『大阪の再建築不可物件の百科事典!接道義務・42条2項道路・私道・セットバック・通行掘削承諾、43条2項2号など・・全部解説 !ちょっと長いけど辛抱して読んでな』

不動産好きのお方!
ちょっと建て替えできひん物件の勉強しませんか!
「再建築不可」
中古住宅や古家の販売図面を見ていると、
まあまあ出てくる言葉です。
しかも、こういう物件に限って妙に安い。
大阪市内。駅から徒歩10分。土地付き一戸建て。
「なんでこんな安いん?」
と思って備考欄を見ると、「再建築不可」。
不動産会社に理由を聞いてみたら、
「接道義務を満たしていなくて……」
「42条2項道路ではなくて……」
「セットバックが……」
「私道持分が……」
「43条2項2号の許可が……」
もうええわ!日本語で説明してくれ!
となりますよね。
今回は逃げません。
むしろ、そのややこしい言葉を全部出します。
弊社は大阪で古い一戸建て、長屋、路地奥、
私道に面した家、再建築不可物件などを扱っています。
ですから今回は一般の方にも分かるように説明しながら、
内容はかなり専門的にいきます。
ちょっと長いです。
タイトルにも書きました。
辛抱して読んでな。
大阪の古い住宅地には細い路地も数多く残っています。
見た目だけでは建築基準法上の道路種別までは判断できません。
そもそも「再建築不可物件」とは何ですか?
一般に「再建築不可物件」と呼ばれているのは、
現在は建物が建っていても、現在の接道条件などでは、
その建物を取り壊した後に原則として
新たな建物を建築できない物件です。
ここで「絶対に二度と建てられない」
と書かなかったのには理由があります。
後ほど説明する建築基準法43条2項による認定・許可など、
個別の条件によって建築できる可能性が
残されているケースもあるからです。
ですから弊社では、「再建築不可です」
と聞いただけで査定を終わらせません。
何が原因で再建築できないのか?
まずここを調べます。
接道義務とは?原則「建築基準法上の道路に2m以上」がスタートです
再建築不可を理解するうえで、
まず知っておきたいのが接道義務です。
建築物の敷地は原則として、
建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。
大事なのは、「道に2m接している」ではありません。
原則として、
「建築基準法上の道路に2m以上接している」です。
【図①・接道義務の基本】
敷 地
┌─────────────────┐
│ │
│ 建 物 │
│ │
└────────┐ ┌────────┘
│←→│
2m以上
=====================
建築基準法上の道路
=====================
大阪の古い住宅地には、人も自転車も
普通に通っている細い通路があります。
郵便屋さんも来る。宅配便も来る。
家も何軒も建っている。
普通に見たら、「道あるやん」です。
ところが不動産屋が確認するのは、
「この道、建築基準法上では何道路なん?」
なんです。
そもそも建築基準法上の「道路」って何やねん?
ここから少々、不動産屋臭くなります。
建築基準法42条1項には、
1号から5号まで道路の種類があります。
全部暗記する必要なんかありません。
不動産屋でも宅建の試験が終わったら
忘れた人がおるかもしれません。
ただ、「家の前にある道は全部同じではない」
これだけは覚えておいてください。
42条1項1号から5号まで一気に解説!同じ道路でも中身は違います

42条1項1号道路
道路法による道路で、幅員4m以上のもの。
一般的には国道・府道・市道などが該当します。
42条1項2号道路
都市計画法、土地区画整理法などに基づいて造られた道路。
開発道路などが代表例です。
ここで注意。
「42条1項2号」と、後で出てくる「42条2項道路」は別物です。
ややこしい名前を付けてくれたもんです。
42条1項3号道路
建築基準法施行時、または都市計画区域へ編入された時に、
すでに存在していて幅員4m以上だった道。
42条1項4号道路
道路法や都市計画法などによる事業計画があり、
2年以内に事業が執行される予定のものとして
特定行政庁が指定した道路。
大阪市では「2カ年指定道路」と呼ばれています。
42条1項5号道路
よく聞く**「位置指定道路」**です。
土地を建築物の敷地として利用するために
道路を築造し、特定行政庁から
その位置の指定を受けた道路です。
ここで分かってほしいのは、
私道だから建築基準法上の道路ではない
とは限らないということ。
私有地でも位置指定道路になっていることがあります。
反対に、
見た目は立派な道でも
建築基準法上の道路とは限りません。
ここが道路調査のおもしろいところであり、
ややこしいところです。
大阪では「建築線」という聞き慣れないものまであります

大阪で古い不動産を扱っていると、
こんなものまで出てきます。
建築線。
大阪市には旧市街地建築物法の時代に指定された
建築線が、現在の制度へ引き継がれている場所があります。
ですから大阪の古い家では、
現在目の前にある道路だけ見ても分からない。
そんなことが普通にあるんです。
大阪の古家でよく見る「42条2項道路」とは?

