『売主さんが長屋を希望価格で本当に売りたい時はこんな感じかなって思う話-再婚するんや~』

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大阪で長屋の買取査定をしていると、

当然ですが売主さんには

 

それぞれ「希望価格」があります。

 

今回の売主さんは50歳の男性。

 

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賃貸収益用として長屋を所有されていましたが、

住んでいた賃借人さんが退去されました。

 

さて、どうする?

 

また貸す?

それとも、この機会に売ってしまう?

 

売主さんは売却する方に気持ちが傾き、

何社かの不動産会社へ買取査定をお願いされました。

 

結果はこんな感じ。

 

A社……150万円。

B社……200万円。

C社……180万円。

 

見事なくらい、

150万円から200万円の間に集まります。

 

3社に聞いてこの金額なら、

「まあ、この辺が買取相場なんかなぁ」

普通ならそう考えます。

 

ところがこの売主さん。

希望価格を聞くと――「300万円です」

 

……結構、差ありますな(笑)。

 

もちろん不動産は、売主さんが「300万円欲しい!」

と言えば300万円になるものではありません。

 

「500万円欲しい!」

「はい、500万円です!」

 

そんな世界なら、不動産屋は査定せんでええ(笑)。

 

ただ、この売主さん どうも300万円にこだわっている。

 

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250万円でもなく、200万円でもない。

 

300万円。

 

そこで話を聞いていると、

長屋とは全然違う方向へ話が進み始めました。

 

「実は私、再婚するんです」

 

おお~!

再婚するんや~。

 

50歳で熟年再婚。

お相手の女性は48歳。こちらは初婚です。

 

しかも一人娘。

そして二人は結婚後に住む新居をすでに探していました。

 

気に入った物件も見つかっています。

枚方市内の中古マンション。

 

価格2,000万円。

 

話を聞いているうちに、

ようやく私にも「300万円」の意味が見えてきました。

 

奥さんのお父さん「1,000万円出したる」

 

 

奥さんのお父さんは75歳。

 

大事な一人娘の結婚です。

 

新居の話をすると、

「ワシが1,000万円出したる」となったそうです。

 

2,000万円のマンションですから、その半分です。

ありがたい話です。

 

問題はここから。

旦那さん側の自己資金……0円。

 

いや、正確には貯金がまったくないわけではありません。

多少は持っています。

 

ただし、50歳です。

 

手元のお金を全部、

「結婚するから使いま~す!」

というわけにもいきません。

 

何があるか分かりませんからね。

 

そして旦那さんのご両親は施設に入っています。

 

親からまとまった資金を

援助してもらえるような状況でもありません。

 

そうなると――。奥さんのお父さん。1,000万円。

旦那さん。0円。

 

……これは言いにくい(笑)。

 

そこで急に長屋くんの責任が重たくなった

 

 

ここで登場するのが、先ほどの長屋です。

 

今までは単なる賃貸収益用不動産でした。

 

それが突然、

旦那さんの男としての面目を守る長屋

になってしまいました(笑)。

 

頼むぞ、長屋くん。

 

お前が300万円になってくれたら、

「私も新居購入に300万円出します」と言える。

 

向こうのお父さんが1,000万円。

自分も300万円。

 

残りはローンを組めばいい。

これなら格好がつく。

 

だからこの売主さんの希望価格は300万円だったんです。

 

近隣相場から計算した300万円ではありません。

収益還元法で計算した300万円でもありません。

 

土地建物の価値を積み上げた300万円でもない。

「俺もこれくらいは出したいねん」の300万円です(笑)。

 

そこへ若い不動産会社の社長が現れた!

 

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そんな中、一社の不動産会社が現れました。

社長さんは、おそらく30代前半。

 

若い。

 

そして見た感じ、ちょっとガラが悪そう(笑)。

 

その若い社長さんが長屋を見て言いました。

「うちやったら300万円出せるかもしれません」

 

売主さんの耳には、

おそらく後半しか聞こえていなかったと思います。

 

「出せるかもしれません」ではありません。

「300万円!」

 

そこだけ巨大な文字になって頭の中を駆け巡ったはずです。

 

来た、ついに来た。

150万円でもない。180万円でもない。

200万円でもない。

 

300万円を出してくれる会社が現れた!

