借地の長屋。解体して地主に返す?それとも現状のまま売る? 東大阪市・瓢箪山近く、ある売主の静かな決断
「もうな、解体して返すしかないんやろか…」
そうつぶやいたのは、
東大阪市・瓢箪山駅近くの借地長屋の売主さん。
築年数ははっきりしない。
平家建て。風呂はない。
庭というより空きスペースは草が伸び放題。
しかも土地は借地。
毎月の地代は、正直“安くはない”。
子どもは市外に住んでいて、
この家に戻る予定はない。
かといって、解体して更地にして地主に返すと
数百万円単位の出費が見えてくる。
「マイナスで終わるのは、なんか悔しい」
そんな思いが、相談のきっかけだった。
借地長屋という“静かな難物件”
まず整理しておきたい。
借地とは、土地は地主の所有。
建物だけが売主の所有という状態。
これだけでも、通常の戸建売却とはハードルが違う。
- 売却時には地主の承諾が必要になることが多い
- 承諾料(名義変更料)が発生するケースもある
- 地代が高ければ、購入者の負担は重い
- 契約内容によっては、将来的な建替えに制限がある
そこに今回の条件が重なる。
・平家
・風呂なし
・長年未使用
・草ボウボウ
・地代高め
不動産として見ると“商品力”は決して高くない。
解体して返すという選択
「いっそ解体して返した方が、気持ちは楽やろか?」
売主さんはそう言う。
確かに、建物を壊して更地にし、地主に
返還すれば、将来の管理責任からは解放される。
しかし現実的な数字を並べると、話は簡単ではない。
仮に延床15坪前後の長屋とする。
- 解体費:150万〜250万円
- 残置物処分:30万〜80万円
- 整地・諸経費:数十万円
合計で200万〜350万円規模。
その上で土地は自分のものにならない。
つまり、数百万円払って“何も残らない”
という選択になる可能性が高い。
「これ、ほんまにそれしかないんやろか?」
売主さんの迷いは、そこにあった。
現状のまま売るという希望
「もし、誰かが現状で買ってくれたら…」
理屈上は可能だ。
借地長屋でも、ニーズはゼロではない。
- 低予算で住まいを探している人
- DIYを前提に安く仕入れたい層
- 投資目的で利回りを重視する人
- 隣地を所有していて、まとめたい人
ただし、これは一般的なファミリー層ではない。
市場で言えば、かなり“狭い層”。
だからこそ、
不動産会社が本気で取り組むかどうかが重要になる。

不動産会社は真剣に売ってくれるのか?
ここが売主さんの最大の不安だった。
正直に言う。
通常の新築仲介や高額マンションを扱う会社にとって、
借地の風呂なし長屋は“優先順位が高い物件”ではない。
例えば売却価格が200万円と仮定しよう。
仲介手数料は約33万円。今では高額だ・・。
一方で、地主との調整、現況確認、
条件整理、買主探し…。
手間は決して少なくない。
営業担当の心理としては、
「時間をかけるなら、もっと単価の高い物件を…」
となる可能性は現実としてある。

では、誰なら本気で取り組むのか?
鍵は“専門性”。
- 借地物件の実績がある
- 長屋・再建築不可を扱い慣れている
- 買取の選択肢も持っている
こうした会社なら、
商品としての出口を理解している。
「売れない物件」ではなく、「売り方が難しい物件」
として扱ってくれる。
ここが決定的に違う。

東大阪市・瓢箪山という場所
東大阪市
瓢箪山駅
瓢箪山は、近鉄奈良線沿線。
大阪難波方面へもアクセスでき、
昔ながらの住宅街が広がるエリアだ。
派手さはないが、生活圏としての安定感はある。
だからこそ、「ゼロではない」
という可能性が残る。
駅徒歩圏かどうか。
接道はどうか。
再建築は可能か。
条件次第では、100万円台〜200万円台の
価格帯で動くこともある。

地代という現実
借地物件の最大の壁は、地代。
購入者は建物代を払った上で、
毎月地代を払い続ける。
例えば地代が月3万円なら、年間36万円。
投資家なら、即こう計算する。
想定家賃 − 地代 − 修繕費 = 手残り
ここが合わなければ、買わない。
だから地代が“高め”という事実は、
価格に直結する。

少しだけ整えるという選択
売主さんに提案したのは、
意外とシンプルなことだった。
「まず草、刈りましょう」
最低限の草刈り。
危険物の撤去。
写真の撮り直し。
これだけで、印象は大きく変わる。
物件の価値そのものが上がるわけではない。
でも“放置物件”から“売却対象物件”に変わる。
この差は大きい。

買取という逃げ道
どうしても時間をかけたくないなら、
買取業者に売るという方法もある。
価格は抑えめになるが、
- 地主との調整込み
- 現状のまま
- スピード重視
で進められる可能性がある。
「少しでもプラスになれば…」
売主さんの希望はそこだった。

最後に
借地の長屋。
風呂なし。
草ボウボウ。
地代高め。
条件だけ並べれば、厳しい。
しかし、解体して終わらせる前に、
“可能性”を整理する価値はある。
不動産会社は真剣に売ってくれるのか?
答えは、物件に合った会社を選べば、
真剣に向き合うである。
借地長屋は、売れないのではない。
“売り方を間違えると止まる”だけだ。
売主さんは最後にこう言った。
「赤字で終わるより、
やれることやってみたいわ」
その一歩が、未来を変えるかもしれない。


