『家の売却が終わって安心した奥さん…確定申告の時期に戻った記憶「売買契約書、捨てた!」えらいこっちゃ!』

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「この売買契約書は、

家を売ったあとも捨てないでくださいね」

 

そうお伝えしたのは、

家の売却を任せていただいたときでした。

 

約20年前、この家を購入したときの売買契約書です。

 

売却の契約時にも、奥様が保管されていた

契約書を実際に見せてもらいました。

 

「これです。ちゃんと置いてありますよ」

 

「はい。それ、大事にしまっておいてくださいね。

売却したときの税金を計算する際、

取得費を確認する大切な資料になりますから」

 

奥様も「分かりました」と答えていました。

 

家の買い手も無事に決まり、売買契約を締結。

 

その後、決済・引き渡しも終わりました。

これで一件落着。

 

……のはずでした。

 

まさか、そのあとにあの契約書がなくなるとは、

こちらも思っていませんでした。

 

無事に家が売れた。「これで全部終わった」

 

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家を売るというのは、

売主さんにとって大きな出来事です。

 

査定をして、不動産会社と打ち合わせをして、

売り出して、購入希望者が現れて、売買契約をする。

 

そして最後に決済と引き渡し。

 

売却代金が入り、鍵を買主へ渡せば、

「終わったー!」

という気持ちになるのも無理はありません。

 

奥様もそうだったのだと思います。

長年所有してきた家の売却が無事に終わった。

 

それまで保管していた不動産関係の書類も、

もう必要ないだろう。

 

そこで家の書類を整理されたのでしょう。

そして、あの契約書も処分してしまった。

 

そう20年前、この家を購入したときの売買契約書です。

 

おそらく、そのときの奥様にとっては

「もう売ってしまった家の古い契約書」だったのでしょう。

 

ところが、不動産売却は

家を引き渡したらすべて終わりとは限りません。

 

その後にやってくるものがあります。

確定申告です。

 

 

「購入したときの売買契約書、ありますよね?」

 

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しばらくして、奥様から連絡がありました。

 

確定申告の準備をしているとのことでした。

 

不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、

原則として確定申告が必要になります。

 

そこで重要になるものの一つが、

その不動産をいくらで取得したのかという情報です。

 

不動産の譲渡所得は、大まかにいうと、

売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除

という考え方で計算します。

 

取得費とは、土地・建物の購入代金や

購入時にかかった一定の費用などです。

 

なお、建物の取得費については所有期間中の

減価償却費相当額を差し引いて計算するため、

「昔の購入価格がそのまま取得費になる」

というわけではありません。

 

その計算をするうえで、

購入時の売買契約書は非常に重要な資料になります。

 

そこで確認しました。

「購入されたときの売買契約書、

置いてありますよね?」

 

奥様から返ってきた答えは、

「……それが、ないんです」

 

「え?」

 

「家が売れたあとに、

もういらないと思って処分してしまって……」

 

……あれほど大事に置いておいてくださいと

お伝えした、あの契約書です。

 

しかも売却の契約時には、

実物まで見せてもらっていました。

 

確かにあったんです。

 

 

「コピー、持っていませんか?」

 

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奥様も、そこで事の大きさに気づいたのでしょう。

 

「そちらにコピー、残っていませんか?」

残念ながら、ありません。

 

今回の売却に必要な資料は保管していますが、

こちらが約20年前の購入時の売買契約書一式を

当然に保管しているわけではありません。

 

すると、

「司法書士さんは持っていませんかね?」

 

それも確認する方法の一つでしょう。

 

しかし、購入したのは約20年前です。

 

当時関わった司法書士事務所に、

今も資料が残っているとは限りません。

 

しかも調べてみると、

当時の司法書士事務所自体がすでに閉鎖していました。

 

20年という時間の長さを、

こんなところで実感することになります。

 

奥様も焦ります。

「どうしましょう……」

 

家はもう売ってしまった。

決済も終わった。

 

でも、20年前の家の購入価格を示す

大切な資料を、自分で処分してしまった。

 

そして、どうやらご主人にも知られてしまった。

 

えらく怒られたそうです。

 

責めても契約書は戻ってきません。

 

奥様からすれば、「家も売れたし、もう必要ない書類」

と思って整理しただけだったのでしょう。

 

だからこそ、何ともお気の毒な話です。

 

売買契約書がないと「取得費」が問題になる

 

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ここで重要になるのが、

先ほど出てきた「取得費」です。

 

国税庁では、土地や建物の取得費が分からない場合などに

ついて、売却した金額の5%相当額を

取得費とすることができるとしています。

 

たとえば、4,000万円で不動産を売却した場合。

その5%は200万円です。

 

「実際にはもっと高い金額で購入したはずなのに……」

 

となれば、取得費をきちんと確認できるかどうかによって、

譲渡所得の計算に大きな違いが出る可能性があります。

 

ただし、ここは誤解してはいけません。

 