 

……ところが世の中、そう簡単にはいきません。

最終的な買取価格が出ました。

 

250万円。

 

あと50万円!

 

「300万円でお願いします!」……喉まで出た

 

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売主さんからすれば、

ここまで来たら300万円で買ってほしい。

 

あと50万円です。

 

この50万円があれば、

当初思い描いていたシナリオが完成します。

 

若い社長さんを前にして、

「300万円でお願いします!」

 

さらに言うなら、

「買ってください!お願いします!」

 

そこまで喉元へ出かかったそうです。

 

ところが目の前にいるのは30代前半の若い社長。

自分は50歳。

 

下手したら自分の子供くらいの年齢です。

…………。

 

言われへんかった(笑)。

 

結局、長屋の買取価格は250万円で決まりました。

 

でも考えてみれば、

他社は150万円、180万円、200万円。

 

250万円なら十分頑張ってくれています。

 

問題は不動産の値段ではありません。

売主さんの人生設計が50万円ズレたんです。

 

「私は250万円しか出せません。すいません」

 

 

 

そして、いよいよ奥さんのお父さんに

話すときがやってきました。

 

売主さんも腹をくくりました。

 

「手元のお金を全部出すわけにもいきませんので、

私は頭金250万円しか出せません。

すいません。残りはローンを組みますので」

 

これ、50歳の男性としては結構勇気がいったと思います。

 

向こうのお父さんは1,000万円。

自分は250万円。

 

それでもゼロではありません。

 

長屋くんも頑張ってくれました。

250万円持って堂々と新婚生活へ出発です。

 

すると75歳のお父さん。

「ほんならワシが2,000万円全部出したる」

 

……え?

 

全部?

 

皆さん、この後の結末はお分かりですよね……

 

 

 

2,000万円のマンション。

 

奥さんのお父さんが、

全額出してくれることになりました。

 

ローンなし。

旦那さんの250万円も必要なし。

 

さて、ここまで読んでいただいた皆さん。

 

この後の結末はお分かりですよね……。

そのマンションの名義は――。

 

奥さんの単独名義になりました!

 

そらそうなりますわな(笑)。

 

では、あれほど売主さんが

こだわっていた長屋の売却代金250万円。

 

あのお金はいったいどこへ行ったのでしょう。

 

消えてはいません。

ちゃんと新婚生活の役に立っています。

 

家具になりました。エアコンになりました。

冷蔵庫になりました。

 

その他、新生活に必要なものへ

次々と姿を変えていきました。

 

そして旦那さん本人は――。

 

長屋は売却済み。

新居のマンションは奥さん名義。

 

したがって、

所有不動産はもちろんありません(笑)。

 

売主さんの「希望価格」には事情がある

 

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長屋を300万円で売りたい。

 

最初にその話だけ聞けば、不動産会社としては、

 

「他社さんも150万円から200万円ですし、

300万円はちょっと厳しいですね」となります。

 

でも売主さんにとっての300万円には、

不動産相場とはまったく別の意味がありました。

 

再婚する。新居を買う。

奥さんのお父さんが1,000万円出してくれる。

 

自分も少しは出したい。

できれば300万円。

 

そのためには、

頼むから長屋くん、300万円になってくれ!

 

だったんです。

 

不動産を長くやっていると、「希望価格」という

数字の裏側に、その人の人生が見えることがあります。

 

今回もまさにそうでした。

 

300万円を出してくれそうな

不動産会社をようやく見つけ、最後は250万円。

 

自分の子供くらいの若い社長に、

「買ってください!お願いします!」

と言いかけるほど欲しかった、あと50万円。

 

ところが最終的には――。

250万円は家具とエアコンと冷蔵庫になりました。

 

そして2,000万円のマンションは、

奥さんのものになりました。

 

まあ、ええやないですか。

 

新しい家具もある。エアコンもある。

冷蔵庫もある。そして何より――。

 

再婚するんや~。

 

 

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末永くお幸せに(笑)。

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!

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