大阪市住吉区の再建築不可の長屋、隣人から「売ってほしい」と言われたら?安い提示額で決める前に知っておきたいこと

大阪市住吉区にある、再建築不可の古い長屋。
お隣さんから
「この家、250万円で売ってもらえませんか?」
と声をかけられました。
持ち主のお母さんは、
長年のご近所付き合いもあります。
「お隣さんが欲しいんやったら、それでええかな……」
そんな気持ちになっていました。
ところが、この話を聞いた娘さんは違います。
「隣やからって、
そんなに安く売ったらアカンで!お母ちゃん!」
ここから、お母さんと
娘さんの空き家売却が動き始めます。
本記事では、大阪市住吉区にある再建築不可の長屋で
実際にあった事例をもとに、
隣人への売却・不動産会社の買取・仲介での売却を
どう考えればよいのかを解説します。
「隣には悪い気がする。でも、あまりに安く売るのも……」
と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
再建築不可の長屋は、やっぱり安くしか売れない?
「再建築不可」とは、現在の建物を取り壊した場合、
原則として新しい建物を建てられない状態をいいます。
理由はいくつかありますが、
代表的なのが道路と敷地の関係です。
大阪市によると、建物の敷地は原則として
「建築基準法上の道路」に2m以上接している必要があります。
接している道が建築基準法上の道路
なのかどうかも重要です。
そのため、再建築不可と聞くと、
「新しい家を建てられへんのやったら、
値段が安いのも仕方ないな」と思ってしまうかもしれません。
今回のお母さんも、お隣さんが提示した
250万円で売ることを考えていました。
しかし、
この長屋には大きなポイントがありました。
お隣さんが買うと、土地の価値の見え方が変わる
今回、長屋そのものは再建築が難しい状態でした。
一方、お隣さんの土地は公道に面しています。
ただし、お隣さんの土地だけでは敷地が狭く、
希望するような規模の住宅を建てるには
十分とはいえない状況でした。
そこで今回の長屋の土地です。
お隣さんがこの土地を取得し、自分の土地と
一体で利用できれば、敷地に余裕が生まれます。
接道など必要な条件を満たせば、
従来より建築計画の選択肢を広げられる可能性があります。
つまり、一般の買主から見れば、
「再建築できないから買いにくい土地」
でも、お隣さんから見れば、
「自分の土地と合わせることで
活用できる可能性がある土地」なのです。
不動産は、誰が買うかによって
利用価値の見え方が変わることがあります。
なお、隣地と一体化すれば
必ず再建築できるわけではありません。
大阪市でも原則として敷地が建築基準法上の道路に
2m以上接することなどを求めているため、
実際に建築できるかは個別の確認が必要です。
「250万円は安すぎるんちゃう?」娘さんが動いた!
お母さんから話を聞いた娘さんは、
250万円という価格が気になりました。
そこで出たのが、あの一言です。
「隣やからって、
そんなに安く売ったらアカンで!お母ちゃん!」
ただ、娘さんも感覚だけで
「安い」と言ったわけではありません。
実際に不動産会社数社へ問い合わせて、
売却した場合の価格を確認しました。
そこで見えてきたのが、
不動産会社による買取なら300万円程度。
そして、
仲介で一般の買主を探す場合なら400~500万円程度
という今回の物件に対する価格の目安でした。
もちろん、400~500万円で
必ず売れるという意味ではありません。
仲介は買主が見つからなければ売却できませんし、
再建築不可の長屋であれば
購入希望者が限られる可能性もあります。
それでも、250万円しか
選択肢がないわけではないことが分かりました。
娘さんが心配したのは、まさにそこだったのでしょう。
「もう、お金なんかどうでもええんや!」お母さんは悩みに悩んだ
ここで、お母さんが「ほな、一番高いところに売ろう」
と考えたかというと、そうではありませんでした。
むしろ、ここからが一番つらいところでした。
相手は知らない人ではありません。
これまで隣同士で暮らしてきた人です。
一度は250万円で売ってもいいと思ったのに、
「やっぱり、その値段では……」
と言ったら、気を悪くするんじゃないか。
これから顔を合わせたときに気まずくならないか
そんなことを考え続けます。
とうとう、
「もう、お金なんかどうでもええんや!」
と思うほど悩みました。
100万円のために、
お隣さんとの関係を悪くしたくない。
それも、お母さんの本当の気持ちだったのです。
「娘の言うことも聞いとかなあかん」勇気を出したお母さん
それでも、お母さんには
もう一つ気になることがありました。
娘さんです。
自分のために不動産会社を何社も調べてくれた。
「安く売ったらアカン」と心配してくれた。
そして、お母さん自身も年齢を重ねています。
「これから娘に世話になることもあるやろうし、
娘の言うことも聞いとかなあかんな……」
そう考えたお母さんは、ようやく決心しました。
お隣さんに正直に話してみよう。
娘が不動産会社数社に聞いてくれたこと。
買取でも300万円程度の価格が出そうなこと。
仲介なら400~500万円程度という話も聞いていること。
そして、250万円では娘も心配していること。
勇気を出して、お隣さんに伝えました。
250万円だった話が、最終的に350万円でまとまった

