前道よし!再建築もできそう!大阪の長屋査定で最後に出てきた“昔の不動産会社”

 

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大阪市内の長屋の買取依頼をいただきました。

 

築年数は古い。

まあ長屋ですから、そこは想定内です。

 

長屋の査定というと、

皆さん建物の状態を気にされます。

 

「雨漏りしてます」

「床がちょっと沈みます」

「隣とくっついてます」

 

大丈夫です。

長屋ですから(笑)。

 

もちろん建物も見ますが、

それ以上に私が気になるものがあります。

 

前の道です。

 

「前の道、どないなっとる?」

 

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大阪市内の古い長屋を査定するとき、

ここは非常に重要です。

 

今回の長屋も前道を確認しました。

 

すると――。

おっ、前道よし!

道路としては再建築もできそうです。

 

「これは道路については、そんなにややこしくないかな」

最初はそう思いました。

 

ところが念のため、前道の登記を調べてみると……。

ん?

 

大阪市の名義ではありません。

個人でもありません。

 

出てきたのは――

昔、この辺りの長屋を分譲したと思われる不動産会社。

 

道路だけが今も、その会社名義のまま残っていたのです。

 

昔の分譲会社名義の道路、実はたまにあります

 

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大阪市内の古い長屋や昔の分譲住宅を扱っていると、

こういう道路に出会うことがあります。

 

何十年も前に不動産会社が土地を分譲した。

住宅部分はそれぞれの人へ売却した。

 

ところが――

前の道路だけ不動産会社名義のまま。

 

「ほんなら、その会社に連絡したらええやん」

と思いますよね。

 

ところが調べてみたら、

会社がもうない。

 

廃業していたり、倒産していたり。

 

登記には昔の法人名が残っているけれど、

その会社自体は現在営業していないというケースもあります。

 

だからといって、

「会社がない=建て替えできない」

という単純な話でもありません。

 

道路の状況、権利関係、実際に必要となる工事などを

一つずつ調べていくことになります。

 

不動産屋を長くやっていると、名前を見て分かることもある

 

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これはあまり大きな声では言えませんが……。

 

私はこの仕事を長くやっていますので、

道路の登記に昔の不動産会社の名前が出てくると、

「あっ……ここか」となることがあります。

 

もちろん会社名は書きません。

 

それに、昔の分譲会社が道路を所有しているからといって、

その会社に問題があるという意味でもありません。

 

普通にきちんと対応してくれる

不動産会社の方が多いです。

 

ただ長いこと不動産屋をやっていると、

「ここなら普通にいけそうやな」という会社と、

「ん~~~。ちょっと待てよ……」

となる会社があるんです。

 

何でしょうね、これ。

不動産屋の第六感。

 

登記簿が赤く光るわけではありません。

 

法務局の人が、

「この会社、気ぃつけてくださいね」

と付箋を貼ってくれるわけでもありません。

 

そんな便利なサービスはありません(笑)。

 

経験です。

 

そして以前、別の場所で、

その第六感が見事に当たったことがありました。

 


水道局「道路所有者さんから掘削同意をもらってください」

 

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その物件も建て替えができる土地でした。

 

そして今回と同じように、

前道は昔その辺りを分譲した不動産会社の名義。

 

建て替えに伴って水道工事が必要になり、

水道局から言われました。

「道路所有者さんから掘削同意をもらってください」

 

そもそも「掘削同意」って何?

 

一般の方には聞き慣れない言葉だと思います。

 

建物を建て替えると、水道管などを新たに引き込んだり

交換したりするため、前の道路を掘ることがあります。

 

ところが、その道路が大阪市などの

公道ではなく他人が所有する私道だったら?

 

道路所有者との関係が出てきます。

 

当時のこの案件では、水道局から

道路所有者の掘削同意をもらうよう求められたわけです。

 

「分かりました」

ということで、私はその道路を

所有している不動産会社へお願いに行きました。

 

幸い、この会社はまだ残っていました。

 

事務所へ行って事情を説明すると、

社長さんが出てきます。

 

 

これがもう――。

 

見た瞬間、

「ワシ、不動産屋ですねん!」

という雰囲気を全身から放っている社長さん。

 

いや。

私も不動産屋なんですけどね(笑)。

 

同業者でも分かるんです。

不動産屋には、ときどきあります。

 

「不動産屋濃度」というものが。

 

※ここに登場する会社・人物を特定する意図はありません。

掲載写真も本文とは関係のないイメージです。

 

私が説明します。

 

「こちら建て替えすることになりまして、

水道局から前道の掘削同意をいただいてくださいと

言われまして……」

 

社長さん。

私の話を聞いて一言。

 

「ハンコ代な」

……。

 

はい?

