『弊社とはほぼ無縁だけれどちょっとは知りたい一棟収益マンションの行方【2026年大阪秋版】』
今回は、弊社とは
ほぼ無縁の不動産について書いてみます。
一棟収益マンションです。
弊社が普段査定しているのは、
大阪の長屋や古家、空き家など。
「雨漏りしてますね~」
「この家、再建築できへんな……」
「この排水、どこへ流れとんねん?」
そんなことをやっている会社です(笑)。
数億円もするピカピカの一棟マンションなんて、
同じ不動産ではありますが、私からすればほぼ別競技。
ただ最近、この一棟収益マンションの動きが
ちょっと気になります。
私はこの分野に詳しくありません。
そこで今回は、
「今、大阪の一棟マンションってどうなってんの?」
素人に毛が生えたくらいの気持ちで調べてみました。
先日来られた一棟マンションオーナーさんの一言
この記事を書こうと思ったきっかけは、
先日弊社へ来られたお客さんです。
この方、一棟マンションを所有されています。
話をしていると、こんなことを言われました。
「一棟マンションなんかな、
20年過ぎて持っとったら利回りどころやないで!」
えっ?
一棟マンションって毎月家賃が入ってきて、
「表面利回り6%!」「満室稼働中!」
そんな数字を見ながらニコニコする世界ちゃうの?
話を聞いていると、どうもそんな単純ではないようです。
「昔1,000万円くらいやった外壁が今1,600万円やで」
特に印象に残ったのが修繕費の話でした。
そのお客さんいわく、
「数年前なら1,000万円くらいでできた外壁塗装が、
今やったら1,600万円くらいや」
もちろん、これはその方が
所有するマンションについて聞いた話。
建物の規模も違えば工事内容も違いますので、
「大阪のマンションの外壁塗装は1,600万円です!」
という話ではありません。
しかし1,000万円でも、
普段長屋を見ている私からすると十分高い。
それが1,600万円。
600万円増えとるがな!
調べてみると、国土交通省が紹介している大規模修繕工事の
目安でも、工事費は1戸あたり100万~250万円程度。
もちろんマンションの仕様や条件によって大きく変わります。
30戸なら単純計算でも3,000万~7,500万円。
50戸なら……。
もう計算するのやめとこ(笑)。
外壁だけではない。マンションも当然歳を取る

戸建だって古くなればお金がかかります。
屋根。外壁。給湯器。水回り。
マンション一棟なら、そのスケールが大きい。
外壁、屋上防水、給排水設備、消防設備、共用部分……。
そしてエレベーター。
エレベーターについても国土交通省は、
設置後の適切な維持管理や検査が必要だとしています。
(国土交通省)
こういう話を聞くと、
「満室やったら儲かるやん!」
だけでは一棟マンションの収支は語れないんでしょうね。
家賃は毎月チャリンチャリンと入ってくる。
ところがある時、修繕費がドカーン!
先ほどのお客さんの、
「20年過ぎて持っとったら利回りどころやないで!」
という言葉が、ちょっと分かる気がしてきました。
ところが最近、新築一棟マンションがそのまま売られている

