【知らないと損】再建築不可の更地なのに固定資産税が高い理由|税金が上がる仕組みと対策を解説【大阪市の事例あり】
はじめに:再建築不可の更地なのに、なぜ税金が高いの?
「家を壊して更地にしたのに、
固定資産税が6倍に跳ね上がった」
「再建築不可で建物を建てられないのに、
税金だけ取られるのはおかしい」
──大阪市でも、こうした相談が増えています。
実はこれ、「住宅用地特例が外れた」ことによる
税金の仕組み上の問題なのです。
そして「再建築不可」という条件は、建築はできなくても
課税対象にはなるというややこしい現実があります。
この記事では、
- 再建築不可の土地でも税金が高い理由
- 固定資産税が上がる仕組み
- 税負担を減らすための具体的な方法
を、大阪市の事例を交えながらわかりやすく解説します。

1. そもそも「再建築不可」とは?
なぜ家を建てられないのか
1-1. 再建築不可の定義(建築基準法第43条)
再建築不可とは、今ある建物を壊すと、
再び建物を建てられない土地のことです。
建築基準法では、建物を建てる際に「幅4m以上の道路に、敷地が2m以上接している」ことが義務づけられています(※接道義務)。
したがって、
- 私道の奥にある旗竿地
- 幅4m未満の狭い道路に面している土地
- 道路にまったく接していない土地
などは建築許可が下りず、「再建築不可」とされます。
1-2. 大阪市に多い再建築不可の土地
大阪市では、特に東成区・生野区・西成区・浪速区
などの古い住宅街に多く見られます。
戦後の密集住宅地で形成されたエリアでは、
接道義務を満たさない長屋や路地奥の土地が多い。
「老朽化したから壊したら、もう建てられない」
という状況が生まれています。

2. 「更地にしたら固定資産税が上がる」仕組みを理解しよう
2-1. 固定資産税の基本的な計算式
固定資産税=固定資産税評価額 × 税率(1.4%が標準)
この評価額は「土地の利用状況」によって変わります。
家が建っている土地と、
更地ではまったく扱いが違うのです。
2-2. 住宅用地特例が消えると税金が6倍に
家が建っている土地には、「住宅用地特例」
という減税制度があります。
| 土地の区分 | 特例前 | 特例後(更地) |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 課税標準1/6 | 1倍(特例なし) |
| 一般住宅用地(200㎡超) | 課税標準1/3 | 1倍(特例なし) |
つまり、家を壊して更地にすると、
最大で6倍前後の課税になることも珍しくありません。

2-3. 「再建築不可」でも土地として評価される理由
多くの人が勘違いするのがここです。
「建てられない=価値がない」と思いがちですが、
固定資産税の評価では違います。
固定資産税は**“存在する土地”に課税される税金**です。
建物が建てられなくても、土地として存在する以上、
「課税対象」であることに変わりません。
3. 再建築不可でも税金が下がらない3つの理由
3-1. 固定資産税の評価制度では“建築可否”が反映されにくい
固定資産評価基準では、土地は
主に以下の項目で評価されます。
- 近隣の地価水準
- 道路の幅員・形状
- 面積・形状・高低差
しかし、「再建築できるかどうか」は
必ずしも減点対象ではありません。
結果として“使いにくい土地”でも
相場近くの評価額が維持されてしまうのです。

3-2. 評価額の見直しは3年ごと
固定資産税は、3年ごとに行われる
「評価替え」で見直されます。
そのため、再建築不可が判明しても、
次の見直し時期まで反映されない場合があります。
3-3. 周辺地価が高いと、連動して評価額も上がる
大阪市中心部では、再開発などで地価が上昇傾向。
たとえ再建築不可でも、「立地が良い」
という理由で評価額が上がることがあります。

