『相続人50人…この空き家、一体誰が片付けるん?大阪の長屋買取が得意な不動産屋が本気で法律を考えてみた!【後編】』
前編では、相続登記義務化や住所変更登記義務化が
始まった今でも、現場には「誰も動かせない空き家」が
数多く残っていることを書かせていただきました。
その中でも特に深刻なのが、
「相続人が30人、40人、50人…。」というケースです。
でも、
「そんなに相続人って増えるもんなん?」
そう思われた方も多いのではないでしょうか。
おじいちゃんの代で止まった相続が、孫の代で大問題になる
例えば昭和40年代。
おじいちゃんが大阪市内に長屋を購入しました。
やがておじいちゃんが亡くなります。
本来なら、その時点で子どもたちへ
相続登記をすればよかったのですが、
「兄弟でまた話そう。」
「急がへんし、そのうちな。」
そうして何十年も放置されます。
すると今度は子どもの世代で相続が発生します。
兄弟4人だったとしても、それぞれに
子どもが2人、3人いれば、その子どもたち全員が
新たな相続人になります。
さらに年月が流れれば、その孫の世代へ。
また相続が起きます。
こうして権利が枝分かれしていくと、
10人…。20人…。
30人…。40人…。
50人…。
決して大げさな話ではありません。
現場では実際に起きていることなのです。
だから私は、お客様によくこうお話しします。
「相続登記は、自分のためだけやありません。
子どもや孫を困らせないためにも早めにしておきましょう。」
プロでも途中で諦める案件があります
先日、土地仕入れを専門にしている
不動産業者さんと話をしていた時のことです。
その方がこんな話をしてくださいました。
「相続人が30人近くいる土地を買おうとしたんですよ。
でも途中で断念しました。」
理由を聞くと、
戸籍を追いかけ、全国へ連絡を取り、
相続関係を整理するだけで膨大な時間と費用がかかる。
商売として成立しない。
そんな判断だったそうです。
私は思わず、
「やっぱりそうですか…。」と答えました。
一般の方だけではありません。
プロでも手を引く案件がある。
それが今の空き家問題の現実なのです。
私なら、こんな制度も議論してみたい
ここから先は、法律ではありません。
30年近く大阪で長屋や借地、相続案件を
見続けてきた一人の不動産屋としての私案です。
例えば、長年放置され、
相続人が何十人にもなり、
誰も管理せず、近隣住民だけが困っている空き家。
こうしたケースでは、
一定期間、官報やインターネットなどで広く公告を行い、
権利を主張する人へ十分な機会を与える。
それでも何年も誰も現れず、適正な手続きを経た場合には、
家庭裁判所などの関与のもとで管理や処分を
前へ進められる制度があってもいいのではないか。
もちろん反対意見もあるでしょう。
海外在住の相続人もいます。
事情があって動けない方もいます。
だから慎重な制度設計は絶対に必要です。
しかし一方で、地域全体が何十年も迷惑を受け続ける現実も、
私は考えなければならないと思っています。
「最大93%減額」の報道を見て思ったこと
最近、相続土地国庫帰属制度で国が引き取った土地について、
売却価格を段階的に引き下げ、最大で評価額の約93%減額まで
可能とする運用が報じられました。
もし今後、このような運用が広がるとしたら、
所有者不明土地や空き家問題は少し前へ進むのかもしれません。
ただ、これはまだ制度運用が始まったばかりです。
そして私は、現場を見てきた一人として
こんなことも思います。
国が管理する土地だから
悪い土地という意味ではありません。
しかし、市場では最初から
売れにくい土地も少なくありません。
接道条件。土地の形。
利用方法。様々な事情があります。
だから私は、価格を下げることだけではなく、
その土地をどう活用するか
まで考える仕組みも必要ではないか。
そう感じています。
空き家税だけでは解決できない問題
空き家税が導入されれば、
売却を考える方は増えるでしょう。
しかし、
相続人が30人、40人、50人いる家はどうでしょう。
税金を払う人が決まらない。
代表者も決まらない。
話し合いも始まらない。
そんなケースでは、税金だけでは解決できません。
だから私は、「動かない不動産を、どうやって動かすか。」
そこを議論する時代に入ったと思っています。
Q&A
Q. 相続人が50人になることは本当にありますか?
あります。
相続登記を何世代も放置すると、子・孫・ひ孫へと
権利が枝分かれし、数十人規模になることがあります。
Q. 相続登記義務化だけで解決しますか?
大きな前進ですが、すでに複雑になった
相続関係まで一気に解決するのは難しいケースもあります。
Q. 相続人が多い空き家でも相談できますか?
もちろんです。
まずは現状を整理し、
一歩ずつ解決策を考えることが重要です。

最後に
私は30年近く大阪で不動産業を続けてきました。
昔は「雨漏り」「シロアリ」「老朽化」が相談の中心でした。
しかし今は、「相続人が多すぎて誰も動けない。」
そんな相談が増えています。
法律も少しずつ変わっています。
行政も努力しています。
私たち不動産業者も知恵を絞っています。
それでも、まだ解決できていない問題があります。
だからこそ、現場を知る者として、これからも
「こんな制度があれば、もっと空き家は減るのではないか」
という提案を続けていきたいと思います。
机の上では見えないことが、
現場にはたくさんあります。
フォローウィンドコーポレーションの松本は、
大阪の長屋、借地、相続案件など、
複雑な不動産と30年近く向き合ってきました。
「こんな家、もうどうしようもない…。」
そう思う前に、一度ご相談ください。
一緒に、最善の方法を探していきましょう。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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