ここはしっかり覚えてください。
建築基準法施行時または都市計画区域編入時に、
すでに道として使われ、その道に沿って建築物が
立ち並んでいた幅員4m未満の道で、
特定行政庁が指定したものが建築基準法42条2項道路です。
つまり、道路幅が3mしかない
=再建築不可ではありません。
幅員4m未満でも42条2項道路として
扱われている道があります。
大阪の古い住宅地では、
このような幅員の狭い道も珍しくありません。
ただし写真だけで42条2項道路かどうかは判断できません。
そして42条2項道路の話をすると、
必ず次の言葉が出てきます。
セットバックです。
セットバックとは?自分の土地なのに建物を建てられない部分ができます
42条2項道路では、原則として道路中心線から
水平距離2mの線が道路境界線とみなされ、
その道路部分には建物を建てられません。
例えば単純なケース。
現在の道路幅員が3m。
道路中心から自分の敷地側まで1.5m。
原則必要なのは2m。
すると50cm後退することになります。
これが**セットバック(道路後退)**の
基本的なイメージです。
【図②・42条2項道路とセットバック】
敷地A 敷地B
│←50cm→│ │←50cm→│
│ │ │ │
│ │←──── 3m ────→│ │
│ │ ↑ │ │
│ │ 道路中心線 │ │
←─── 4m ───→
ただし、「3m道路なら絶対50cm下がったらええ」
と覚えたらあきません。
反対側が川や崖などの場合を含め、
道路境界線の扱いが異なるケースがあります。
大阪では「42条2項道路」だけ覚えても足りません!附則5項道路とは?

これも大阪では外せません。
大阪市には、旧市街地建築物法の建築線制度との関係から、
建築基準法附則5項によって道路とみなされるものがあります。
ですから大阪で古い家の道路を調べていると、
「42条2項です」だけではなく、
「附則5項道路です」と出てくることがあります。
ここまで来たら、
だいぶ不動産屋になってきました。
「市道」と「建築基準法上の道路」は同じ意味ではありません
これも大事です。
道路法上の道路なのか。
建築基準法上の道路なのか。
これは分けて確認します。
売主さんから、「ここ市道ですよ!」
と言われても、「ほな再建築できますね!」
とはまだ言えません。
道路種別、幅員、接道状況などを確認します。
私道なら再建築不可?これもそんな単純な話ではありません
反対に、「前が私道です」
と聞いただけで、「はい、再建築不可!」
これも早い。
私道でも位置指定道路など、
建築基準法上の道路として扱われている場合があります。
つまり、公道・私道という話と、
建築基準法上の道路種別の話は分けて考える。
私道持分がない!それでも通行できる?再建築できる?
大阪の古い住宅では、こんな物件もあります。
前面は私道。
何十年もみんな普通に通っている。
ところが登記を調べてみると、
「あれ?この家、私道持分ないやん」
ここから調査項目が増えます。
私道の所有者は誰なのか。
共有なのか単独所有なのか。
通行についてどのような権利関係があるのか。
既存の承諾書はあるのか。
上下水道やガスなどの配管はどこを通っているのか。
将来工事するときはどうなるのか。
大事なのは、
私道持分がない=即、通行できない=即、再建築不可
と一本の線で結ばないことです。
建築基準法上の接道と、私法上の通行・利用関係は
分けて確認する必要があります。
通行承諾書とは?「今まで通ってるから大丈夫」とは限りません

他人が所有する私道などを利用している物件では、
通行について承諾書が存在する場合があります。
ただし、「通行承諾書がない=絶対に通れない」
とも一律には言えません。
土地の成立経緯、契約、登記、実際の利用状況、
民法上の権利関係などで話は変わります。
不動産売買では、
「みんな昔から通っとるから大丈夫や」
だけで済ませず、分かる範囲をきちんと調べます。
掘削承諾書とは?水道・下水・ガス管を触るときに話が変わります
家を建て替える。
水道管を入れ替える。
下水管を新設する。
ガス管を引き込む。
そのために他人所有地を使用したり、
掘削したりする必要が出ることがあります。
そこで実務上よく出てくるのが掘削承諾です。
道路の下には水道・下水・ガスなどのライフラインがあります。
ただし、ここでも、
「承諾書がなければ絶対工事できない」
と一律に決めつけてはいけません。
2023年4月施行の改正民法では、電気・ガス・水道などの
継続的給付を受けるために必要な設備を他人の土地に
設置したり、他人が所有する設備を使用したりする
場合について、一定のルールが明文化されています。
だからこそ、所有関係、既存配管、工事内容、
契約・承諾の有無などを個別に確認する必要があります。
旗竿地・路地状敷地・再建築不可、この3つは別物です