「売買契約書をなくした=

必ず取得費が売却価格の5%になる」わけではありません。

 

契約書以外の資料などによって、

実際の取得価額を合理的に説明できないか

検討できる場合もあります。

 

そのため、契約書を紛失してしまった場合は

自己判断せず、税理士や税務署へ相談することが大切です。

 

「税理士さん、何とか購入価格を出してもらえませんか…」

 

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奥様も税理士さんへ相談されたそうです。

「何とか当時の取得価格を出してもらえませんか」

とお願いされたとのこと。

 

気持ちは、本当によく分かります。

 

20年間保管していた契約書を、自分で捨ててしまった。

 

しかも確定申告の直前になって、

その重要性に気づいた。

 

何とかならないかと思うでしょう。

 

ただし、ここにも注意が必要です。

 

税理士が何らかの資料を基に取得時の価格を

検討したとしても、推定した金額がそのまま

税務上の取得費として認められるとは限りません。

 

大切なのは、

「20年前、このくらいで買ったと思います」

 

ではなく、

「20年前にこの金額で取得したことを、

どの資料によって説明できるのか」ということです。

 

だからこそ、税理士に相談しながら、

残っている資料をできる限り探すことが重要になります。

 

売買契約書をなくしたら、ほかの資料も探してみよう

 

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購入時の売買契約書を紛失したからといって、

すぐに諦める必要はありません。

 

まず、購入当時の資料が

どこかに残っていないか探してみましょう。

 

購入代金の支払いを確認できる資料、

住宅ローン関係の資料、当時の不動産会社や

売主側に残っている資料などが見つかる可能性もあります。

 

 

ただし、何が取得費を裏付ける資料として

使えるのかは個別事情によって異なります。

 

そして20年前、30年前となれば、

今回の司法書士事務所のように、当時関係した会社や

事務所そのものがなくなっていることもあります。

 

「なくしても、どこかにコピーがあるだろう」

とは考えないほうがいいでしょう。

 

結局、一番確実なのは、

自分で大切に保管しておくことです。

 

 

20年間保管して、一番必要になる直前に捨ててしまった

 

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今回の奥様は、購入時の売買契約書を

ずっと保管されていました。

 

約20年間です。

引っ越しもあったでしょう。

 

家の片付けも何度もされたでしょう。

 

それでも残っていた。

 

そして皮肉なことに、

一番必要になる可能性がある

タイミングの直前に処分してしまった。

 

家が売れた。

代金も入った。

 

鍵も渡した。

 

「これで全部終わった!」

そう思ってしまう気持ちはよく分かります。

 

でも、不動産売却は決済が終わったあとにも、

税金の手続きが残る場合があります。

 

だから、家が売れた直後に不動産関係の書類を

まとめて処分するのはおすすめできません。

 

特に、

購入時の売買契約書や領収書など、

取得費に関係する資料は大切に保管しておきましょう。

 

 

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今回、売却の契約をしたときに

奥様へお伝えしていました。

 

「この契約書、大事にしまっておいてくださいね」

 

それでも、人間ですから忘れることはあります。

家が無事に売れれば安心します。

 

長年の書類も整理したくなるでしょう。

 

だからこの記事を読んでいる方には、

一つだけ覚えておいていただきたいのです。

 

家を売っても、買ったときの

売買契約書は捨てないでください。

 

「20年前の古い書類だから、もういらない」

ではありません。

 

その古い契約書が、将来、不動産を売却したあとの

税金を考えるうえで、

とても重要な資料になるかもしれないのです。

 

不動産売買等でのよくある質問

 

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家を売ったら購入時の売買契約書は捨ててもいいですか?

 

おすすめできません。

 

売却後の確定申告で取得費を確認する

重要な資料になる可能性があります。

 

売却が終わったあとも大切に保管しておきましょう。

 

購入時の売買契約書をなくしたら、取得費は必ず売却価格の5%ですか?

 

必ずそうなるとは限りません。

取得価額を確認できる別の資料などから

検討できる場合があります。

 

紛失している場合は、

税理士や税務署へ相談することをおすすめします。

 

取得費が分からない場合はどうなりますか?

 

国税庁では、取得費が分からない場合などに、

売却金額の5%相当額を取得費とする取扱いを示しています。

 

実際の取得費がそれより大きい可能性があるなら、

まず購入当時の資料を探してみましょう。

 

昔の売買契約書は不動産会社や司法書士が持っていますか?

 

残っている場合も考えられますが、

長期間経過していれば保管されているとは限りません。

 

会社や事務所自体が閉鎖・廃業している可能性もあります。

自分で保管しておくことが大切です。

 

家を売ったら必ず確定申告が必要ですか?

 

すべての売却で一律に必要になるわけではありませんが、

譲渡所得が生じた場合や各種特例を利用する場合など、

確定申告が必要になるケースがあります。

 

判断に迷った場合は税務署や税理士へ確認しましょう。

 

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筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
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若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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