大阪市内のあなた所有の長屋、もしかしてお風呂は一番奥ですか?排水先はご存じ?

今回は、いきなりQ&Aから始めます。
Q1.大阪市内に古い長屋を所有していますか?
A.はい。
Q2.玄関から入って、比較的手前にキッチンがありませんか?
A.あります。
Q3.お風呂・洗面・トイレは家の一番奥にありませんか?
A.あります、あります。
Q4.前面道路には公共下水管が通っていますか?
A.もちろん通っています。
では最後の質問です。
Q5.一番奥にあるお風呂の水は、どこへ流れていますか?
A.そんなもん決まってるやん。
もちろん前の公共下水やろ!
……。
ホンマに?(笑)
今回は、大阪市内の古い長屋で
時々出会う「排水」のお話です。
つい最近、住之江区の長屋でありました!
つい先日、
大阪市住之江区の長屋を見たときのことです。
前面道路には公共下水管が通っています。
間取りも昔ながらの長屋ではよく見るタイプ。
玄関から入って比較的前の方にキッチン。
そして、一番奥にお風呂などの水回りがあります。
家の中を見ながら、ふと思いました。
「……ちょっと待てよ。この風呂の水、
ホンマに前まで流れとるんか?」
そこで水を流してみました。
すると家の裏から――。
ボト……。ボトボト……。ボトボトボト~~~。
「ん?」裏へ回ってみると、側溝に出とるがな!
前ちゃうやん!
真逆やん!(笑)
上の写真みたいな古い家の脇や裏側にある会所。
大阪市内の古い住宅では、
こういう場所を見ることがあります。
前面道路にはちゃんと公共下水管がある。
それでも、一番奥のお風呂から流した水は、
まず家の裏側へ出ていたんです。
その先は私設の排水系統などを経由して、
最終的にはどこかで公共下水へ流れているものと思われます。
つまり、
最終目的地は公共下水。
しかし、
そこへ行くまでの道のりが問題なんです。
「公共下水です!」だけでは分からない
例えば、家の前にあるキッチンの雑排水は前面道路側へ。
一方、一番奥にある風呂・洗面・トイレなどは裏側へ。
そこから昔からある私設の排水経路を通って、
最終的には公共下水へ。
弊社が大阪市内の古い家を見てきた中では、
こうしたケースに出会うことがあります。
ですから資料を調べて、
「汚水・雑排水は公共下水です」
という説明自体は間違いではない場合があります。
でも買う人からすれば、
「いやいや。公共下水まで、どうやって行っとるん?」
ここも知りたいところです。
大阪市でも、築年数が5年以上経過した建物については
排水設備関係の申請書が保存期間を過ぎ、
原則廃棄されていると案内しています。
古家になるほど昔の排水設備図面を
役所で追えない場合があるわけです。
古い長屋の裏にある「丸い会所」
そして大阪市内の古い長屋の裏側や家と家の間を
見ていると、昔ながらの丸い会所が残っていることがあります。
そう。
コンクリートの土間に、ドン!と丸い蓋。
初めて見る人なら、「なんやこれ?」
となるかもしれません。
ところが古い長屋を見慣れてくると、
「あ~、会所あるな」となります。
お風呂などから流れてきた排水が
こうした会所へ入り、そこから昔からの
私設管を通って流れているケースがあります。
しかも、この私設管。
一軒だけで使っているとは限りません。
並びの長屋数軒で利用している場合もあります。
大阪市内の古い長屋や密集地では、数軒分の排水が
一つの経路へ集まる古い形態が残っている例もあります。
これは今回の現場経験とも重なるところです。
「ほんなら会所の蓋、開けたら分かるやん!」

