再建築不可の大阪長屋を今後50年使い続けるにはいくら必要? ― 建替えできない家を「現実的に維持する」ためのコストと別の選択肢―

はじめに|「再建築不可=詰み」ではないが、覚悟は要る
大阪市内、とくに住吉区・阿倍野区・西成区
・平野区・東成区などでは再建築不可の長屋が
今も数多く残っています。
よくある相談がこれです。
「売れへん言われた」
「壊されへん」
「ほな、この家あと何年もつん?」
結論から言います。
👉 再建築不可の大阪長屋でも、
50年使い続けることは可能
👉 ただし “いくらかかるか”を
知らずに続けるのは危険
この記事では、
- 再建築不可長屋の現実的寿命
- 50年維持するために必要な修繕内容
- 総額でいくらかかるのか
- やってはいけない延命方法
を、大阪の長屋事情前提で解説します。
前提整理|再建築不可の大阪長屋の平均スペック
まず、今回想定する「大阪長屋」は以下です。
- 木造(明治〜昭和初期〜戦後)
- 延床:40〜70㎡前後
- 路地奥 or 接道2m未満
- 再建築不可
- 現在も居住 or 空き家直前
👉 **「よくある大阪市内の長屋」**です。
再建築不可長屋の本当の寿命は?
よく「木造は30年」と言われますが、
これは完全な誤解です。
実際はこう
- 適切な修繕あり → 100年超も普通
- 放置 → 10〜20年で致命傷
大阪の長屋がいまも残っている理由はただ一つ。
👉 壊さず、直し続けてきたから

50年耐久を目指すなら「フルリフォーム」は不要
ここ、重要です。
❌ 新築レベルに戻す
❌ 全部最新にする
これは不要、というか無駄です。
再建築不可長屋でやるべきは、
「壊れない・雨が入らない・倒れない」
これだけ。
50年維持するための修繕項目と費用【リアル版】
① 屋根(最重要)
- 内容:瓦の積み直し or 葺き替え
- 目安:120万〜250万円
- サイクル:25〜30年に1回(50年で2回想定)
👉 屋根を制する者が長屋を制する
② 外壁・防水
- 内容:モルタル補修、簡易防水
- 目安:80万〜150万円
- サイクル:20年に1回
③ 構造補強(最低限)
- 内容:束石補修、土台補強、金物追加
- 目安:50万〜120万円
- サイクル:50年で1回
※ 耐震等級を取る必要はありません
※ 「倒れにくくする」レベルでOK

④ 水回り(超現実ポイント)
- 風呂・トイレ・配管更新
- 目安:80万〜150万円
- サイクル:25年に1回
⑤ 電気・ガス関係
- 配線整理・安全対策
- 目安:30万〜60万円
- サイクル:30〜40年に1回
⑥ 小修繕・雑費(絶対必要)
- 雨漏り応急
- 建具調整
- シロアリ部分対応
👉 年平均 5万〜10万円

【合計】50年維持に必要な総額はいくら?
現実的な合計レンジ
| 内容 | 金額目安 |
|---|---|
| 屋根(2回) | 240〜500万円 |
| 外壁・防水 | 80〜150万円 |
| 構造補強 | 50〜120万円 |
| 水回り | 160〜300万円 |
| 電気等 | 30〜60万円 |
| 小修繕(50年) | 250〜500万円 |
| 合計 | 約800万〜1,600万円 |
👉 平均すると約1,000万〜1,200万円前後
年換算すると、実はこうなる
50年で1,000万円
→ 年間20万円
→ 月あたり約1.7万円
これ、大阪市内で「住み続けられる家賃」
と考えると、どうでしょう。

再建築不可長屋で「絶対やってはいけないこと」
① 雨漏りを放置
→ 構造が一気に死にます。
② 安さだけで業者選び
→ 長屋は雑に触ると終わる。
③ フルリノベ幻想
→ 回収できません。
じゃあ、50年維持する価値はあるのか?
答えは分かれます。
維持が向いている人
- 立地が良い
- 固定資産税が安い
- 住み続ける or 賃貸する
- 売却より「使い切る」発想
向いていない人
- 空き家のまま
- 相続人が多い
- 管理できない
- 将来売りたい