細い通路の奥に家が建っている。
大阪でもよく見ます。
細い通路の奥に建物があるからといって、
それだけで再建築不可とは判断できません。
こういう形を見ると、
「奥の家やから再建築不可やろ?」
と言われることがあります。
でも、旗竿地・路地状敷地=再建築不可
ではありません。
どの道路に接しているのか。
接道長さは確保されているのか。
路地状部分の形状はどうなのか。
建物の用途や規模などによる
条例上の制限はないのか。
個別に確認します。
逆に見た目はきれいな四角い土地でも、
接している通路が建築基準法上の道路で
なければ問題が出ることがあります。
見た目だけでは分かりません。
そして登場する「43条2項」とは?
ここからもう一段深くなります。
建築基準法では原則として接道義務があります。
しかし一定の条件を満たし、特定行政庁から
認定または許可を受けた場合には、
接道規定の特例を受けられる制度があります。
現在は、
43条2項1号=認定
43条2項2号=許可です。
43条2項1号の「認定」と2号の「許可」は何が違う?
大阪市の案内では、
1号認定は一定の基準に適合するものについて
特定行政庁が認定する制度。
一方の2号は、一定の条件のもと、
特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可する制度です。
【図③・43条2項】
接道義務を満たさない敷地
│
▼
43条2項を検討
/ \
/ \
1号 2号
「認定」 「許可」
│ │
一定の基準等 個別審査
に適合 +
建築審査会の同意
ここで一番大事なのは、
「43条2項2号なら建て替えできます!」と先に言ったらあきません
2号は許可制度です。
「許可を受けられる可能性がある」と、
「建て替えできます」は全然違います。
制度そのものについては、
大阪市の最新資料も確認してください。
大阪の長屋はさらにややこしい!道路だけ見ても判断できません
ここは弊社がよく扱う物件です。
大阪には今も古い長屋・連棟住宅が残っています。
例えば、
前面道路は42条2項道路。
接道も確認した。
セットバックについても確認した。
そこで、「ほな建て替えできるな!」
まだ早いんです。
長屋の場合は、敷地や登記の状態、連棟建物の一部を
どう扱うのか、隣家との壁・屋根・基礎、切り離しなど、
道路とは別の問題も確認する必要があります。
だから弊社では長屋の査定へ行って、
前の道路だけ見て帰ることはありません。
生野区・東成区に多い小さな再建築不可長屋については、
こちらでも詳しく書いています。
前面道路4m・間口2mあるから再建築OK!……とは限りません

ここまで読んだら、もう分かりますよね。
「道路4mあります!」
「間口2mあります!」
それだけでは結論を出せません。
その道路の法的な種別は何なのか。
どこが道路境界なのか。
敷地がどう接しているのか。
長屋なら建物そのものはどうなっているのか。
数字だけ拾って終わりではありません。
不動産屋は何を見る?公図・地積測量図・道路参考図・道路台帳・現地を照合します

物件によって違いますが、
弊社ならまず現地を見ます。
前面道路。現況幅員。接道部分。
通路の形状。境界付近。建物の位置。
長屋なら連棟状態。
そして資料も確認します。
登記事項証明書。公図。
地積測量図があれば地積測量図。
道路参考図。必要に応じて道路台帳等。
私道なら所有者や持分。
上下水道等の配管状況。
そして必要なら役所でも確認します。

弊社では資料だけで判断せず、
現地の道路・接道・境界付近・建物位置なども確認します。
要するに、現地と資料の両方を見る。
これです。
大阪市なら「マップナビおおさか」で道路参考図を確認できます
大阪市では建築基準法上の道路種別を
記載した道路参考図が公開されています。
不動産好きのお方。
自宅の前、一回見てみたら面白いですよ。
ただし、「色付いてる!ほな再建築OK!」
で閉じたらあきません。
道路参考図は調査の入口です。
道路参考図を見ても分からん!そんな道路が普通にあります
現状は道の形をしている。
人も通っている。
家も並んでいる。
それでも道路種別を確認できない場合があります。
こうなってくると、
「Googleマップで見たら道ありました!」
ではどうにもなりません。
ここからが役所調査です。
「再建築不可」と昔言われた物件でも、もう一度調べる価値はあります

