【特定空き家】あなたが保有している空き家は大丈夫?「そんなんならへんわ!」では済まないかもチェックリスト
「特定空き家?
そんなん、山奥で屋根が半分落ちた家の話やろ」
「うちの実家は古いけど、まだちゃんと立っとるで」
「固定資産税が6倍になるなんて、
よっぽどの家だけやろ?」
そう思っている人は、決して少なくないでしょう。
確かに、普通に管理されている空き家が、
ある日突然「はい、今日から特定空き家です!」
と指定されるわけではありません。
しかし現在は、建物が倒壊寸前になるまで
放っておいてくれる制度でもありません。
特定空き家になる一歩手前の「管理不全空家」でも、
行政から指導を受け、それでも改善せずに勧告まで進めば、
土地の固定資産税に適用されている
住宅用地特例が外れる可能性があります。
「うちは、そんなんならへんわ!」
その自信、本当に大丈夫でしょうか?
この記事を読みながら、保有している空き家や相続した
実家の状態を一度チェックしてみてください。
特定空き家なんて、日本全国に少ししかないんやろ?
特定空き家という言葉を聞くと、日本中を探しても
数百軒しかないような印象を持つかもしれません。
ところが、国土交通省が公表している
2025年3月31日時点の資料によると、空家法が施行された
2015年度からの累計で、特定空家等に対する
「助言・指導」は全国で4万2,768件。
「勧告」も4,153件行われています。
都道府県別に助言・指導の累計を見ると、
意外な結果になっています。
| 順位 | 都道府県 | 助言・指導の累計 |
|---|---|---|
| 1位 | 北海道 | 5,865件 |
| 2位 | 新潟県 | 5,343件 |
| 3位 | 兵庫県 | 2,373件 |
| 4位 | 長崎県 | 2,209件 |
| 5位 | 鳥取県 | 2,097件 |
| - | 大阪府 | 1,303件 |
全国で最も多いのは北海道です。
豪雪や広大な面積、人口減少など、
地域特有の事情も影響していると考えられます。
ただし、この数字は
「現在残っている特定空家の戸数」ではありません。
行政がこれまでに行った措置の件数であり、
同じ物件に複数回の措置が行われている可能性もあります。
それでも、大阪府だけで累計1,303件です。
「大阪では関係ない話やろ」というほど、
珍しい話ではありません。
「固定資産税が6倍になる」の本当の意味
よく見かけるのが、
特定空き家に指定されたら、固定資産税が6倍になる!
という、なかなか恐ろしい見出しです。
しかし、正確には少し違います。
まず、特定空き家に指定された瞬間、
いきなり固定資産税が6倍になるわけではありません。
行政から改善するよう助言や指導を受け、
それでも対応せずに「勧告」まで進むと、
その空き家の敷地が住宅用地特例の対象から外れます。
住宅が建っている200㎡以下の小規模住宅用地は、
固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。
その軽減がなくなるため、「最大6倍」といわれているのです。
建物と土地を合わせた固定資産税が、
翌年から一律きっちり6倍になるという意味ではありません。
土地の面積や評価額、負担調整措置などによって、
実際の増加額は変わります。
ただし、「6倍は大げさやから大丈夫」という話でもありません。
住宅用地特例を外されれば、税負担が大きく増える可能性が
あることに変わりはないのです。
どんな家が特定空き家になるのか?
法律上の「特定空家等」は、大きく4つの状態に分けられます。
1.倒壊など、著しく危険となるおそれがある
建物が傾いている、柱や基礎が傷んでいる、
屋根瓦や外壁が落下しそう、
塀が道路側へ倒れそうといった状態です。
家が古いというだけではなく、
周囲の人や建物に危険を及ぼす可能性が重視されます。
2.著しく衛生上有害となるおそれがある
ごみや家財が大量に放置され、悪臭、害虫、
ネズミなどが発生している状態です。
排水設備や浄化槽が壊れ、汚水が流れ出している
場合なども該当する可能性があります。
3.周囲の景観を著しく損なっている
外壁が広範囲に剥がれたまま、窓ガラスが割れたまま、
看板や設備が傾いたままなど、
周辺の景観を著しく悪化させている状態です。
単に「見た目が古い」という程度ではなく、
地域の景観に与える影響が判断されます。
4.周辺の生活環境を守るため、放置することが不適切
庭木や雑草が隣地や道路まで伸びている、
動物や不審者が出入りしている、落雪や瓦の飛散が
懸念されるなど、近隣住民の生活に悪影響を与えている状態です。
所有者から見れば「誰も住んでいないだけの家」でも、
隣の人にとっては、毎日気になる危険な家かもしれません。
築60年ならアウト?古い長屋は全部あかんの?
