『大阪市内の贈与で受けた長屋を売ろうと3社に査定を頼んだら・・なんとま~お見事な査定額!?』
大阪市内にある一軒の古い長屋。
今回の売主さんは65歳の女性です。
この長屋、自分で買った家ではありません。
約10年前に贈与で受けた不動産でした。
その後は人に貸して家賃収入を得ていましたが、
入居者さんが退去してからは
次の募集をすることもなく、そのまま空き家に。
気がつけば約4年です。
「もう貸すのもええかな……」
そこで売却することになりました。
一番の希望は「高く売りたい!」ではありませんでした
この売主さん、
もちろん安く売りたいわけではありません。
そら500万円で売れるものを
400万円で売る必要はありませんからね。
ただ、約10年前に贈与で受け、
その後は何年間か家賃収入もありました。
そのため今回の売却で一番重視していたのは、
「もう面倒なん嫌やねん。
できるだけ手間かけんと売りたい」ここでした。
リフォームして高く売る。
荷物を全部片付けてから売る。
何度も不動産会社と打ち合わせする。
そういうことより、
今の状態で、なるべく手間をかけずに売りたい。
そこでタイプの違う3社へ
買取査定を頼むことになりました。
まず来たのは大手不動産会社の20代半ばの営業さん
1社目は大手不動産会社。
やって来たのは20代半ばくらいの若い営業さんです。
スーツもビシッ。
説明もきっちり。
若いから経験がないとか、そんな話ではありません。
大手には大手の良さがあります。
会社名を聞いただけで、
「ああ、知ってる会社や」という安心感もあります。
担当者一人だけではなく、
会社という看板を見て選べるのも大手の強みでしょう。
ただ、この日は買取価格までは分かりませんでした。
「社内で検討してご連絡します」とのこと。
最終的に査定額が分かったのは、
現地を見てから約10日後でした。
2社目は地元の不動産会社
次に来たのは30代前半くらいの営業さん。
こちらはいわゆる地元の不動産会社です。
地元業者の強みはやっぱり地域を知っていること。
「この辺はよく取引しています」
「この辺りの長屋なら分かりますよ」
こういう言葉は売主さんにとって安心材料になります。
特に古い長屋は建物だけ見て終わり、
とはいきません。
前の道はどうなっているのか。
建て替えできるのか。
隣の家とどのようにつながっているのか。
境界はどうなっているのか。
排水はどこへ流れているのか。
古い大阪の長屋では、こういうところも大切です。
再建築できない長屋については、
弊社でも実際の事例をもとに詳しく書いています。
この地元不動産会社から
査定額が届いたのは、約1週間後でした。
最後にやって来たのは50代後半の一人社長
そして3社目。
50代後半。
一人で不動産会社を経営している社長さんです。
20代半ば。
30代前半。
そして50代後半。
一人だけ、ちょっとお年を召しております(笑)。
いや老けているようにも見えますが・・。
大手のような大きな看板はありません。
社員が何十人もいるわけでもありません。
そんな不動産屋の場合、
売主さんが見るものは自然と変わります。
「この人、今まで何してきた人なん?」
ここです。
古い家をどれくらい見てきたのか。
長屋を扱ったことがあるのか。
再建築できない家は?雨漏りしている家は?
荷物が残った家は?
結局、一人社長が売るものは自分の経験になります。
そして一通り現地を見たあと――。
「うちやったら350万円ですね」
その場で金額が出ました。
早っ!!
まだ先に来た2社の金額、出てへんがな(笑)。
査定に来た順番と、価格が分かった順番が真逆でした
現地へ来た順番は、
大手 → 地元 → 一人社長。
ところが買取価格が分かった順番は、
一人社長 → 地元 → 大手。
最後に来た不動産屋の金額が、
一番最初に分かりました。
もちろんこれは今回の一例です。
一人社長なら必ず早い、大手なら時間がかかる、
という話ではありません。
会社によって査定方法も決裁方法も違います。
そして数日後。
地元不動産会社から回答がありました。
350万円。
「ほう……」
さらに数日後。
大手不動産会社からも回答が来ました。
350万円。
……。
一人社長、350万円。
地元不動産会社、350万円。
大手不動産会社、350万円。
なんとま~~~お見事!
