あなたはチーター?それともナマケモノ?相続空き家を売る人・売らない人「5つの動物性格診断」 ~8月31日、夏休みの宿題と一緒に実家の片付けも考えてみよう!~
8月31日。
子どものころ、この日が近づくと
妙に落ち着かなかった人も多いのではないでしょうか。
読書感想文は題名だけ。
自由研究はテーマすら決まっていない。
机の前に座っているのに、
なぜか鉛筆を削る作業だけがはかどる。
ところが大人になってからも、
似たような宿題が待っています。
それが、相続した実家の片付けです。
「そのうち整理しよう」
「涼しくなってから考えよう」
「兄弟が集まったときに相談しよう」
そう言いながら、春が過ぎ、夏が過ぎ、
気がつけば何年もたっている。
弊社には、相続した空き家の売却相談が数多く寄せられます。
しかし、相続後の動き方は人によって本当にさまざまです。
今回は、その行動を5種類の動物に例えてみました。
もちろん、これは医学的な性格診断ではありません。
不動産業界に長くいる私が、これまで出会った相続人を
勝手に動物へ例えた「不動産屋版・空き家性格診断」です。
さて、あなたはどの動物でしょうか。
①相続したらすぐ売る「チータータイプ」
相続登記を済ませ、家財処分の見積もりを取り、
不動産会社へ査定を依頼する。
何をするにも、とにかく速い。
「誰も住まへんねやろ?
固定資産税もかかるし、ほんなら売ろう」
そう判断すると、すぐに走り出します。
実際に会社を経営している人や自営業者には、
このチータータイプが多いように感じます。
空き家を思い出だけでなく、
一つの資産として冷静に見られるのでしょう。
半年後には売却が終わり、売却代金の分け方まで決まっている。
一方、ほかの兄弟は、まだ実家の鍵を
どこへ置いたのか探していたりします。
ただし、チーターだけ先に走るのは危険です。
相続した不動産は、自分一人だけの問題とは限りません。
ほかの相続人の気持ちを置き去りにすると、
「勝手に不動産会社を呼ぶな!」
「まだ売るとは言うてへんで!」
と反発されることがあります。
相続は短距離走ではなく、兄弟全員で走る団体競技。
速さは大きな長所ですが、スタート前の意思確認は必要です。
②高く売り出す「クジャクタイプ」
査定価格が2,000万円でも、
2,500万円や2,800万円で売りに出したい人です。
「うちは角地です」
「柱にはええ木を使っています」
「お父ちゃんが何度も修理していました」
「近所の家は3,000万円で売りに出ています」
実家の魅力を次々と披露し、自信満々に羽を広げます。
もちろん、少しでも高く売りたいのは当然です。
最初から安く売る必要もありません。
問題は、買主から反応がないのに、
いつまでも羽を広げ続けることです。
半年たっても売れない。1年たっても価格を変えない。
そのうち近所で「あの家、まだ売ってるで」と
有名になってしまいます。
売り出し価格は売主が決められます。
しかし、実際に売れる価格を決めるのは市場です。
思い出の価値は、家族にとっては何千万円にも代えられません。
しかし買主は、建物の古さ、駅からの距離、
道路の幅、リフォーム費用などを冷静に見ています。
羽を広げることは大切です。
ただし、ときどき買主の反応を確認し、
羽の大きさを調整する必要があります。
③何もせずに放置する「ナマケモノタイプ」
売るとも決めない。
使うとも決めない。
片付けにも行かない。
「涼しくなったら見に行きます」
「兄弟と一度相談します」
「仕事が落ち着いたら考えます」
そう言いながら、何年も過ぎてしまいます。
本人はまったく動かないのに、
庭の雑草だけは驚くほど元気に成長します。
雨漏りもシロアリも、相続人の決断を待ってはくれません。
学校の宿題なら、提出しなければ先生に怒られます。
ところが空き家には先生がおらず、
8月31日のような締切もありません。
その代わり、近所から突然連絡が来ます。
「庭の枝が、うちまで伸びてきています」
「屋根の一部が落ちそうですよ」
「最近、誰か出入りしていませんか?」
そこで久しぶりに実家を見に行き、
建物の傷み具合に驚くのです。
事情があって売らないことと、
考えるのが面倒で放置することは違います。
ナマケモノタイプに必要なのは、
いきなり家財を全部片づけることではありません。
まず鍵を持って現地へ行く。
それだけでも立派な第一歩です。
④何年後に売るか決めている「カメタイプ」
