『好きなことして逝ったわ、不動産好きの父親が遺したものとは?』
『好きなことして逝ったわ、不動産好きの父親が遺したものとは?』

2025年12月、79歳のお父さんが亡くなりました。
若い頃は不動産の仕事をしていたお父さん。
バブル崩壊後しばらくして会社を畳み、
その後は悠々自適……というより、家族から見ると
好きなことをして暮らしていた人だったそうです。
葬儀も終わり、少し落ち着いた頃。
75歳のお母さんと48歳の娘さんが預貯金を
確認してみると、残っていたのは約300万円。
お母さんがポツリ。
「あの人はお金も残さんと、好きなことして逝ったわ」
娘さんも、
「まあ、お父さんらしいんちゃう」
この時点では、それで話は終わっていました。
春になったら、なんか届いた

ところが2026年の春。
お母さんのところへ固定資産税関係の書類が届きます。
「東淀川区……? 何これ?」
金額は5,000円ほど。
調べてみると、お父さん名義の不動産がある。
家族、誰も知らん。
そして5月。
今度は松原市から。
さらに5月末には――
「淡路市役所……?」
お母さん、封筒を開けて、「は~~?」
淡路島にも家がある。
ここまでで3軒です。
娘さんもさすがに思います。
「お母さん、これ……ほかにもあるんちゃう?」
「知らんがな!」
「なんでお父さんが家持ってるって知らんかったん?」
すると、お母さん。
「ポスト見るのはお父さんの仕事やったんよ。若い頃から」
娘さん。
「何の仕事や」
どうやら固定資産税の通知も、お父さんが
自分で受け取って、自分で払っていたようです。
そしてお母さん、ここでようやく気付きます。
「だから預貯金300万円しか残らんかったんか!」
お金が消えたんやなくて、家に変わっとったんです。
「ほかにもないか調べよ!」

お母さんも75歳。
ここからは娘さん夫婦の出番です。
ちょうど2026年2月2日から
所有不動産記録証明制度が始まっていました。
これは相続人などが法務局へ請求することで、
亡くなった人が登記簿上の所有者として記録されている
不動産を一覧的に調べられる制度です。
まさに今回のような
「親がどこに不動産を持っていたか分からん!」
というケースで役立ちます。 (法務省)
そして調べていくと――
もう1軒出てきました。
生野区の借地上にある古い長屋。
しかもこちらは固定資産税の通知が手掛かりにならず、
地主さんが誰なのかも分からない。
娘さん夫婦が近所の人に聞いて回り、
ようやく地主さんまでたどり着きました。
結局、お父さんは4軒持っていた

出てきた不動産を並べると、なかなか個性的です。
東淀川区は、路地を入った一番奥の再建築不可の長屋。
松原市は約60㎡の中古マンション。
淡路島には古い平家。
そして生野区には借地の長屋。
なんでしょう。
元不動産屋のお父さん、会社を辞めても
**不動産を買うのが趣味みたいになってたんちゃうか?
**と思いたくなるラインナップです。
娘さんが言いました。
「とりあえず、これ売れるか不動産屋に見てもらおっか」
そして旦那さんを見て、
「あんた宜しく!」
優しい旦那さん、一括査定で疲れる

旦那さんも真面目な人です。
「マンションは60㎡あるから、
たぶん大丈夫やろ。ほかから調べるか」
まず東淀川区の長屋を一括査定へ。
ところが査定価格はバラバラ。
電話もかかってくる。メールも来る。
そして旦那さん、
「あかん……もう面倒くさくなってきた。
1社に全部見てもらった方が早そうやな……」
そこで弊社へお問い合わせいただきました。
ご家族としては、
「全部売れそうやったら、とりあえず相続しとこか」
という感じです。
弊社で概算してみると、
東淀川区の再建築不可長屋が約150万円。
生野区の借地長屋は約30万円。
こちらは地主さんとの話し合い次第では、
建物を解体して土地を返す方向も検討です。
淡路島の平家は地元の不動産会社によると、
100万円前後なら売却できそう。
そして松原市の中古マンション。約1,200万円。
全部合わせると、おおよそ1,480万円。
すると、最初は「あの人、お金も残さんと……」
と言っていたお母さんが、
「あの人、えらいお金残して逝ってくれたやんか~」
お父さん。
亡くなってから評価急上昇です。
「私が相続するわ!」

すると娘さん。
「私が相続するわ! お兄ちゃん何にもしてへんからな!」
いやいや(笑)。
相続人は、お母さん、長男さん、娘さんの3人。
娘さんだけで決めるわけにはいきませんので、
そこは皆さんで遺産分割の話をしていただくことになります。
しかし今回、最後にもう一つ問題がありました。
お父さんが購入した時の売買契約書が一枚もない。
かけらもありません。
相続した不動産を将来売却するとき、被相続人が
いくらで取得したかは譲渡所得の計算にも
関係しますので、これはまた別のお話になってきます。
(国税庁)
そしてもう一つ。
この4軒について過去に何があったのか。
お父さんはもういない。
お母さんは、
そもそも家を持っていたことすら知らなかった。
娘さん夫婦も今回初めて知った。
となると――
過去の告知事項なんか、誰に聞いたらええんや……。
これから現地を見て、資料を調べて、分かる範囲で
一つずつ確認していくしかありません。
不動産屋、大変やぞ~~。
……あっ、うちや!
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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