不動産的な結論
再建築不可の大阪長屋は、
- 資産として増やすものではない
- 「使い切る住居」
50年維持するには、
👉 覚悟と計画と、現実的なお金
が必要です。
でも逆に言えば、
売れない・壊せない・でも住める
この条件を「自分の味方」にできた人だけが、
長屋と長く付き合えます。

まとめ|数字を知った人だけが判断できる
- 50年維持:可能
- 必要費用:約800万〜1,600万円
- ポイント:屋根・雨・放置しない
再建築不可長屋は、知らずに持つと重荷、
分かって持てば合理的です。
それなら、別の家を買った方がいいかも?
〜再建築不可長屋を「50年維持」する前に考える、もう一つの現実的選択〜

ここまで読んで、こう思った人も多いはずです。
「50年で1,000万円以上かかるなら、
それ、別の家買った方がよくない?」
結論から言います。
👉 その判断、かなり健全です。
そして実は、再建築不可長屋を維持する人の
“多くが一度はここで悩む”ポイントでもあります。
数字で比較してみる|長屋維持 vs 別の家を購入
まず、超シンプルに比べます。
再建築不可長屋を50年維持した場合
- 総修繕費:約1,000万〜1,200万円
- 月換算:約1.7〜2万円
- 住み続けられるが、資産価値はほぼ増えない
- 管理・判断はすべて自己責任
別の家を購入した場合(大阪市内・現実ライン)
例として👇
- 中古マンション:2,000万〜2,500万円
- 住宅ローン35年
- 月返済:6〜7万円前後(金利条件次第)
この場合、
- 修繕は管理組合が対応
- 建替え・再販の選択肢が残る
- 「出口」がある資産になる

「お金」だけで見ると、どっちが得?
ここが重要です。
お金だけで見た場合
- 住居費の安さ → 長屋
- 将来の身軽さ → 別の家
つまり、
- 長屋: 👉「安く住み切る」ための選択
- 別の家: 👉「将来を残す」ための選択
それでも長屋を選ぶ人、別の家を選ぶ人
それでも再建築不可長屋を選ぶ人
- 立地が手放せない
- 固定資産税が極端に安い
- ローンを組みたくない
- 「この家で最後まで」という覚悟がある
👉 “住居”として割り切れている人
別の家を買った方が向いている人
- 将来売る可能性がある
- 子どもに何か残したい
- 修繕判断を自分でしたくない
- 相続・共有リスクを避けたい
👉 “資産”として考えている人

再建築不可長屋で一番危ないのは「中途半端」
実は一番よくないのがこれです。
- フル修繕する勇気はない
- でも手放す決断もできない
- とりあえず小修繕だけ
👉お金は出ていくのに、満足度も出口もない
これは、50年どころか
10〜15年で後悔するパターンです。
判断の目安|この質問にYESなら「別の家」
最後に、超シンプルな判断基準を置きます。
次の質問に2つ以上YESなら?
- 将来、売るかもしれない
- 子どもに相続させたい
- 大きな修繕判断を自分でしたくない
- 1,000万円の修繕費に迷いがある
👉 別の家を買う選択を真剣に考えるタイミング

最終結論|長屋が悪いわけでも、別の家が正解でもない
大事なのはこれです。
- 再建築不可長屋は
「使い切る覚悟」がある人向け
- 別の家は
「将来の選択肢を残したい人向け」
どちらが正しいかではなく、
「自分はどっちの人生を選びたいか」
ここがはっきりすれば、後悔はほぼありません。

再建築不可の大阪長屋を50年維持することは可能。
ただし、その覚悟がないなら“別の家を買う”という
選択は、逃げではなく合理的判断である。
