『近所の人は好きなこと言うで~!家の売却でもいろいろありますよの巻【住み替え編】』

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不動産を売りに出すと、

ご近所さんには結構すぐ分かります。

 

今まで見たことのない不動産会社の営業マンがやって来る。

家の写真を撮っている。

 

そのうちインターネットにも掲載される。

 

「あそこの家、売りに出したみたいやで」

ここまではええんです。

 

問題はその続き。

 

「あそこな、住宅ローンの

支払いが苦しいから売るらしいで……」

 

いやいや。

誰が言うたん?

 

今回は、そんなご近所さんから始まったお話です。

 

奥さんの股関節が悪くなり、一戸建からマンションへ

 

 

 

今回の売主さんは、

ごく普通のサラリーマン世帯でした。

 

奥さんは60歳。

 

長年、中古住宅で暮らしてきましたが、

少しずつ股関節が悪くなってきた。

 

2階建というのは階段があります。

 

洗濯物を持って2階へ上がる。

掃除するにも上がったり下りたり。

 

若い頃には何とも思わなかったことが、

これから先は負担になるかもしれません。

 

そこでご夫婦は、

「これからのこと考えたら、マンションの方が楽やな」

と住み替えを決められました。

 

住宅ローンが苦しいわけでもありません。

 

ごく普通の住み替えです。

 

 

普通ならお隣さんにも話します。でも今回は話さなかった

 

 

 

普通なら引っ越す前に、

 

「実は家内の股関節が悪くなりましてな。

これから階段もしんどいやろから、

マンションへ引っ越そうと思ってますねん」

 

くらいは、お隣さんに話すでしょう。

 

ところが今回のご夫婦。

あえて話さなかったそうです。

 

なぜか。

 

お隣の奥さんに一つ話すと――

だいたい三つくらいになって広がるから(笑)。

 

以前からそんなことが何度かあったそうです。

 

一を話したら二になり、

二を話したら三になり、そのうち、

 

「誰がそんなこと言うたん?」

という話になって戻ってくる。

 

だからご夫婦も、

「もう余計なこと言わんとこ」

となっていたのでしょう。

 

ところが何も言わなかったら言わなかったで、

お隣さんのところで新しい物語が完成してしまいました。

 

「住宅ローンが苦しいから家を売るらしいで……」

 

天使のおばちゃん

 

「言うても広がる。言わんでも作られる。

どないしたらええねん!」

 

先にマンションへ引っ越したら、今度は「かわいそうに~」

 

 

 

その後、ご夫婦が気に入った

中古マンションが見つかりました。

 

そこで元の家が売れるのを待たず、

先に購入して引っ越すことに。

 

当然、元の2階建は空き家になります。

 

するとまた、お隣さん。

「もう引っ越したみたいやで」

 

しばらくすると、

「家、なかなか売れへんみたいやで」

 

そして最後に、

「かわいそうになぁ~」……。

 

本当にかわいそうと

思っていたのかどうかは分かりません。

 

人の心の中までは査定できませんので(笑)。

 

ただ売主さんご夫婦は、

別に慌てていませんでした。

 

実は水面下で、ある話が進んでいたのです。

 

1軒ではなく、逆隣2軒とまとめて売ることになった!

 

 

今回の物件。

話が進むうちに、

 

「逆隣の2軒も合わせて、

3軒まとめて売却できないか?」

という話になりました。

 

不動産というのは面白いもので、1軒では

普通の住宅用地でも、隣接する土地と一緒に

なることで評価が変わることがあります。

 

土地が広くなる。間口も変わる。

買主が考えられる土地利用の幅も広がる。

 

今回も3軒をまとめて購入したい

という不動産会社が現れました。

 

そして決まった売却価格は――

通常の相場感と比較して約1.2倍。

 

あらま。

 

「なかなか売れへんみたいやで」

どころの話ではありませんでした。

 

マンションを買っても約500万円残ったそうです

 

 

 

しかも後から聞いたところ、ご夫婦は元の家の

売却代金から中古マンションの購入費用を差し引いても、

 

約500万円が手元に残ったそうです。

 

奥さんは階段の負担が少ないマンション生活へ。

元の家も無事売却。

 

さらに約500万円残った。

 

ここで天使のおばちゃん、再登場です。

 

天使のおばちゃん

「……誰がかわいそうやったん?」

 

そうなんです。

 

外から見ているだけでは、

人の家の事情なんて分からんのです。

 

3軒を購入した不動産会社がお隣へ挨拶に

 

 

 

そして、ここからもう一つ話があります。

 

3軒を購入した不動産会社が、

ご近所へ挨拶に回りました。

 

当然、例のお隣さんにもご挨拶。

 

その際、不動産会社の担当者が

こんな話をしたそうです。

 

「奥さんのところも

一緒に売られたらどうでしょうか?