お母さんが事情を正直に伝え、
お隣さんと改めて話し合った結果――。
350万円で売買することで話がまとまりました。
最初に提示されていた250万円から、
100万円上がったことになります。
ここで注目したいのは、
400~500万円程度という仲介の目安があったにも
かかわらず、お母さんが350万円で
お隣さんに売ることを選んだ点です。
一番高い価格だけを追いかけたわけではありません。
お隣さんとの関係も大切。
でも、自分の財産をあまりに安く手放すのも違う。
その間で、お互いが納得できるところを
探した結果が350万円だったのです。
「隣に売るか、不動産会社に売るか」
だけが答えではありません。
査定によって価格を知り、それを材料に
もう一度隣人と話し合うという方法もあります。
「この上がった100万円は娘にあげよう!」
話がまとまったあと、
お母さんはこんなことを考えました。
「娘が言ってくれへんかったら、250万円で売ってたわ。
この上がった100万円は娘にあげよう!」
なんとも、お母さんらしい結論です。
娘さんが動いたことで100万円高くなった。
でも娘さんが一番望んでいたのは、
100万円をもらうことではなく、
お母さんが知らないまま安く売ってしまわないこと
だったのではないでしょうか。
なお、実際に親から子へお金を渡す場合は、
贈与税など税務上の確認が必要になることがあります。
「100万円なら必ず税金がかからない」などと
自己判断せず、その年のほかの贈与も含めて
必要に応じて税務署や税理士へ確認しましょう。
隣人から「売ってほしい」と言われたら、価格を知ってから決めても遅くない

今回の事例からお伝えしたいのは、
「隣人には高く売りましょう」という話ではありません。
250万円でも、相場やほかの売却方法を理解したうえで
「お世話になったお隣さんだから、この金額で譲りたい」
と本人が納得して決めるのであれば、それも一つの選択です。
避けたいのは、
「再建築不可やから値段がつかへんやろう」
「長屋やから買ってくれるだけありがたい」
と思い込み、ほかの価格を
一度も確認しないまま決めてしまうことです。
特に今回のような隣接地では、買う人によって
土地の使い道や価値の見え方が変わることがあります。
大阪市住吉区には実際に長屋が残る地域があり、
大阪市も山之内エリア等の長屋について紹介しています。
再建築不可、長屋、連棟、古い空き家だからと
最初から価格を決めつけず、まず複数の売却方法を
比較して「自分の不動産はいくらくらいなのか」を知る。
そのうえで隣人に売るのか、買取を選ぶのか、
仲介で買主を探すのかを考えてみてください。
価格を知ることは、
一円でも高く売るためだけではありません。
あとになって「あのとき調べておけばよかった」
と後悔しないためでもあるのです。
大阪市住吉区で再建築不可の長屋や空き家の売却を
検討していて、「隣から買いたいと言われているけど、
この価格でいいのかな?」と迷っている場合も、
契約を決める前に一度査定を取り、
比較材料を持っておくと判断しやすくなります。
不動産売買等でのよくある質問

隣人から「売ってほしい」と言われたら、先に不動産会社へ相談してもいい?
もちろん問題ありません。
隣人への売却を断るためではなく、まず自分の不動産の
価格を把握するために査定を利用する方法があります。
複数の選択肢を把握してから隣人と話し合うと、
納得できる条件を考えやすくなります。
再建築不可の長屋でも売却できますか?
売却できる可能性はあります。
ただし、接道状況や土地・建物の状態、権利関係などに
よって条件は異なります。
仲介と不動産買取の両方を比較してみるのも一つの方法です。
隣人が買えば必ず再建築できるようになりますか?
必ずではありません。大阪市では原則として、
敷地が建築基準法上の道路に2m以上
接することなどが求められます。
隣地と一体化したあとの敷地形状や
接道状況などを確認して判断する必要があります。
買取300万円、仲介400~500万円なら仲介を選んだ方が得ですか?
金額だけでは判断できません。
仲介価格は「その価格で必ず売れる」という保証ではなく、
買主が見つかるまでの期間なども考える必要があります。
価格・期間・契約条件を比較して判断しましょう。
隣人との関係を悪くせずに価格の相談はできますか?
今回の事例のように、複数の不動産会社に確認した結果を
伝えたうえで、改めて相談する方法があります。
「もっと出して」と要求するのではなく、
客観的な判断材料を持って話し合うことがポイントです。

- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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