ここは誤解してほしくないところです。
築年数が古いという理由だけで、
特定空き家になるわけではありません。
大阪には築50年、60年を超える長屋がたくさんあります。
それでも屋根を補修し、雨漏りを直し、
定期的に換気や清掃をしていれば、
古くても十分に使用できます。
反対に、築30年程度でも、窓ガラスが割れ、雨漏りを放置し、
庭木が道路へ飛び出していれば、
管理状態を問題視される可能性があります。
人間と同じで、年齢だけやなく、
日頃の手入れが大事なんです。
家は「屋根が痛い」「雨が入ってきた」
「外壁が剥がれそうや」とは言いません。
その代わり、瓦を落としたり、床を腐らせたり、
外壁を剥がしたりして訴えてきます。
しかも、落ちる先が隣の家や通行人なら、
笑い話では済みません。
大阪の長屋で特に確認してほしいところ
大阪の長屋は、
隣家と壁や屋根がつながっています。
そのため、一戸建てなら自分の敷地内だけで収まる傷みが、
長屋では隣家へ影響することがあります。
例えば、連棟の屋根瓦がずれ、隣家側へ落ちそうになっている。
雨樋が壊れ、雨水が隣の外壁へ流れている。
切り離し後の外壁が十分に補修されず、
下地がむき出しになっている。
こうした状態は、所有者本人が気づいていなくても、
隣の人は毎日見ています。
また、大阪の古い長屋は、細い路地や再建築不可の場所に
建っていることも珍しくありません。
万一、外壁や塀が崩れれば、
狭い通路をふさいでしまう可能性があります。
救急や避難の妨げになれば、
単なる「古い空き家」では済みません。
さらに怖いのが雨漏りです。
「誰も住んでへんから、少しくらい雨漏りしてもええやろ」
これが一番あきません。
最初は天井の染みだけでも、
放置すれば柱、梁、床、階段まで腐っていきます。
久しぶりに中へ入ったら、二階の床が抜けそうになっていた
――ということもあります。
あなたの空き家は大丈夫?15項目チェックリスト
次の項目に該当しないか、現地で確認してみてください。
建物の危険
- 屋根瓦がずれたり、割れたりしている
- 外壁やモルタルに大きなひび、膨らみ、剥がれがある
- 雨樋や庇が外れ、道路側へ垂れ下がっている
- 塀や門扉が道路側へ傾いている
- 建物全体に傾きが感じられる
- 雨漏りで天井、柱、床などが腐っている
衛生・防犯上の問題
- 窓ガラスが割れたままになっている
- 玄関や勝手口が簡単に開く
- ごみや家財から悪臭が発生している
- ネズミ、ハチ、害虫などが発生している
- 猫や不審者が出入りした形跡がある
周囲への迷惑
- 庭木や雑草が隣地、道路まで伸びている
- 郵便物やチラシが大量にたまっている
- 屋根や雨樋から隣家へ雨水が流れている
- 近隣住民や役所から連絡、苦情が来ている
ひとつ該当したから即、
特定空き家というわけではありません。
しかし、複数の項目に該当し、それを長期間放置しているなら、
「まだ大丈夫」とは言い切れません。
危険度に応じて、いつまでに対応する?
