地の分筆では登記所の地図や

地積測量図、現地状況などを調査し、隣接所有者の

立会い等を得て筆界を確認したうえで測量することなどが

土地家屋調査士の業務として挙げられています。

(法務省)

 

法務省「土地家屋調査士の業務」

 

今回のケースでは、

測量・分筆関係の費用を約60万円と仮定します。

 

※実際の費用は土地の状況、境界確認の難易度、

測量範囲などによって異なります。

 

土地代300万円。

測量・分筆関係約60万円。

 

合計約360万円。

 

ほかにも登記や税金などの

諸費用を考える必要があります。

 

さて。

それでも買いますか?

 

 

現在の専用通路 1.8m

+

お隣から購入 0.2m

=

2.0m

 

購入部分 0.2m×約10m=2㎡

売買価格 300万円

 

坪換算 約500万円!

 

ちなみに同じ2026年地価公示で、三軒茶屋1丁目の

駅に近い商業地には1㎡166万円、

坪換算約549万円の地点があります。

 

もちろん商業地と今回の細長い土地を

直接比較するものではありませんが、

「坪500万円」という数字のインパクトは分かるでしょう。

 

(国土交通省情報ライブラリ)

 

大阪の幅20cmが、坪単価だけなら

三軒茶屋の駅近商業地に近づいてきました。

 

20cm、恐るべし。

 

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坪500万円でも「高すぎる」とは言い切れない

 

ここで普通なら、

「隣のおっちゃん、強気やなあ!」で終わります。

 

でも不動産屋として考えると、

そう簡単でもありません。

 

数字を並べます。

再建築できない状態で売却……700万円

 

一方、

お隣から土地を購入……300万円

測量・分筆関係……約60万円

再建築可能と確認後の買取価格……1,800万円

 

単純計算なら、

1,800万円-300万円-60万円=1,440万円。

 

そのまま700万円で売る場合と比べると、

740万円の差があります。

 

もちろん740万円が

そのまま利益になるわけではありません。

 

登記費用や税金その他の費用もありますし、

何より「条件が整えば1,800万円で買う」

という話が本当に成立することが前提です。

 

でも、こうして考えると、

「2㎡300万円=高すぎる」

とも簡単には言えなくなるでしょう。

 

今回の2㎡は、単なる2㎡ではありません。

 

お隣さんにとっては、

約230㎡ある土地のうちの2㎡、約**0.87%**です。

しかも使っていない部分。

 

ところが買う人にとっては、その2㎡を取得

することによって、約28坪ある自分の

土地全体の利用価値が大きく変わる可能性がある。

 

これが今回のポイントです。

 

売る人にとっての2㎡の価値と、

買う人にとっての2㎡の価値は違う。

 

だから土地の適正価格は、

周辺の坪単価だけでは決められないことがあります。

 

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Q. 隣地の一部を買う価格は周辺相場で決めればいい?

 

周辺相場は重要な判断材料ですが、

それだけではありません。

 

その土地を取得することで、

自分の土地にどれだけの価値が生まれるのかも重要です。

 

今回なら、わずか2㎡の取得が

約28坪の土地全体の利用価値に影響します。

 

Q. 専用通路が1.8mなら20cm買えば必ず再建築できる?

 

いいえ。

 

接している道路の種類、接道状況、敷地形状、

自治体の規定、建築基準法第43条第2項の適用可能性など、

個別確認が必要です。国土交通省も「2m以上の接道」を

原則としながら、認定・許可による適用除外制度を示しています。

(国土交通省)

 

ですから、

土地を買ってから役所へ聞きに行くのではなく、

買う前に確認する。

 

ここは絶対に順番を間違えたらあきません。

 

 

ところでお隣さん、300万円どうしはったんですか?

 

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さて、難しい話はこれくらいにしましょう。

 

私は今回、この最後の話が好きなんです。

 

お隣さんの土地は約70坪。

売ったのは2㎡。

土地全体の1%にも届きません。

 

一方、所有者さんはその2㎡を取得することで、

自分の土地の価値を大きく変えられる

可能性が出てきました。

 

売ったお隣さんにもメリットがある。

買った所有者さんにもメリットがある。

 

そして再建築可能な土地として

買い取る不動産会社にもメリットがある。

 

なかなかうまいこと収まりました。

 

で――。

お隣さん。

 

300万円、どうしはったんですか?

 

聞いてみたところ、

 

お孫さんに、

好きなおもちゃをいっぱい買ってあげたそうです(笑)。

 

もちろん300万円全部

おもちゃに使ったわけではないでしょう。

 

そこまでは知りません(笑)。

 

でも、

幅20cmの土地。

面積2㎡。

 

売買価格300万円。

 

坪単価約500万円。

 

最後は、お孫さんのおもちゃになりました。

不動産の値段というのは面白いものです。

 

同じ土地でも、売る人にとっての

価値と買う人にとっての価値は違います。

 

土地の適正価格は周辺相場だけでなく、

「その土地を取得することで何が可能になるのか」

まで見ないと分からないことがあります。

 

たった20cm。

 

されど20cm。

 

不動産では、その20cmが

1,000万円以上の価格差につながることさえある。

 

だから私は、

こういう不動産の話が好きなんですよね。

 

GOOD

 


 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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