3社ともピッタリ350万円。
売主さんも、「全部一緒やん!」
そら言いますわ(笑)。
ところが今回の話。
面白いのはここからなんです。
査定額が全部同じになったら、次は何を見る?
300万円。
350万円。
400万円。
これなら比較は簡単です。
もちろん条件にもよりますが、同じ条件なら
高く買ってくれる会社に気持ちが動くでしょう。
ところが今回は、
350万円・350万円・350万円。
価格では決められません。
そこで初めて、その売主さんが
何を大切にしているのかが見えてきます。
今回の65歳の売主さんなら、
「手間をかけずに売りたい」でした。
ならば見るべきなのは
350万円という数字だけではありません。
残っている荷物はそのままでいいのか。
雨漏りなどが見つかっても大丈夫なのか。
契約までに何回現地へ行かなければならないのか。
契約後に査定額が変わる可能性はないのか。
決済・引渡しまで誰が担当するのか。
いつ代金を受け取れるのか。
古い長屋を買取で売却するなら、査定額の
横にある条件も確認しておいた方がいいと思います。
弊社でも、老朽化した長屋や家財が残った長屋などを
現状のまま買取した実績があります。
大手は「会社」、地元業者は「地域」、一人社長は「経験」
今回の3社を見ていると、
なかなか面白い違いがあります。
大手不動産会社なら、会社そのものの安心感。
地元不動産会社なら、地域を知っている安心感。
一人社長なら、その人が積み重ねてきた経験。
どれが一番という話ではありません。
「やっぱり大きな会社が安心や」
という人もいるでしょう。
「この町のことを知ってる不動産屋がええ」
という人もいる。
「会社より担当する人を見る」という人もいます。
もちろん、
「そんなんどうでもええ!1円でも高いところや!」
という人もいます(笑)。
それも立派な選び方です。
ところがこの二人、長屋の話をあんまりしていません
今回の65歳の売主さん。
50代後半の一人社長と話をしているうちに、
なぜか昔の話になりました。
そしていつの間にか――。
バブル時代の話。
「あの頃はすごかったなぁ」
「土地の値段、毎年上がってましたもんね」
「そうそう!」
……。
長屋の査定、どこ行ったんや(笑)。
最近は「昭和レトロ」「平成レトロ」
なんて言葉もあります。
若い人から見れば、
昔の喫茶店や古い街並みも新鮮に映るのでしょう。
しかし65歳と50代後半。
この二人にとってはレトロでも何でもありません。
リアルタイムです。
その時代を実際に知っている二人ですから、
話が合う。
気がつけば長屋の話より
昔話の方が長くなっていました。
でも不動産売却って、
案外こういうところもあると思うんです。
最後は「波長が合う」も立派な判断材料
不動産は、金額だけで
決めるものだと思われがちです。
もちろん金額は大切です。
しかし今回のように3社とも
同じ350万円だったらどうでしょう。
話しやすい。質問しやすい。
こちらの事情を分かってくれる。電話しやすい。
そして、
なんとなく波長が合う。
これも不動産会社を選ぶ一つの基準だと思います。
特に古い長屋は、
契約してハイ終わり!ではありません。
契約から決済、
引渡しまで確認することも出てきます。
そんなとき、「この人やったら聞きやすいな」
と思えることは、案外大事なことです。
今回の長屋。
大手不動産会社。
地元の不動産会社。
一人社長の不動産会社。
査定額は全社350万円でした。
会社の大きさを見るのか。
地域に詳しいことを見るのか。
担当者の経験を見るのか。
査定の早さを見るのか。
手間がかからないことを見るのか。
それとも最後は、人と人とのフィーリングなのか。
不動産会社の選び方は、売主さんによって違います。
だから3社の査定額が同じだった今回のケースは、
逆に不動産会社それぞれの違いがよく見えました。
大阪市内には、まだまだ古い長屋がたくさんあります。
「こんな古い長屋でも売れるんかな?」
「荷物も残ってるけど大丈夫?」
そんな方は、査定額だけではなく
その350万円でどこまでやってくれるのかも
聞いてみてください。
そしてもし――。
3社とも同じ査定額だったら。
そのときは、ちょっと考えてみてください。
あなたなら、不動産会社の何を見て選びますか!?
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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