【95歳のおばあさんが残した長屋、その後どうなった?相続人不存在の不動産売却事例】
人が亡くなっても、不動産は残り続ける
「身寄りのない人が亡くなったら、
その家はどうなるのでしょうか。」
不動産業をしていると、
この質問を受けることがあります。
しかし実際にそのような案件へ
関わる機会は決して多くありません。
今回ご紹介するのは、
私たちが実際に購入した長屋の話です。
そこに住んでいたのは95歳のおばあさんでした。
ご家族はおらず、近しい親族も
確認できない状況だったそうです。
最近では珍しくありません。
総務省の統計でも単身高齢者世帯は増え続けています。
一人暮らしの高齢者が増える一方で、
「亡くなった後、自分の家はどうなるのだろう」
という不安を抱える方も増えています。
生前に終活をしていたおばあさん
後から聞いた話ですが、
このおばあさんは生前に行政書士へ相談されていました。
自宅。
預貯金。
その他の財産。
自分が亡くなった後のことを
心配されていたのでしょう。
近年では「終活」という言葉が一般的になりましたが、
実際に行動へ移せる方は決して多くありません。
ところが、この方は違いました。
自分の財産について専門家へ相談し、
できる限りの準備をしていたのです。
そしてその後、施設へ入所。
人生の最終章を迎えられました。
相続人がいない
ここで一般の方が最も驚くのがこの部分です。
人が亡くなれば相続が発生します。
しかし今回は相続人が見当たりませんでした。
配偶者もいない。
子どももいない。
兄弟姉妹も確認できない。
あるいは既に亡くなっている。
こうした場合、
「じゃあ家は国のものになるの?」
と思われる方もいます。
実はそう簡単ではありません。
家庭裁判所が関わる
相続人が存在しない場合、
家庭裁判所によって相続財産清算人が選任されます。
以前は「相続財産管理人」と呼ばれていました。
今回選任されたのは弁護士の先生でした。
相続財産清算人の仕事は、
亡くなった方の財産を調査し、
債務があれば整理し、
最終的に財産を現金化することです。
つまり、
家を売る必要があるのです。
売主が弁護士だった
物件資料を見た時、
少し珍しい光景でした。
売主欄に書かれていたのは個人名ではありません。
弁護士の名前です。
不動産業界でも頻繁に見るケースではありません。
調査を進めると、
そこには相続人不存在という事情がありました。
ようやく話がつながった瞬間でした。
誰も買わなかったらどうなるのか
実は私たちが一番考えたのはここでした。
長屋は決して新しい建物ではありません。
建物にも年数相応の傷みがあります。
誰もが欲しがる不動産ではないでしょう。
しかし、
「もし誰も買わなかったら?」
という疑問が残ります。
建物は所有者が亡くなったからといって消えません。
雨が降れば傷みます。
雑草も伸びます。
近隣へ迷惑をかける可能性もあります。
相続人がいなくても、
不動産そのものは現実に存在し続けるのです。

私たちが購入を決めた理由
もちろん不動産会社ですから、
事業として成立するかは検討します。
しかし今回はそれだけではありませんでした。
この不動産が放置されることで、
地域にとってマイナスになる可能性もあります。
誰かが引き継ぎ、
再び活用される方が良い。
そう考えました。
不動産には価格だけでは測れない価値があります。
そこには人の人生があります。
95年間を生きた一人の女性が暮らした家。
その役目を終えた家を、
次の世代へつなぐ。
それも不動産売買の一つの役割だと感じています。

これから増える「相続人がいない不動産」
今後、日本では単身高齢者が
さらに増えると言われています。
つまり、
今回のような案件は決して
特別な話ではなくなる可能性があります。
身寄りがない。
子どもがいない。
親族と疎遠。
こうした状況の方は少なくありません。
だからこそ、
元気なうちに専門家へ相談することが大切です。
今回のおばあさんのように
生前に整理を進めていたことは、
その後の手続きを大きく助けたはずです。

不動産売買等でのよくある質問
相続人がいない家は最終的に誰のものになりますか?
家庭裁判所で選任された相続財産清算人が手続きを進め、
最終的に残余財産があれば国庫へ帰属する場合があります。
相続人がいない不動産でも売却できますか?
可能です。
相続財産清算人が売主となり
売却手続きを進めることがあります。
売れない不動産はどうなりますか?
物件の状況によりますが、価格調整や活用方法の
見直しが行われることがあります。

- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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