「三回忌が終わったら売ります」
「あと5年間は別荘として使います」
「子どもが独立したら整理します」
すぐには売らなくても、
自分なりに期限と目的を決めている人です。
動きはゆっくりですが、ゴールは見えています。
定期的に換気をし、庭を手入れし、
固定資産税や修繕費も理解しているなら、
無理に急いで売る必要はありません。
私も相続した実家を、
お墓を守るための拠点兼別荘として使っています。
相続して約10年になりますが、
今のところ売る予定はありません。
ただし、片付いたのは全体の約10分の1。
一部屋を片づけたときは、
「これはメッチャ片づいたで!」と思いました。
ところが、家全体を見渡してみると、
まだ登山口に着いた程度でした。
カメタイプにも、本当に少しずつ前進しているカメと、
甲羅に入ったまま「何年後かに売ります」と
言っているだけのカメがいます。
売る時期を決めるだけでなく、それまで建物を傷ませず、
きちんと管理できるかどうかが重要です。
⑤どこに相談すればよいか分からない「ミーアキャットタイプ」
司法書士、不動産仲介会社、
不動産買取会社、税理士、家財処分会社。
登場人物が多すぎて、
誰に最初の相談をすればよいのか分からない人です。
インターネットで調べては画面を閉じ、
別の会社を調べては、また画面を閉じる。
あっちを見て、こっちを見ているうちに数か月が過ぎます。
「家財を全部捨ててからでないと査定できませんか?」
「相続登記がまだでも相談できますか?」
「古い長屋でも売れるんでしょうか?」
このタイプは優柔不断というより、
慎重で警戒心が強い人です。
失敗したくない。安く買いたたかれたくない。
変な会社へ頼みたくない。
そう思えば思うほど、最初の電話がかけられません。
しかし、最初からすべてを決める必要はありません。
家財が残っていても、登記の状況が分からなくても、
そのまま相談できる不動産会社はあります。
特に古家、長屋、借地、再建築不可物件などは、
一般的な住宅とは査定方法や売り方が違います。
まずは、その種類の不動産を実際に扱った経験のある
会社へ相談することが大切です。
あなたは、どの動物でしたか?
すぐ動くチーター。
高く売りたいクジャク。
考えることを先延ばしにするナマケモノ。
期限を決めてゆっくり進むカメ。
相談先を探して周囲を見回すミーアキャット。
どのタイプが絶対に正しい、という話ではありません。
実家をすぐ売る人が立派とは限りませんし、
売らずに持っている人が間違っているわけでもありません。
大切なのは、「理由があって売らない」のか、
それとも「決められないまま放置している」のかを、
自分で分かっていることです。
夏休みの宿題は、
8月31日になれば嫌でも締切がやって来ます。
しかし、相続した実家の片付けには締切がありません。
だからこそ、5年でも10年でも先延ばしにできてしまいます。
さて、あなたの実家は今、どんな状態でしょうか。
ちなみに私の実家は、相続から約10年で片付けが約1割。
このペースなら、全部片づくまであと90年です。
不動産屋として人様の空き家を心配する前に、
私もカメの歩幅を少しだけ広げたほうがよさそうです。
相続空き家についてのQ&A
Q.家財が残ったままでも査定を頼めますか?
はい。
家財を全部処分してからでなくても査定は可能です。
売却方法によっては、家財を残した状態で
買い取ってもらえる場合もあります。
Q.売る予定が数年後でも相談してよいですか?
問題ありません。
将来売却する可能性があるなら、現在の価値や
今後必要になりそうな費用を早めに把握しておくと、
計画を立てやすくなります。
Q.相続登記が終わっていなくても相談できますか?
売却を完了するまでには名義を整理する必要がありますが、
相談や現地査定は先に進められます。
登記の状況が分からない場合も、まずはそのまま伝えてください。
Q.相続した空き家は、いつ売るのが正解ですか?
すべての人に共通する正解はありません。
ただし、使う予定も保有する理由もないのであれば、
建物の状態が悪くなる前に一度査定を受け、
「今売る場合」と「持ち続ける場合」を
比べてみることをおすすめします。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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