4. 大阪市で実際にあった事例
4-1. 阿倍野区:長屋跡地を更地に→固定資産税が6倍
相続した長屋を解体後、住宅用地特例が外れ、
固定資産税が年12万円→72万円に。
「再建築不可で売れないのに…」と困り果て、税務課に相談したものの、「課税対象外にはならない」と説明を受けたケースです。
4-2. 東住吉区:接道が2m未満で再建築不可扱い
家を壊して更地にしたら、
翌年度から固定資産税が大幅アップ。
評価額が下がると思っていたが、
「住宅特例が外れたため」と判明。
最終的に駐車場運用に転用して、
課税負担を実質軽減しました。
4-3. 生野区:私道に面した旗竿地で評価額見直し申請
評価が周辺地価と同水準で不当と感じ、
評価替え申出を提出。
再建築不可である旨を示す書類を添付し、
翌年度から評価額が約15%下がりました。

5. 固定資産税を軽減・見直す3つの方法
5-1. 評価額が高いと感じたら「評価替え申出」
市区町村の固定資産税課に
「評価が実勢とかけ離れている」と申請できます。
大阪市の場合は、評価替えの年(3年ごと)に限って申出可。
・固定資産税評価証明書
・土地の現況写真
・再建築不可を示す証明(役所や図面)
などを添えると有効です。
5-2. 土地の“活用実績”を作る
再建築不可でも、土地を放置せずに使うことで、
課税区分を変えられる場合があります。
- 月極駐車場にする
- 資材置き場やトランクスペースにする
- 隣地所有者に貸す(借地)
「使っていない更地」よりも、事業用地扱いで
税率が軽減される可能性があります。

5-3. 売却・相続放棄という選択肢
使えず負担だけが重い場合は、
- 相続放棄
- 等価交換(隣地と調整)
- “現状のまま買取”してくれる不動産会社への売却
を検討するのも手です。
大阪市内では、再建築不可や長屋跡地でも
買取実績のある業者が存在します。
6. 更地にする前に知っておきたい3つのポイント
6-1. 解体すると住宅用地特例は翌年から消える
1月1日時点の状態で判断されるため、
年内に壊すと翌年から税額アップになります。
時期をずらすことで、1年分の節税が可能なことも。
6-2. 「古家付き」で売った方が得な場合も
古家が残っていれば住宅用地特例は維持されます。
「再建築不可だけど古家付きのまま売却」することで、
税金上の不利益を回避できるケースがあります。
6-3. “税金・売却・相続”を一体で考える
税金だけを見て判断するのは危険です。
再建築不可の土地は、売却難易度・
維持コスト・将来リスクも考慮して総合判断を。

7. 大阪市で相談できる公的窓口
| 相談内容 | 担当窓口 | 連絡先例 |
|---|---|---|
| 固定資産税の評価・減免 | 大阪市各区役所 固定資産税課 | 各区役所HP参照 |
| 不動産トラブル・契約相談 | 大阪府宅地建物取引業協会 | 大阪宅建協会公式サイト |
| 消費者相談・税金苦情 | 大阪市消費生活センター | 06-6614-0999 |
| 法的助言 | 大阪弁護士会・法テラス大阪 | 無料相談あり |
まとめ:再建築不可の土地こそ
“税金と活用”をセットで考える
- 家を壊すと住宅特例が外れ、固定資産税が最大6倍になる
- 再建築不可でも課税対象である点に注意
- 評価見直し・活用・現状売却など、対策は複数ある
「再建築不可=負担だけ」と諦めず、税と不動産の
両面から冷静に見直すことが、損をしない第一歩です。
📞再建築不可の土地で税金に悩んでいる方へ
- 更地にする前に、税金の仕組みを確認しましょう。
- 固定資産税が高い場合でも、評価替えや活用で軽減できる可能性があります。
- 現状のまま売却・相談できる業者もあるため、早めの相談が◎。

不動産売買等でのよくある質問
Q1. 更地にしたら固定資産税が上がるのはなぜ?
住宅用地特例がなくなるため。
課税標準が最大1/6→1倍に戻ります。
Q2. 再建築不可でも税金は下がらない?
はい。建築制限があっても、土地として
評価対象であるため課税されます。
Q3. 評価額を下げてもらうには?
評価替え申出を行い、再建築不可の証拠
(接道図・現況写真など)を提出しましょう。
Q4. 古家付きで売却するメリットは?
住宅特例が維持でき、固定資産税を抑えながら
売却できる可能性があります。
Q5. 大阪市で相談できるところは?
区役所の固定資産税課、消費生活センター、
法テラス大阪などで無料相談可能です。

