『誰が買うん?いつ工事するん?テレビの音少しだけ小そうしてや!長屋査定で出会った“とにかく隣が気になる人たち”がタイプ別で集合!』

 

長屋の査定へ行くと、

まだ玄関の鍵も開けていないのに、

隣の家のカーテンが少し動くことがあります。

 

そして玄関へ入り、

売主さんと話し始めて5分ほどすると――。

 

ピンポーン。

来ました。

 

お隣さんです。

「ここ、売りはるん?」

 

どこで聞いたんやろ。

 

こちらは今、初めて査定に来たところです。

価格も決まっていません。

 

売主さん自身も本当に売るか迷っている段階です。

 

それなのに、お隣さんの中ではすでに売却決定。

 

次の買主選びとリフォーム工事の打ち合わせまで

始まりそうな勢いです。

 

長年、長屋や古家の査定をしていると、

いろいろな“とにかく隣が気になる人”に出会います。

 

今回は個人が特定されないよう、

これまでに見聞きした話を混ぜながら、

タイプ別に集合してもらいましょう。

 

 

1.「誰が買うん?」買主面接官タイプ

 

最も多いのが、

次の買主を誰よりも早く知りたいタイプです。

 

「誰が買うん?」

「何人家族?」

 

「若い人?」

「住むん?貸すん?」

 

まだ査定価格すら出していません。

 

買主も決まっていないどころか、

売却そのものが決まっていない。

それでも質問は止まりません。

 

しまいには、

「変な人やったら困るで」と言われます。

 

こちらも心の中で思います。

「その面接、誰が合格出すんやろ……」

 

長屋は壁一枚でつながっています。

次に誰が住むのか気になる気持ちは分かりますが、

お隣さんに買主の決定権はありません。

 

けれど本人の気持ちは、

すでに町内会の最終面接官です。

 

2.「家財出す日は先に言うてな」工事監督タイプ

 

査定へ来ただけなのに、工事の日程を聞いてくる人もいます。

 

「家財、いつ出すん?」

「トラック止めるんやったら先に言うてな」

 

「工事は朝何時から?」

「日曜日は静かにしてや」

 

いや、まだ弊社が買うとも言ってません。

 

しかし、お隣さんの頭の中では、買取、家財撤去、

リフォーム、入居まで一気に進んでいます。

 

現場監督より先に工程表を確認しに来る。

 

こういう人に限って、工事が始まると

毎朝、職人さんより少し早く外へ出てきます。

 

「今日は何するん?」

「その木、どこへ使うん?」

 

「兄ちゃん、昨日より来るの遅かったな」

 

ほぼ出勤管理です。

 

 

3.「テレビの音、少しだけ小そうしてや」生活音把握タイプ

 

長屋は戸境壁が薄く、テレビ、電話、

足音などが聞こえることがあります。

 

だから次の入居者へ伝えてほしいと言われます。

 

「テレビの音、少しだけ小そうしてやって言うといて」

 

まだ誰が住むかも決まっていませんが、

最初の注意事項だけは決まりました。

 

さらに話を聞いていると、今まで住んでいた人の生活を

やたら詳しく知っています。

 

「毎晩11時ごろ風呂入ってはった」

「火曜日は帰ってくるの遅かったで」

 

「阪神負けた日はテレビ消すの早かったわ」

 

そこまで分かるんかい。

 

もしかしたら、何の番組を見ているかまで

把握していたのかもしれません。

 

長屋の壁には遮音性能がなくても、

情報伝達力はあります。

 

4.「ネズミの穴、ふさいでや」害獣国境警備隊タイプ

 

 

古い長屋では、ネズミや害虫の相談もあります。

 

「そっちの家、ネズミおるで」

 

「工事するんやったら穴ふさいでや」

ここまでは分かります。

 

ところが続けて、

「急にふさいだら、うちへ逃げてくるんちゃう?」

と言われます。

 

ふさいでほしい。でも、こちらへ来るのは困る。

 

ではネズミに事前説明会を開き、

別の進路を選んでもらいましょうか。

 

長屋では屋根裏や床下が連続している場合もあり、

片方の家だけ対策して終わりとは限りません。

 

笑い話のようですが、お隣さんにとっては

自宅へ影響する切実な問題です。

 

ただしネズミの現在地まで弊社に聞かれても、

それは分かりません。

 

 

5.「うちの雨漏り、そっちが原因ちゃう?」屋根裁判官タイプ

 

査定へ行っただけなのに、

突然、雨漏りの責任を問われることがあります。

 

「うち、あそこから雨漏りすんねん」

 

「たぶん、そっちの屋根から回ってきとるで」

 

長屋は屋根がつながっているため、

雨水の入口と室内へ現れる場所が違うことはあります。

 

しかし、現地調査もせずに原因は断定できません。

 

それでもお隣さんの判決は早い。

 

原告・お隣さん。

被告・空き家。

そして裁判長も、お隣さんです。

 

弊社は査定へ来ただけなのに、

気が付けば証人席へ座らされています。

 