ハンコ代?

 

「うちは一律や」

そして出てきた金額が――。

 

「20万円」

…………。

 

20万円!?

 

ハンコ、金でできてんのかと思いました。

 

いやいやいや。

書類にハンコを一個いただきたい。

 

それはそうなんですが、

一律20万円。

 

なかなかの金額です。

 

「未だにおるんやなぁ……。こういう不動産屋さん」

と思ったことを今でも覚えています。

 


ただし!ここは勘違いしないでください

 

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この記事で一番誤解してほしくないところです。

 

昔の分譲会社が道路を所有している

=ハンコ代を要求される。

 

そんな話ではありません。

 

むしろ私の経験では、事情をきちんと説明して

必要な書類を持っていけば、普通に対応して

ハンコを押してくれる不動産会社の方が多いです。

 

ケースによって確認事項や手続きが違うことはありますが、

「私道や!」

「昔の不動産会社名義や!」

「20万円用意せな!」

なんて思わないでください(笑)。

 

この社長さんが、

なかなかパンチの効いた方だっただけです。

 

ただ――。

長年この仕事をやっていると、たまに出会うんですよ。

 

こういう昔ながらの不動産屋さんに。

そして、だいたい濃い。

 


今は「ハンコがなければ絶対に何もできない」とも限りません

 

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ここは昔の経験談と現在を分けておきます。

 

2023年4月施行の改正民法では、

他人の土地に設備を設置したり、他人所有の設備を

使わなければ水道・電気・ガスなどの供給を

受けられない場合、必要な範囲で設備を設置・使用する

権利が明文化されました。

 

法務省自身も、改正前には私道所有者から

不当な承諾料を求められるケースがあったことを

制度説明の中で挙げています。

 

現在は事前通知や損害が最も少ない方法、

場合によっては償金などについても

ルールが整備されています。(法務省)

 

ですから、

 

「道路所有者がハンコを押してくれへん!

もう建て替えでけへん!」

と即断する話ではありません。

 

一方で「法律で権利ができたから、

勝手に道路を掘ってええで!」という話でもありません。

 

実際の工事では道路の権利関係や工事内容などによって

対応が変わりますので、水道局など関係機関への確認が必要です。

 


そして今回の大阪市内の長屋に戻ります

 

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さて。

だいぶ昔話をしましたが、今回の長屋です。

 

前道を見る。

再建築できそう。

よし。

 

登記を取る。

昔の不動産会社名義。

おお……。

 

そして会社名を見る。

…………。

 

私の「不動産屋第六感」が、ほんの少し反応しました(笑)。

 

もちろん、それだけで査定価格を下げたり、

「この長屋はあきません」

なんて判断するわけではありません。

 

会社は現在どうなっているのか。

道路の権利関係はどうなっているのか。

実際に建て替えるとしたら何が必要になるのか。

 

一つずつ確認していきます。

 

長屋の査定って、建物を見て、

「古いですね~」「坪なんぼですね~」

だけで終わる仕事ではないんです。

 

特に大阪市内の古い長屋では、

家より道路を調べている時間の方が長いやん!

ということもあります。

 

でも、それがおもしろいところでもあります。

 


筆者の独り言

 

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今回、昔の不動産会社の名前を登記で見た瞬間、

あの20万円の「ハンコ代」を思い出しました。

 

あの社長さん。

今どうしてるんでしょうね。

 

まだ元気に、

「ワシ、不動産屋ですねん!」

ってやってるんかな。

 

……いや。

確認しに行くのはやめときます(笑)。

 

今回の長屋については、

これからもう少し調べて査定です。

 

さて――。

私の不動産屋第六感は当たるのか、外れるのか。

 

できれば今回は、外れてほしいです。

 


 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!

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