【知らずにサインしてない?】家の売却査定だけのつもりが“専任契約”に!解除と対処法を弁護士監修で解説【大阪市の実例あり】
はじめに:家の「売却査定」だけのつもりが契約に…!?
「とりあえず家の売却査定をお願いしただけなのに、
いつの間にか専任契約になっていた」
――大阪市では近年、このような相談が増えています。
本来、「家の売却査定」とは不動産会社が
家の価値を算出するための見積りにすぎません。
契約でもなければ、依頼者に
法的な拘束力はないのが原則です。
しかし実際には、
- 査定書の受け取り時に「サインだけお願いします」と言われた
- 契約内容を説明されずに署名した
- その後「専任媒介契約なので他社には頼めません」と言われた
といったケースが発生しています。
この記事では、こうした家の売却査定と
専任契約の誤解・トラブルを防ぐために、
・なぜ起こるのか
・解除するにはどうすればいいのか
・大阪市での実例と相談先
を、法律・実務の両面から分かりやすく解説します。

1. 家の売却査定とは?
なぜ「査定だけ」で契約扱いになるのか
1-1. 家の売却査定の基本(机上査定/訪問査定)
家の売却査定には大きく2種類あります。
- 机上査定(簡易査定):
周辺の売買事例や公示地価をもとに算出。自宅に来てもらわずに概算額を知ることができます。 - 訪問査定(実査定):
実際に担当者が現地を確認し、建物の状態・日当たり・間取り・リフォーム履歴などをチェックして査定額を提示します。
どちらの方法でも、査定は「価格を知る」
ための行為であって、契約ではありません。
1-2. なぜ「専任契約」を勧められるのか
不動産会社が専任契約を勧めるのは、
営業上の理由が大きいです。
- 専任契約を結ぶと、売却活動を独占的に行えるため、他社と競合しない
- 売主からの報告義務や活動管理をしやすい
- 成約時の仲介手数料が確実に入る
ただし、専任契約には一定の制約が伴います。
たとえば他社への依頼ができない、
自己売却に制限がかかるなど。
こうした内容を理解せずに署名してしまうと、「査定だけのつもりだったのに…」という事態になりかねません。

1-3. 大阪市で増える「誤契約」トラブルのパターン
大阪市消費生活センターへの相談では、
次のような事例が見られます。
- 訪問査定時に「査定書の確認のため」と言われ、実際は媒介契約書だった
- 「契約書のコピーは後日渡します」と言われ、その場で控えをもらえなかった
- 一括査定サイトから依頼した1社だけが契約書を提示してきた
こうしたケースは「説明義務違反」に
該当する可能性があります。
売主が「契約する意思がなかった」ことを立証できれば、
無効や解除が認められる余地があります。

2. 「家の売却査定だけだったのに契約された」大阪市の実例
2-1. 阿倍野区・相続物件でのトラブル(50代女性)
相続した祖母の家をどうするか悩み、
一括査定サイトで数社に依頼。
ある会社の担当者が訪問し、「査定書に確認サインを」と
言われたため署名。
後日、「専任契約が結ばれたので他社に依頼できません」と
連絡を受け、驚いたそうです。
最終的に消費生活センターに相談し、
クーリングオフで解除。
「最初に“査定と契約の違い”を説明してくれなかった
のが問題だった」と話しています。

2-2. 中央区・転勤前に査定依頼(40代男性)
転勤を控え、慌てて自宅の売却査定を複数社に依頼。
一社だけが「契約書も見ておいてください」
と言われ、流れでサイン。
他社の方が条件が良く、乗り換えようとしたところ
「専任契約中」と止められたケースです。
この場合も、契約内容の説明不足を主張し、
書面で解除通知を送付して解決しました。
2-3. 東淀川区・成年後見人が
査定した家が「契約済」に(60代男性)
被後見人の自宅を売却するため査定を依頼したところ、
「媒介契約済み」とされてしまったケース。
成年後見制度では、裁判所の許可を
得ないと売買契約はできません。
そのため、後見人が「単なる査定依頼だった」と主張し、
弁護士を通して契約を無効にしました。