20年前に不動産会社から、
「ここ再建築不可ですよ」と言われた。
それ以来ずっとそう思っていた。
相続して売ることになり、改めて調べてみる。
すると、「これ、ほんまに再建築不可なん?」
となることがあります。
もちろん逆もあります。
普通に建て替えできると思っていた。
現地を見る。資料を見る。道路を調べる。
役所でも確認する。「あら……」
となることもあります。
昔誰かに言われた一言だけで決めつけないことです。
再建築不可物件は住宅ローンが難しくなる?売却価格にも影響します

再建築不可物件が安くなりやすい
理由は一つではありません。
建て替えに制約がある。
将来の利用方法が限定されやすい。
金融機関によっては担保評価や融資審査が厳しくなる。
その結果、購入できる人・購入したい人が
限定され、市場性が低くなりやすい。
ただし、再建築不可=価値ゼロではありません。
駅から近い。建物がまだ使える。
賃貸需要がある。隣地所有者にとって価値がある。
接道条件を再調査する余地がある。
43条2項の認定・許可を検討できる可能性がある。
物件ごとに全然違います。
それでも再建築不可物件は売れます!弊社が実際に扱った物件です

ここまで法律の話を散々しました。
でも弊社は道路の講義をしている会社ではありません。
実際にこういう家を売ったり
買ったりしている不動産会社です。
大阪市住吉区南住吉・前面通路の再建築不可長屋
前面が通路で再建築不可だった昭和42年築の長屋です。
大阪市住吉区南住吉。
前面通路の再建築不可長屋。弊社売却実績。
大阪市住之江区御崎・前面道路約1.6mの連棟住宅
こちらは長屋2軒を1軒にした連棟住宅。
前面道路約1.6mの再建築不可物件でした。
大阪市住之江区御崎。前面道路約1.6mの
再建築不可連棟住宅。弊社売却実績。
大阪市東住吉区今川・大量家財ありの再建築不可長屋
こちらは再建築不可に加えて、
宅内には大量の家財が残っていました。
それでも弊社では、
家財を残した現状のまま買取しています。
大阪市東住吉区今川。再建築不可
・大量家財ありの長屋を弊社で現状買取。
こうして実物を見ると、
「再建築不可」いうても全部違うやろ?
というのが分かってもらえると思います。
再建築不可物件を売る前に、最低限ここだけ確認!

ここまで全部覚える必要なんかありません。
売主さんなら、まずこの辺です。
前面の道は建築基準法上の何道路なのか。
その道路に敷地が何m接しているのか。
42条2項道路や附則5項道路なら道路後退はどうなるのか。
私道なら所有関係・持分・通行・
配管・掘削はどうなっているのか。
接道義務を満たさないなら
43条2項の認定・許可を検討できる余地があるのか。
長屋なら道路以外の問題はないのか。
ここまで調べて初めて、
「ほんまに再建築不可なのか」
「なぜ再建築できないのか」
「それでも利用価値はあるのか」
「いくらなら売れるのか」という話へ進めます。
「前に道がある」だけでは何の答えにもなってません
長かったですね。
タイトルで先に言うてますからね。
ちょっと長いけど辛抱して読んでな。
ここまで読んでくれた方、
ありがとうございます。
再建築不可をものすごく簡単に説明するなら、
家の前に道があるかどうかではなく、
その道が建築基準法上どのような道路で、
その敷地が法律上どのように接しているのかを見る。
まずここからです。
42条1項1号~5号。42条2項道路。
附則5項道路。建築線。セットバック。私道。
私道持分。通行。掘削。43条2項1号の認定。
43条2項2号の許可。さらに長屋なら連棟状態。
大阪の古い家になると、これらが一つではなく、
二つ三つ一緒に出てくることがあります。
だから弊社は再建築不可物件ほど現地を見ます。
道路を見ます。資料を見ます。
必要なら役所でも確認します。
「再建築不可」たった5文字です。
でも、その5文字の中身は物件ごとに違います。
不動産好きのお方!
ここまで読んだら、次に古い家を見かけた時、
建物より先に前の道路を見てしまうかもしれません。
それでええんです。
不動産屋も案外、家より先に道をじーっと見ています。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
どんな物件買取もお任せ下さい!
若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!
家の買取や売却のご依頼・ご相談は
ワンちゃんと古い家が大好きな白髪交じりの私・松本が全てご対応いたします!