今すぐ確認・対応したい状態
屋根瓦、外壁、庇、塀などが落下・倒壊しそうな場合です。
通行人や隣家に被害を与える可能性があるため、
「次に帰省したとき」などと言っている場合ではありません。
まず現地を確認し、危険な場所へ人が
近づかないようにしたうえで、専門業者へ相談してください。
できれば1か月以内に対応したい状態
雨漏り、割れた窓、害虫、悪臭、庭木の越境などです。
今すぐ倒壊する状態ではなくても、
放置すれば建物の傷みや近隣トラブルが急速に進みます。
定期的な管理で予防したいこと
換気、通水、郵便物の回収、草刈り、
雨漏り点検、台風後の屋根や外壁確認です。
遠方に住んでいるなど、自分で管理できない場合は、
空き家管理サービスを利用する方法もあります。
特定空き家になる前の「管理不全空家」にも注意
2023年12月に施行された改正空家法では、
特定空家になる一歩手前の
「管理不全空家」という仕組みが設けられました。
つまり現在は、
まだ倒れそうやないから大丈夫!
では済まない可能性があります。
窓の破損、屋根や外壁の傷み、雑草の繁茂などを放置し、
このままでは特定空家になるおそれがあると
判断されれば、行政から指導を受けることがあります。
それでも改善せず、勧告まで進めば、
管理不全空家の段階でも
住宅用地特例が外れる可能性があります。
「倒壊寸前になってから考えたらええ」
という時代ではなくなったのです。
売るなら、行政から通知が来る前に
役所から通知が届いてから慌てて売却しようとしても、
簡単に売れるとは限りません。
雨漏り、建物の傾き、大量の家財、庭木の越境、
再建築不可、長屋の切り離し問題などが重なれば、
一般の買主には敬遠されます。
解体するにしても、長屋なら隣家との調整が必要です。
前道や間口が狭ければ、
解体費が高くなることもあります。
「解体したら売れるやろ」と先に壊してしまい、
解体費のほうが売却価格より高くなったら目も当てられません。
管理を続けるのか、修繕するのか、
売却するのか、解体するのか。
判断できるうちに、
不動産会社や専門家へ相談することが大切です。
特定空き家に関するQ&A
Q.誰も住んでいないだけで、特定空き家になりますか?
なりません。
空き家であることに加え、倒壊の危険、衛生上の問題、
景観の悪化、周辺への悪影響などが判断材料になります。
Q.築50年以上の長屋は危ないですか?
築年数だけでは決まりません。屋根、外壁、雨漏り、
柱、床、塀などの状態と、周囲への影響が重要です。
古くても適切に管理されている長屋はあります。
Q.特定空き家に指定されたら、すぐ固定資産税が6倍になりますか?
すぐではありません。行政の助言・指導を受けても改善せず、
「勧告」まで進むと住宅用地特例が外れます。
また、土地・建物を含む納税額全体が
一律6倍になるわけではありません。
Q.管理不全空家でも固定資産税は上がりますか?
管理不全空家として指導を受けただけでは、
住宅用地特例は外れません。
ただし、改善せず勧告を受けると、
特例から除外される可能性があります。
Q.遠方にある実家を見に行けません。どうすればいいですか?
親族や管理会社へ定期確認を依頼する方法があります。
将来使用する予定がないなら、建物が大きく傷む前に
売却査定を受けることも検討してください。
最後に
空き家を所有している人の多くは、
その家をわざと傷ませているわけではありません。
仕事が忙しい。遠方に住んでいる。兄弟で話がまとまらない。
家財が多すぎる。お墓があるので実家を手放しにくい。
それぞれに事情があります。
しかし、事情があることと、家が傷むことは別問題です。
所有者が迷っている間にも、屋根や外壁は傷み、
庭木は伸び、雨水は建物の中へ入っていきます。
そして近隣から役所へ連絡が入って初めて、
そんなに悪くなっていたんですか?
と気づく人もいます。
特定空き家になる家は、
ある日突然ボロボロになるのではありません。
「まだ大丈夫やろ」
「来年見に行ったらええわ」
「誰も住んでへんし、雨漏りしても困らんやろ」
その積み重ねで、
少しずつ特定空き家へ近づいていくのです。
この記事のチェックリストを見て、
ひとつでも気になる項目があれば、
一度現地を確認してください。
家は文句を言いません。
せやけど、放ったらかしにされた家は、
最後に固定資産税や修繕費、解体費という形で、
まとめて請求書を持ってきます。
その請求書、できれば届く前に
対処しておきたいものですね。
- 不動産キャリア29年
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