そうなんです。
会所の蓋を開ける。お風呂から水を流す。
ジャ~~。「来た来た!」次の会所を見る。
「こっちにも来た!」こうやって追いかければ、
排水経路が分かる場合があります。
ところが古い長屋は、
そう簡単に答えを教えてくれません。
「よいしょ!」……。
もう一回。「よいしょっ!」……。開かへんがな!
長年触られていないような古い会所は、
蓋がガッチリ固まって開かないこともあります。
無理やりこじ開けて、蓋まで壊してしまったら
何しに来たか分かりません(笑)。
だから、「会所は確認できた。しかし蓋が開かず、
その先の排水経路までは確認できなかった」
ということだってあるんです。
お風呂が新品なら大丈夫?
ここで、「うちはお風呂、ユニットバスに替えたで!」
という方もいらっしゃるでしょう。
ピカピカです。壁も新品。
床も新品。令和のお風呂です。
ところが――。
ユニットバスが新しいからといって、
排水経路まで新しいとは限りません。
家の一番奥にあるお風呂から前面道路側まで
新しく排水管を持っていくとなれば、
建物によっては床をめくったり、
長い距離の配管や勾配を考えたりする必要があります。
当然、工事も大きくなる。
費用もかかる。
そのため水回りだけをリフォームした場合などでは、
既存の排水経路を利用しているケースもあります。
古家・長屋の改修現場でも、既存のメイン排水管を残して
接続する施工例があることが紹介されています。
つまり――。
ユニットバスは令和。
でも床下では、「ワシ、昔からこっち流れとるから」
と昭和の道を走り続けている可能性もある(笑)。
そして私設管が詰まったら……
普段は何も問題ありません。
Aさんも流す。Bさんも流す。Cさんも流す。
ところがある日――。詰まった。
Aさん。「うちちゃうで!」
Bさん。「昨日まで普通に流れとったで!」
Cさん。「知らんがな!」
でも、みんな同じ私設管を使っている。
どこで詰まった? 原因は何? どこを直す?
費用はどうする?
もちろん権利関係やこれまでの経緯によって
違いますから、一概には言えません。
ただ、共同で利用している排水設備なら、
自分の家だけの問題では済まない場合があります。
そこで突然必要になるのが――。
One for All, All for One!
一人はみんなのために。
みんなは一人のために。
なんで長屋の排水管で
ラグビー精神が必要やねん(笑)。
でも古い長屋というのは、
建物だけではなく、見えないところで
お隣さんとつながっている場合もあるんです。
不動産会社が調べたら全部分かる?

ここは大事なところです。
古い空き家の排水経路を完全に確認するのは、
簡単ではありません。
水道が止まっている。昔の図面が残っていない。
地中の配管は見えない。床をめくるわけにもいかない。
そして――。
会所の蓋まで開かへん(笑)。
ですから、プロが万全を期して調査しても、
「ここから先の排水経路までは確認できませんでした」
ということはあります。
それ自体がおかしいとは私は思いません。
分からないものは分からない。
ただし、
「できる限り調査したけれど分からなかった」のと、
「前の道路に公共下水あるから、
まあ公共下水でええやろ」では、全く違います。
重要事項説明というのは、不動産業者というプロが
調査したうえで買主さんへ説明するものです。
100点満点の答えが出ないことはある。
だからこそ、
何を確認できて、何が確認できなかったのか。
そこまで伝えることが大切だと思っています。
最後はやっぱり「経験」なんでしょうね

古い長屋へ入る。前にキッチン。
一番奥に風呂・洗面・トイレ。
前面道路には公共下水。
資料にも公共下水と書いてある。
それでも、
「……この風呂の水、ホンマに前まで流れとるんかな?」
と一度立ち止まれるかどうか。
もちろん、お風呂が奥にあるから
必ず裏へ流れているという話ではありません。
だから断定したらあきません。
ただ、「ひょっとして?」と疑ってみる。
裏を見る。側溝を見る。丸い会所を探す。
開くなら確認する。
開かへんかったら……しゃあない(笑)。
でも、そこまで確認して分からなかったのと、
最初から見ていないのとは違います。
大阪市内に古い長屋を所有されている方。
次にその家へ行ったとき、
一度だけお風呂の位置を見てみてください。
一番奥にあったら――。
「この水、どっち行っとるんやろ?」
ちょっと気になりませんか?
そして水を流した瞬間、家の裏から、
ボト……。ボトボト……。ボトボトボト~~~。
と聞こえてきたら、
「あっ、フォローウィンドのコラムに書いとったやつや!」
と思い出してください(笑)。
大阪の古い長屋。
表から見ただけでは分かりません。
家の裏にも、床の下にも、
長~い歴史が流れているんです。

- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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