「買うんやったら、ついでにうちの屋根も見てや」

“ついで”の範囲が、なかなか広いんです。

 

6.「切り離したら、うち弱なるやろ」解体差止めタイプ

 

長屋の一戸だけを解体する話が出ると、

お隣さんが不安になるのは当然です。

 

切り離し工事、防水、外壁補修、建物の強度。

自宅へ直接関係します。

 

ただ、中にはまだ売却も解体も決まっていない段階から、

 

「解体は絶対アカンで」

「うちまで傾いたらどうしてくれるん?」

と話が始まる人もいます。

 

査定価格を出す前に、

解体工事差止め請求が届きそうな勢いです。

 

もちろん長屋の切り離しは、

何でも自由にできるわけではありません。

 

隣家との取り合いや構造を確認し、

専門家と慎重に進める必要があります。

 

ここは、お隣さんが神経質なのではなく、

こちらも丁寧に説明すべき大切な部分です。

 

 

7.「なんぼで買うん?安かったら私が買うわ」突然の購入希望タイプ

 

査定中、お隣さんから言われることがあります。

「そこ、なんぼで売るん?」

 

「安かったら私が買うてもええで」

 

おっ、隣地ならぬ隣家拡張か。こ

れは話が早いかもしれない。

 

そう思って、おおよその希望価格を伝えると、

 

「そんなすんの?ほんなら、いらんわ」

購入検討時間、約8秒。

 

その後は再び、誰が買うのかを気にする側へ戻ります。

 

買うのは嫌。でも知らない人に買われるのも嫌。

お隣さんの心は複雑です。

 

8.「ところで、うちはなんぼ?」便乗査定タイプ

 

隣の査定が終わりかけたころ、

小さな声で聞かれます。

 

「ところで、うちやったらなんぼくらいになる?」

 

やっぱり、そこが一番気になっていたんかい。

 

隣家の売却価格は、自宅の価値を考える材料になります。

 

古い長屋なら、同じ間取り、同じ築年数、

同じ屋根ですから、気になるのも無理はありません。

 

そこから二軒目の査定相談になることもあります。

 

長屋の査定へ一軒行ったら、隣、

さらにその隣まで話が広がる。

 

不動産会社にとって、お隣さんは質問の多い人で

あると同時に、次のお客様かもしれません。

 

気にし過ぎにも、ちゃんと理由があります

 

 

ここまで面白おかしく紹介しましたが、

お隣さんが気にするのは、

単なる野次馬根性だけではありません。

 

長屋は壁、屋根、生活音、ときには

雨漏りやネズミの通り道までつながっています。

 

戸建ての隣家よりも、売却や工事が

自宅へ影響する可能性が高いのです。

 

家財撤去やリフォームの日程を事前に知らせる。

工事前にはきちんと挨拶する。

切り離しや屋根工事は、方法を丁寧に説明する。

 

これだけで、不要な近隣トラブルを防げることがあります。

 

お隣さんの質問が多いときは、「うるさい人やな」

で終わらせず、何を心配しているのか聞くことも大切です。

 

ただし、前の入居者が毎晩何時に風呂へ入っていたかまで

教えていただかなくても大丈夫です。

 

 

よくあるご質問

 

Q1.長屋を売却するとき、お隣さんへ伝える必要はありますか?

 

通常の売却なら、必ず事前承諾が必要とは限りません。

 

ただし、家財撤去や工事で騒音・車両の出入りが

発生する場合は、早めに知らせたほうが

トラブルを防ぎやすくなります。

 

Q2.お隣さんが反対したら、長屋を売れませんか?

 

隣家の反対だけで当然に売却できなくなるわけではありません。

 

ただし、共有部分、境界、屋根、切り離しなどの

問題があれば個別確認が必要です。

 

Q3.隣から生活音の苦情がある家でも売却できますか?

 

売却は可能です。

ただし、長屋は音が伝わりやすい構造も多いため、

買主へ建物の特徴として説明したほうがよい場合があります。

 

程度や経緯によって対応が異なるため、

不動産会社へ具体的にお伝えください。

 

筆者のひとり言

 

 

長屋を買い取るとき、確認するのは建物、

権利関係、前面道路だけではありません。

 

隣の窓から、こちらを静かに見ている

“非公式管理人”の存在も確認します。

 

誰が買うん。いつ工事するん。

家財撤去は先に言うて。

 

ネズミの穴もふさいで。

テレビの音は少しだけ小そうして。

 

要望は多い。

 

けれど、工事が無事に終わり、新しい人が入居すると、

そのお隣さんが一番親切に

町のことを教えてくれたりします。

 

長屋の境界は壁一枚。

 

しかし、お隣さんの関心には境界線がありません。

 

今日も壁の向こうから、

町内を静かに見守っていることでしょう。

 

いや、見守り過ぎやろ。

 

※長年の査定で見聞きした複数の事例を組み合わせ、

個人や物件が特定されないよう再構成しています。

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!

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