【他社より高い買取価格を提示したら逆に疑われた話|長屋買取で実際にあった査定エピソード】
はじめに
不動産の査定をしていると、
「もっと高く売れませんか?」
という相談は珍しくありません。
しかし今回の案件は少し違いました。
他社より高い買取価格を提示したところ、
逆に疑われてしまったのです。
舞台は南海沿線にある古い長屋。
決して不動産会社が
飛びつくような条件ではありません。
それにもかかわらず、最終的には売主様から
「申し訳ありません。やっぱり買取でお願いします」
という連絡をいただくことになりました。
今回は実際にあった査定事例をもとに、
不動産会社によって査定額が大きく違う
理由についてお話しします。
相談の始まり
売主様からご相談をいただいた時には、
既に複数の不動産会社へ相談されていました。
話を聞くと、
・仲介を勧める会社
・買取を提案する会社
・極端に安い価格を提示する会社
など反応はさまざまだったそうです。
そして何より困っておられたのが、
「説明がよく分からない」ということでした。
不動産会社によって言うことが違う。
査定額も違う。専門用語も多い。
売主様からすると何を信じれば良いのか
分からなくなっていたようです。
現地を確認すると
実際に現地を確認しました。
物件は南海沿線にある堺市堺区の長屋でした。
いわゆる4戸1長屋の中家です。
有効土地面積は30㎡以下。
間口も約1.5間程度。
数字だけを見ると
決して広い物件ではありません。
一般的な住宅用地と比較すると
利用方法は限られます。
そのため、不動産会社によって
評価が大きく分かれやすいタイプの物件です。
しかし私は現地を見て、
「賃貸収益用としては使える」と判断しました。
その場で仲介価格と買取価格を説明
査定後、売主様へお伝えしたのはシンプルな内容でした。
仲介で売却した場合の想定価格。
買取の場合の価格。
それぞれのメリットとデメリット。
特別な話ではありません。
不動産会社として当たり前の説明です。
すると売主様は、
「それが聞きたかったんです」
とおっしゃいました。
そしてその場で、
「仲介で進めましょう」
という話になりました。
私自身も自然な流れだと思っていました。
不動産会社によって価格が違う理由
ここで少しだけ解説します。
不動産会社によって査定額が違うのは
珍しいことではありません。
例えば、
・得意なエリア
・得意な物件
・販売ルート
・リフォーム体制
・大工や職人との関係
によって価値の見方が変わります。
同じ長屋でも、「扱いたくない」
と思う会社もあれば、
「十分活用できる」
と考える会社もあります。
そのため査定額が違うのです。
決してどちらかが間違っているとは限りません。
思わぬ状況変化
ところが、その後状況が変わります。
当時は建築資材の高騰が続いていました。
一方で、弊社側では職人さんの工程に
少し余裕が出そうな状況でした。
つまり、
「この物件を買取しても十分事業として成立する」
という判断になったのです。
そこで再度検討した結果、
仲介で売却した場合の手取り額に近い水準まで
買取価格を引き上げることにしました。
私たちとしてはかなり踏み込んだ価格でした。
ところが逆に疑われる
ここからが面白いところです。
買取価格をお伝えすると、売主様の反応は予想外でした。
喜ばれると思っていたのですが違いました。
「そんなに高いなら、もっと高く買う会社が
あるんじゃないですか?」
という方向へ話が進んだのです。
正直に言うと少し複雑でした。
こちらとしてはかなり頑張った価格です。
しかし売主様の立場になれば気持ちも分かります。
他社より高い価格を提示されたら、
「もっと高い会社があるのでは?」
と思うのも自然です。
再び他社へ相談
結果として売主様は再度他社へ相談されました。
もちろん私たちも止めません。
不動産は人生で何度も売るものではありません。
納得できるまで比較することは大切です。
むしろ比較せずに決めて後悔する方が問題です。
そのため、「ぜひ比較してください」
というスタンスでした。
ただ内心では、
「これ以上はなかなか出ないと思うけどなあ」
とも思っていました。

数週間後の連絡
しばらくして売主様から連絡がありました。
開口一番、「申し訳ありません」
でした。
話を聞くと、改めて査定を依頼した他社の
買取価格は弊社の提示額を下回っていたそうです。
そして、「やっぱり買取でお願いします」
とのことでした。
正直ほっとしました。
価格だけでなく、きちんと比較したうえで
判断していただけたからです。

なぜ弊社は高く買えたのか
これは単純に運が良かった部分もあります。
当時の市場環境。
職人さんの予定。資材価格。
工事計画。
様々な条件が重なりました。
不動産会社によって得意分野は違います。
長屋を扱うことに慣れている弊社みたいな
会社もあれば、そうでない会社もあります。
また、自社で工事や再生の仕組みを持っている会社と
持っていない会社でも判断は変わります。
だからこそ査定額は違うのです。

売主様が間違っていたわけではない
今回の話で大切なのはここです。
売主様は決して悪くありません。
比較するのは当然です。
高く売りたいと思うのも当然です。
不動産は大切な資産です。
だからこそ慎重になるべきです。
私たちも逆の立場なら同じことをしたかもしれません。

査定の面白さ
不動産査定は数字だけの仕事ではありません。
建物を見る。
土地を見る。
相場を見る。
それだけではありません。
売主様の考え方。
市場の流れ。将来性。
さまざまな要素を考えます。
今回の案件も、最初から最後まで
予想通りではありませんでした。
だからこそ面白いのです。
まとめ
南海沿線の長屋売却で実際にあった今回の事例。
他社より高い買取価格を提示した結果、
逆に疑われるという少し珍しい展開になりました。
しかし最終的には複数社を比較したうえで
納得してご判断いただくことができました。
不動産会社によって
査定額が違うのは珍しいことではありません。
会社ごとに見えている価値が違うからです。
もし複数社の査定額に大きな差がある場合は、
金額だけでなく、「なぜその価格になるのか」
を聞いてみることをおすすめします。
査定額の裏側には、その会社の考え方や
得意分野が見えてくることがあります。
不動産売買等でのよくある質問
長屋は買取と仲介のどちらが良いですか?
物件の状況や売却を急ぐかどうかによって異なります。
両方の価格を比較することがおすすめです。
不動産会社によって査定額が違うのはなぜですか?
得意分野や販売方法、工事体制などが異なるためです。
査定額が高い会社を選べば良いですか?
価格だけでなく、
その価格の根拠を確認することが大切です。
古い長屋でも買取できますか?
可能なケースがあります。
まずは現地確認や査定を受けることをおすすめします。
査定は複数社に依頼した方が良いですか?
比較することで相場や各社の考え方が分かるため有効です。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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