今ならいい価格で買い取らせていただきますよ」

 

これはええ話です。

 

3軒より4軒。

 

さらに土地がまとまれば、

買う側にもメリットがあるのでしょう。

 

お隣の奥さんも、

「その価格なら売りたい」

という気持ちはあったそうです。

 

ところが――。

 

 

外からはお金持ちに見えたお宅にも事情がありました

 

 

お隣は地主さんの親戚。

 

立派なお宅に住んでいて、ご近所から見れば、

「あそこはお金持ちやな~」という印象のお宅でした。

 

ところが実際には、ご主人が経営する会社に

大きな借入がありました。

 

不動産会社から提示された価格で自宅を売ったとしても、

その借入を整理できるような金額ではなかった。

 

奥さんは売りたい。

買いたいという不動産会社もいる。

 

しかも、いい価格を提示してくれている。

それでも簡単には売れない。

 

ここは笑うところではありません。

 

会社を経営していれば、

外からは見えない資金事情を抱えることもあります。

 

立派な家に住んでいるから、

お金の心配がないとは限りません。

 

反対に、ごく普通のサラリーマン家庭が

家を売ったからといって、

住宅ローンに困っているとも限らない。

 

人の懐事情なんて、

外から家を眺めているだけでは分からんもんです。

 

そして3軒の跡地に計画されたものは……

 

 

購入した不動産会社は、3軒分のまとまった土地を

利用して建物を建てる計画でした。

 

聞いたところでは――

8階建ての賃貸マンション。

 

お隣の奥さん。

「えっ……8階?」

「ウチの日当たり、大丈夫なん?」

 

いや、それより――

「圧迫感の方が……」

 

 

もちろん、実際の日当たりや圧迫感は

建物の配置、距離、方角、設計などによって変わります。

 

また、その場所は近隣商業地域。

 

だからといって何でも自由に建てられるわけでは

ありませんが、関係法令などに適合した建築計画であれば、

単に隣だから嫌だという理由だけで止められる話でもありません。

 

しかもマンション建築は、すぐには終わりません

 

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戸建3軒を解体。

 

そこから基礎工事。工事車両が出入りする。

建物が少しずつ上へ伸びていく。

 

規模にもよりますが、マンションとなれば

工事期間が1年以上に及ぶことも珍しくありません。

 

仮に1年半ほどかかれば――

 

春も工事。夏も工事。秋も工事。冬も工事。

また春が来ても、まだ工事(笑)。

 

そしてようやく完成したら、

お隣には8階建ての建物がある。

 

「金持ち喧嘩せず」という言葉もあります

 

 

 

昔から、「金持ち喧嘩せず」という言葉があります。

 

念のため申し上げますが、

今回マンションへ引っ越されたご夫婦が

お金持ちだったという意味ではありません。

 

ものの例えです。

 

お隣から何を言われても、「違いますよ!」

と近所中を回って訂正することもない。

 

「住宅ローンなんか困ってません!」

と言い返すこともない。

 

ご夫婦は、自分たちの事情に合わせてマンションへ

引っ越し、元の家の売却を淡々と進めました。

 

結果、家は思っていた以上の条件で売れ、

住み替え後にも約500万円が残った。

 

不動産の仕事を長くしていると、本当に思います。

 

家を見ただけでは、

その家の事情までは分かりません。

 

立派な家に住んでいる人。

普通の家に住んでいる人。

 

家を売りに出した人。

ずっと住み続けている人。

 

それぞれに、外からは見えない事情があります。

 

今回のご夫婦が家を売ることになった最初の理由なんて、

奥さんの股関節でしたからね。

 

それが最後には、逆隣2軒と合わせて3軒まとめて売却。

 

跡地には8階建て賃貸マンションの計画。

世の中、分からんもんです。

 

そして、その話を聞いたお隣の奥さん。

 

8階建て。長い建築工事。

今までとは違う景色。

 

売りたいと思っても、

自分のところは簡単には売れない。

 

 

しばし沈黙して――。

 

「うぇ~~~~」

 

 

 

おしまい。

 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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