『住宅ローンが残っている家は売れる?35年ローンの途中で人生が変わったときの売却方法』
「35年ローンを組んだのだから、
この家にはずっと住むだろう」
家を購入したとき、
そんな未来を思い描く方は少なくないでしょう。
しかし、35年という時間は長いものです。
離婚、転勤、転職、収入の変化、子どもの独立、
親との同居など、住宅購入時には想像していなかった
出来事が起こることもあります。
では、住宅ローンを返済している途中で
家を売りたくなったら、どうなるのでしょうか?
本記事では、35歳で一戸建てを購入し、
47歳で売却を考えることになった男性の物語を通じて、
住宅ローンが残っている家を売るときに知っておきたい
「残債」「抵当権」「査定価格」について分かりやすく解説します。
35歳、35年ローンで一戸建てを買った
35歳のとき、家を買った。
妻と、小学生になったばかりの息子との3人暮らし。
それまでは2LDKの賃貸マンションに住んでいた。
「息子も大きくなるし、そろそろ家を買おうか」
妻は庭のある家に憧れていたし、
私自身も「いつかは一戸建てを」と考えていた。
そして何より、
「毎月家賃を払うくらいなら、自分たちの家に
お金を払ったほうがいいんじゃないか」
そんな気持ちがあった。
購入したのは、
郊外にある4,000万円ほどの新築一戸建て。
頭金を少し入れて、
残りは35年の住宅ローンを組んだ。
35歳で35年ローン。
完済するころには70歳になる。
もちろん、不安がなかったわけではない。
それでも当時の私には、
70歳の自分なんて想像できなかった。
鍵を受け取った日、何も置かれていない
リビングを息子が走り回っていた。
妻が笑いながら、
「傷つけんといてや」と言っていた。
あの日は、この家で
ずっと暮らしていくのだと思っていた。
12年後、人生が変わった
それから12年。
私は47歳になり、息子は高校生になった。
そしてある日、
妻から「話がある」と言われた。
離婚したい。
何度も話し合った。
それでも妻の意思は変わらず、
最終的に私たちは離婚することになった。
そこで初めて問題になったのが、
「この家をどうするのか」だった。
妻は息子と一緒に家を出る。
一人で住み続けることも考えた。
でも、一人で暮らすには広すぎる。
住宅ローンも、まだ20年以上残っている。
「だったら売ればいいか」
最初は、それくらいに考えていた。
「家を売ったあとも住宅ローンを払えばいい」と思っていた
家は自分たちのものだ。
買ってくれる人さえ見つかれば売れる。
住宅ローンが残っているなら、
売ったあとも自分で払い続ければいい。
私は何となく、そんなイメージを持っていた。
ところが不動産会社に相談して、
初めて**「抵当権」**という言葉を意識することになった。
住宅ローンが残っている家でも売却できる
抵当権とは、住宅ローンなどを借りる際、
返済が滞った場合などに金融機関が不動産から
優先的に返済を受けるために設定する権利です。
住宅ローンが残っている家でも、
売却活動をすること自体はできます。
ただし通常の売却では、買主へ引き渡す際に
住宅ローンを完済し、
抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
つまり、
「住宅ローンが残っているから家は売れない」
わけではありません。
一方で、
「家だけ売って、住宅ローンは
そのまま払い続ければいい」というものでもありません。
ここは住宅ローン返済中の家を売る際に、
まず知っておきたいポイントです。
まず「住宅ローンがあといくら残っているのか」を調べる
私は金融機関に住宅ローンの残高を確認した。
残っていたのは約2,600万円。
次に、不動産会社へ家の査定を依頼した。
査定額は約2,800万円だった。
住宅ローン残高:約2,600万円
不動産査定額:約2,800万円
「だったら200万円残るじゃないか」
私はそう思った。
ところが、これも単純な引き算ではなかった。
査定額は、必ずその価格で
売れることを保証する金額ではない。
さらに仲介で売却する場合には仲介手数料が
発生することがあり、
登記関係の費用なども考える必要がある。
仮に実際の売却価格が
2,500万円だったらどうなるだろう。
住宅ローンは2,600万円残っている。
売却代金だけでは100万円足りない。
このように、住宅ローン残高が家の売却価格を
上回っている状態を、一般に「オーバーローン」と呼びます。
売却価格より住宅ローンのほうが多かったら?
