『不動産屋は査定して5分で何を見ているのか?』 ~30年近く大阪の不動産を見続けた社長の頭の中を全部公開します~ 【前編】
『~査定は会社を出る前から始まっている~
「査定って、何を見て値段を決めているんですか?」
不動産会社を30年近くやっていると、
本当によく聞かれる質問です。
「築年数ですか?」
「土地の広さですか?」
「駅までの距離ですか?」
もちろん、それらも査定には欠かせません。
しかし、実際の査定は
そんな単純なものではありません。
私の場合、査定は現地へ向かう前、
会社で資料を開いた瞬間から始まっています。
家を見ているようで、
実は家だけを見ているわけではありません。
売主さんの事情。
家の歴史。
近隣環境。
そして、この家を次に買う人の姿まで
頭の中で想像しながら査定をしています。
今日は、フォローウィンドコーポレーション代表者が
30年近く大阪で培ってきた
「査定の裏側」を少しだけ公開したいと思います。
「まず謄本を見せてください」から私の査定は始まる
現地へ行く前に、私は必ず
登記事項証明書(謄本)を確認します。
建物の築年数。
土地の面積。
所有者。
抵当権。
相続登記の有無。
昔は法務局へ行き、謄本や公図、
地積測量図を一枚ずつコピーしていました。
今ではネットで取得できるようになり、
本当に便利な時代になりました。
しかし、便利になっても
見るポイントは昔と変わりません。
例えば昭和48年築。
「そろそろ屋根や防水は
一度手を入れていてもおかしくないな。」
「給排水管も更新されているだろうか。」
そんなことを想像しながら現地へ向かいます。
築50年以上なのに外壁がきれいなら、
「最近リフォームされたのかな。」
逆に築25年なのに一度も手を入れていないようなら、
「ある程度の改装費用は必要になるかもしれない。」
まだ家を見てもいないのに、
頭の中では査定が始まっています。
「推定〇年〇月〇日相続」という文字が気になる理由
謄本には、時々こんな記載があります。
「推定〇年〇月〇日相続」
一般の方は気にも留めないかもしれません。
もちろん、この記載だけで
何かを断定することはできません。
海外で亡くなられたケースや、
戸籍の事情など、さまざまな理由があります。
ただ、現場の査定では
「事情を丁寧に確認したほうがよいケースかもしれない」
と考えるきっかけにはなります。
心理的瑕疵の有無は、
査定価格や販売方法に影響することがあるためです。
私は売主さんにいきなり踏み込んだ質問はしません。
世間話をしながら、
「このお家には長く住まれていたんですか?」
「ご相続で取得されたんですか?」
そんな会話の中で、
必要なことを少しずつ確認していきます。
査定は建物を見る仕事でもありますが、
それ以上に売主さんへの配慮が必要な仕事でもあります。
現地へ到着。でも最初に見るのは家ではありません
現場へ着いたら真っ先に玄関へ向かう……
そう思われるかもしれません。
でも実際は違います。
まず見るのは道路です。
前面道路の幅。
車の出入り。
道路との高低差。
周囲の建物。
電柱の位置。
ゴミ置場。
昼間の交通量。
査定価格は家だけで決まるわけではありません。
大阪なら城東区や旭区でも、
一本道路が違うだけで印象は大きく変わります。
守口市でも駅に近い住宅街と少し離れた住宅街では、
買主さんの反応が違います。
東大阪市でも前面道路が4メートルあるだけで
案内しやすさは大きく変わります。
そんなことを歩きながら自然と見ています。
「築年数なり」かどうかを見る
私は築年数だけでは判断しません。
昭和55年築だから古い。
平成10年築だから安心。
そんな単純な話ではありません。
本当に見るのは、
「築年数なりかどうか。」
これです。
築45年なのに非常に丁寧に住まれている家。
逆に築20年でも傷みが激しい家。
実際には後者の方が査定で苦労することもあります。
家は年数だけではありません。
住まい方が、そのまま建物の状態に表れます。
玄関周り。
雨樋。外壁。雑草。植木。郵便受け。
細かなところを見るだけで、
家がどれだけ大切にされてきたかが伝わってきます。
売主さんが一番気にする「雨漏り」
査定で本当に多い相談があります。
「実は雨漏りしているんです……。」
売主さんは申し訳なさそうに話されます。
でも私は、
「どこから漏っていますか?」
「いつ頃からですか?」「修理歴はありますか?」
と聞きます。
実は私が知りたいのは、
雨漏りしていることではありません。
その原因です。
屋根瓦なのか。
陸屋根なのか。
ベランダ防水なのか。
サッシ周りなのか。
外壁のひび割れなのか。
原因によって修理費用は大きく変わります。
逆に原因が分からない雨漏りほど慎重になります。
雨漏り自体は直せます。
しかし、原因が複数あるケースや、
建物構造に起因する問題となると、
今後の維持管理費まで見据えて査定しなければなりません。
だから私は「雨漏りしています」という
言葉だけでは査定額を決めません。
「なぜ雨漏りしているのか。」
そこが一番重要なのです。
査定とは「減点方式」ではない
ここで勘違いしてほしくないことがあります。
私は傷を探しに査定へ行っているわけではありません。
悪いところを並べて
値段を下げる仕事でもありません。
「この家にはどんな魅力があるだろう。」
「どんな買主さんなら気に入ってくれるだろう。」
そんなことを考えながら査定をしています。
南向きの明るいリビング。
角地。
駐車しやすい車庫。
学校が近い。
スーパーが徒歩圏内。
建物に多少古さがあっても、それを補って余りある
魅力がある家は大阪にも数多くあります。
査定とは、欠点を探す作業ではありません。
その家の価値を正しく見つける仕事なのです。
【後編へ続く】
後編では、
- 売主さんとの会話で本当に知りたいこと
- 「いくらで売りたいですか?」を聞く理由
- 他社はいくらで査定するかを頭の中で予想する話
- 売れる間取り・売れにくい間取りの違い
- 買取査定と仲介査定の考え方の違い
- 大阪ならではの借地・長屋・連棟住宅の査定ポイント
- Q&A
- フォローウィンドコーポレーション締め
まで、30年近い現場経験をもとに、包み隠さずお伝えします。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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