そこで現在の大阪の収益物件を調べてみました。
すると面白い。新築なのに売っている。
しかも、満室なのに売っている。
例えば2026年築、大阪市都島区の一棟マンションで
**2億9,800万円・現況満室・利回り4.61%**
という売物件があります。
大阪市住吉区でも、2026年築・15戸・満室稼働中で、
価格2億500万円、表面利回り5.88%という
一棟物件が掲載されています。
建築中の段階から「満室想定利回り○%」として
販売されている一棟物件まであります。
ここで私は素朴な疑問。
なんで?
せっかく建てたんやで?
入居者も入った。満室になった。
これから家賃が毎月入ってくる。
普通なら、「よっしゃ!これから回収や!」
と思いません?
ところが、「満室になりました!」
↓
「ほな売りましょか!」
もう売るんか~い(笑)。
「賃貸マンションを建てた」のではなく「商品を製造した」?
ここからは私なりに調べて感じたことです。
そもそも長期間マンション経営をすることが目的ではなく、
土地を仕入れる。
↓
マンションを企画して建築する。
↓
入居者を募集する。
↓
満室、あるいは高稼働の状態にする。
↓
一棟の収益不動産として売却する。
こういう事業として考えれば、なるほど話が分かる。
つまり、
「賃貸マンションを建てた」というより、「満室の収益不動産という商品を製造した」。
完成した商品を売って利益を確定する。
そしてまた次の商品を作る。
そう考えると、新築なのに売ることも不思議ではありません。
買う側からしても「満室」は分かりやすい
例えば5億円のピカピカのマンションがあっても、
入居者ゼロなら、「ほんまにこの家賃で埋まるん?」
という心配があります。
ところが実際に入居者が入り、家賃が発生していれば、
「現在の年間賃料収入はこれくらい」という数字が見える。
もちろん表面利回りは、
税金や維持管理費などを差し引く前の数字です。
実際、現在販売されている新築一棟物件でも
「満室想定利回り」は維持費等の控除前と明記されています。
利回り5%=5%丸々ポケットへ入る
ではありません。
先ほどの修繕費の話なんて、まさにそこでしょう。
だったら新しいうちに売るのも分からんではない
ここで先ほどのお客さんの話へ戻ります。
新築時には設備も新しい。外壁もきれい。
屋上防水も新しい。エレベーターも新しい。
ところが10年、15年、20年と経てば、
当然どこかに手を入れる時期が来ます。
だったら、
大きな修繕費が発生する前に売却して利益を確定する。
そう考える事業者がいても不思議ではありません。
ただし私は一棟マンションの専門家ではありませんので、
「みんな修繕費が嫌だから新築で売っている!」
なんてことを言うつもりはありません。
最初から開発・売却を目的にしている会社もあるでしょうし、
資金を回転させて次の開発へ進む目的もあるでしょう。
ただ、今日聞いた、
「20年過ぎて持っとったら利回りどころやないで!」
という実際のオーナーさんの言葉を聞くと、
長く保有する側には長く保有する側の大変さがあるんやな
とは思います。
そして最後は「誰が買うん?」という話になる
ここが私には一番不思議です。
2億円。3億円。
5億円。誰が買うねん(笑)。
しかし現在の大阪には、億単位の
一棟収益物件が普通に商品として並んでいます。
2026年10月時点でも、大阪府内では1億円台から
数億円クラスまで多数の一棟収益物件が掲載されています。
当然、ここには金融機関の融資が
大きく関係してくるのでしょう。
金利が上がれば? 銀行の評価が厳しくなれば?
建築費がさらに上がれば?
買主が期待する利回りが上がれば?
そうなると、この
「土地を買う→建てる→入居者を入れる→売る」
というマンション製造業にも影響が出るはずです。
この一棟マンション市場、5年後どうなっているんでしょう?
ここから先は私にも分かりません。
土地は高い。建築費も高い。
金利も以前とは違う。
そして建物を長期間保有すれば修繕も待っています。
それでも2026年秋現在、
大阪では億単位の一棟収益物件がまだまだ市場に出ています。
普段、数百万円の長屋を見ながら、
「この雨漏りどうしよ?」
と言っている私からすると、ホンマに別世界です(笑)。
ただ、同じ大阪の不動産。
たまにはこういう世界を覗いてみるのも面白い。
そして今回、いろいろ調べてみて最後に残ったのは、
やっぱり先日のお客さんのこの一言でした。
「20年過ぎて持っとったら、利回りどころやないで!」
数年前なら1,000万円くらいだったという
外壁工事が、今なら1,600万円くらい。
毎月の家賃だけ見ていたら分からない世界があるようです。
私はやっぱり明日も――
長屋の査定に行ってきます(笑)。

- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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