たとえば、
住宅ローン残高:2,000万円
売却価格:2,500万円
なら、売却代金から住宅ローンを
完済できる可能性があります。
一方、
住宅ローン残高:2,600万円
売却価格:2,500万円
なら、売却代金だけでは100万円不足します。
この場合は、不足分を自己資金などで補って
住宅ローンを完済できるか確認する必要があります。
不足分を用意できず、住宅ローンの返済自体も
困難になっている場合などには、
「任意売却」が検討されるケースもあります。
ただし、任意売却は所有者だけで
自由に決められるものではありません。
金融機関など抵当権者との調整や承諾が必要になります。
だからこそ、
「住宅ローンが残っているから、どうせ売れない」
と自分だけで判断してしまう前に、
現在の状況を確認することが重要です。
住宅ローンが残った家を売るなら確認したい3つのこと
まず確認したいのは、次の3つです。
1.現在の住宅ローン残高
「あと何年残っているか」ではなく、現時点で
いくら返済しなければならないのかを確認します。
2.現在の家の売却価格
購入時の価格ではなく、現在の不動産市場で
いくらくらいで売却できそうなのか、
不動産会社に査定してもらいます。
3.売却に必要となる費用
仲介手数料や登記関係費用など、売却方法や
物件によって必要になる費用も確認しておきましょう。
大切なのは、
「査定価格-住宅ローン残高」だけで考えないこと。
実際に売却できそうな価格、住宅ローン残高、
そして売却費用まで含めて考える必要があります。
35年ローンを組んでも、35年間同じ人生とは限らない
不動産会社から帰った日の夜。
一人でリビングに座った。
12年前、息子が走り回っていた場所だった。
壁には小さな傷が残っている。
息子がおもちゃをぶつけた傷。
家具を動かしたときについた傷。
妻が選んだカーテンも、そのままだ。
4,000万円の家。
住宅ローン残高2,600万円。
査定額2,800万円。
数字だけを見れば、不動産の話だ。
でも、その数字の中には12年間の生活が入っている。
家を買った35歳のころ、考えていたのは、
「毎月いくらなら返せるか」だった。
途中で家を売ることになったらどうするのか。
離婚したら。
転勤したら。
仕事が変わったら。
親と暮らすことになったら。
子どもが独立したら。
そんなことまで考えて家を買ったわけではなかった。
35年という時間は長い。
35歳で35年ローンを組めば、完済予定は70歳。
その間、家族構成も仕事も収入も、
人生そのものも変わる可能性があります。
だから、
35年ローンを組むことと、
35年間その家に住み続けることは同じではありません。
住宅ローンが残った家を売りたいなら、まず「現在地」を知ろう
35歳の私は、35年ローンを組んだ。
47歳の私は、
その途中で家を売ろうとしている。
でも、あの日の判断が間違っていたとは思わない。
この家があったからこそ、
家族で過ごせた12年間がある。
ただ、一つだけ今なら分かる。
家を買ったときに思い描いた35年間と、
実際に生きる35年間は同じとは限らない。
人生が変わったなら、
住まいについてもう一度考えてもいい。
住宅ローンが残っているからといって、
最初から「売れない」と決めつける必要もありません。
まず、
住宅ローンはいくら残っているのか。
そして、
今の家はいくらで売れそうなのか。
この2つを確認してみましょう。
売るのか。
住み続けるのか。
別の家へ住み替えるのか。
答えを出すのは、現在の家の価値と
住宅ローン残高を把握してからでも遅くありません。
住宅ローンが残っている家の売却について
「何から始めればいいか分からない」という場合には、
まず現在の家がどの程度の価格になるのか、
不動産会社へ相談・査定を依頼するところから
始めてみてはいかがでしょうか。
不動産売買等でのよくある質問
住宅ローンが残っている家でも売却できますか?
売却は可能です。
ただし通常の売却では、売却代金や自己資金などで
住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できる
状態にする必要があります。
まずはローン残高と現在の家の査定価格を確認しましょう。
家を売ったあとも住宅ローンを払い続ければいいですか?
一般的な住宅売却では、
そのような方法を前提とはしません。
買主へ引き渡す際に抵当権を抹消できるよう、
住宅ローン完済の手続きを進めるのが通常です。
具体的な手続きは借入先の金融機関へ確認しましょう。
売却価格より住宅ローン残高が多くても売れますか?
不足分を自己資金などで補い、住宅ローンを完済できれば
通常の売却を進められる場合があります。
完済が難しく返済にも困っている場合などは、
早めに金融機関や専門家へ相談しましょう。
査定を依頼したら必ず売却しないといけませんか?
査定を受けただけで売却する必要はありません。
まず現在の家のおおよその価値を把握し、
住宅ローン残高や売却費用と比較したうえで、
売るかどうかを検討できます。
35年ローンを組んだら35年間住まなければいけませんか?
35年は住宅ローンの返済期間であり、その家に35年間
住み続けなければならないという意味ではありません。
転勤や離婚、家族構成の変化などによって、
途中で売却や住み替えを検討することもできます。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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