3. 専任契約を「解除」できる条件と手続き
3-1. クーリングオフが適用できるケース
宅地建物取引業法第37条の2により、訪問などの**“営業所外”で契約した場合**にはクーリングオフが可能です。
条件:
- 契約締結から8日以内
- 書面での通知が必要
- 不動産会社の事務所内で契約した場合は対象外
郵送や内容証明で通知すれば、
契約は無条件で解除されます。
3-2. 書面またはメールでの解除方法
クーリングオフ期間外でも、契約書に定められた
「解除条項」に基づき解除が可能です。
以下のような文面で通知を出しましょう。
【解除通知文例】
私は貴社との専任媒介契約(契約日:○月○日)について、解除の意思を通知いたします。
理由:査定依頼のみの意思であったため、契約の意思はありませんでした。
以上、速やかに契約解除の手続きをお願いします。
3-3. 不動産会社が拒否した場合の対応
契約解除を拒まれた場合、
- 消費生活センター
- 大阪府宅地建物取引業協会
- 弁護士会の無料相談
などの公的機関に相談を。
記録(LINE・メール・署名日など)を
保存しておくことが重要です。

4. 他社に切り替えたいときのポイント
4-1. 家の売却査定を他社に頼む際の注意点
専任契約中でも、査定依頼自体は自由です。
ただし、同時に媒介契約を結ぶと
二重契約になるため注意が必要。
4-2. 専任契約の有効期間と再契約の流れ
通常は3か月が上限。
期間満了後、契約更新をしなければ
自動解除となり、他社に自由に依頼できます。
4-3. 大阪市で相談できる機関
- 大阪市消費生活センター(相談無料)
- 大阪府宅地建物取引業協会 中央支部
- 弁護士ドットコム・法テラス大阪

5. 「家の売却査定」と「専任契約」を混同しないために
5-1. 査定書と媒介契約書の違い
| 書類名 | 内容 | 法的拘束力 |
|---|---|---|
| 査定書 | 売却予想価格の提示 | なし |
| 媒介契約書 | 不動産会社に販売を委任する契約 | あり |
査定書に署名欄があっても、それが
契約書でないかを必ず確認しましょう。
5-2. 署名前に必ず確認すべき3項目
- 契約の種類(一般・専任・専属専任)
- 有効期間
- 売却価格と仲介手数料の条件
どれか一つでも不明点があれば、
その場で署名しないことが大切です。
5-3. 高額査定の“罠”にも注意
相場より明らかに高い査定額を提示し、
契約を急がせる会社には注意。
最初は高く見せて契約を取り、後で
「売れないから値下げを」と誘導されるパターンです。

6. トラブルを防ぐためにできる3つのチェックリスト
1️⃣ 査定依頼書・契約書の控えを必ずもらう
2️⃣ 「査定=契約ではない」ことを口頭で確認する
3️⃣ 不審な場合は公的機関に早めに相談する
特に大阪市では、消費者庁や
宅建協会への相談がスムーズです。
7. まとめ:家の売却査定は“契約の入口”。
正しく知って安心の売却へ
- 家の売却査定はあくまで価格を知るためのステップ。
- 署名・押印前に書面を確認することが最大の防御策。
- 契約に疑問を感じたら、クーリングオフ・消費者センターなど公的窓口を活用しましょう。
焦らず、比較・確認・納得を経て進めることが
「安全な売却」への第一歩です。
📞家の売却査定でトラブルを感じたら
- 契約内容に納得できないときは、まず書面を確認。
- 「解除」「無効」「再契約」など法的な選択肢があります。
- 公的機関や専門家の無料相談を積極的に活用しましょう。

不動産売買等でのよくある質問
Q1. 家の売却査定をお願いしただけで契約になることはある?
原則ありません。
査定はあくまで「価格算出の提案」であり、
契約ではありません。
Q2. 専任契約を解除したいときはどうすればいい?
クーリングオフ期間内なら書面通知で解除可能。
期間外でも「説明不足」があれば無効を主張できます。
Q3. 大阪市で相談できるところは?
大阪市消費生活センター、法テラス大阪、
大阪府宅地建物取引業協会などです。
Q4. 査定額が高い会社を選んでも大丈夫?
一概には言えません。
相場から大きく離れている場合は
“釣り査定”の可能性もあるため注意。
Q5. 査定後、契約を断っても問題ない?
問題ありません。
査定は無料・非拘束が原則です。

