天王寺で家を探していただけなんですけど……私らの大阪でのマイホーム探しはなぜかここにたどり着きました!?

大阪府松原市。
あるご夫婦が住んでいたのは、賃貸の2LDKでした。
夫婦二人なら十分な広さ。
駅にもそこそこ近い。
スーパーもある。
家賃もそれほど高くない。
別に大きな不満があったわけではありません。
ところが――。
来年1月。
家族が一人増える予定になりました。
「赤ちゃん生まれたら、この家ちょっと狭なるかな?」
「すぐには困らんやろうけどなぁ」
そんな会話から始まったマイホーム探し。
そして旦那さんが言いました。
「どうせ家買うんやったら、校区が大事や!」
奥さんも納得。
「そらそうやな。子供のこと考えなあかんな」
そして旦那さん。
なぜか自信満々に――。
「天王寺や!」
……。
いきなりそこ行くんかい。
「校区が大事や!」から始まった天王寺の家探し

天王寺区。
大阪市内でも住宅地として人気が高く、交通も便利。
JR、大阪メトロ、近鉄などが使え、
場所によっては上本町も生活圏になります。
夫婦のテンションも高い。
「ここやったら子供が大きなっても便利やで」
「塾とかもいっぱいありそうやな」
「高校行くにも電車便利や!」
まだ生まれてへんのに、もう高校の心配しとる(笑)。
ところが不動産情報を見始めると――。
「高っ!」
予算内で探すと、広さが足りない。
広さを求めると、予算を超える。
築年数を新しくすると、さらに高くなる。
駐車場まで求めると……。
「ちょっと待って。天王寺ってこんなするん?」
します。
そこで不動産屋から一言。
「もう少し南も見てみません?」
夫婦の大阪南下作戦が始まりました。
天王寺から阿倍野へ。「ここでもええやん!」

次に見始めたのが阿倍野区。
天王寺のお隣です。
阿倍野、松崎町、文の里、昭和町。
「ええやん!」
大阪メトロ御堂筋線も谷町線もある。
場所によっては阪堺電車まで走っている。
昔ながらの住宅街も残っていて、
天王寺とはまた違った雰囲気があります。
ところが――。
「ここも結構するやん」
そうなんです。
「ほんなら、もうちょっと南行きましょうか」
「どこ?」
「昭和町とか西田辺です」
「まあ、それくらいやったら……」
この時点ではまだ余裕があります。
昭和町から西田辺。そして長居まで来てもた

昭和町。
西田辺。
物件を見ます。
「この辺、住みやすそうやな」
「御堂筋線あるしな」
ところが、夫婦には希望がありました。
ある程度広い。
部屋数も欲しい。
できれば駐車場付き。
中古なら綺麗にリフォームされている方がいい。
そして何より――。
予算は超えたくない。
不動産屋。
「もう一駅、二駅南へ行きましょうか」
そして長居。
「長居公園あるやん!」
「子供生まれたらええな!」
今度は公園が気に入りました(笑)。
校区から始まった家探し。
いつの間にか、
「大きい公園がある!」
が評価ポイントに加わっています。
さらに物件探しは南へ。
長居からあびこ。
そして住吉区。
我孫子、苅田、沢之町、我孫子前、遠里小野……。
旦那さんがポツリ。
「なあ。俺ら天王寺で探してへんかった?」
奥さん。
「言うな」
住吉区まで来たら、だいぶ現実的になってきた

住吉区まで来ると、夫婦が求める条件に
近い物件が少しずつ見えてきました。
「これ、広さええやん」
「駐車場もあるで」
「さっきの家より綺麗やな」
最初は、
「校区!」
と言っていた旦那さん。
この頃には、
「このLDK何帖?」
に変わっています(笑)。
奥さんも、
「キッチン綺麗やな」
「収納多いな」
「ベビーカーここ置けるんちゃう?」
完全に実際の暮らし目線になってきました。
これは家探しではよくあることです。
最初に考えていた条件と、
何軒も実際に見た後の条件は違ってくる。
家を見れば見るほど、
「自分たちに本当に必要なもの」
が分かってくるんですね。
そして営業車は大和川へ……

ある日の内覧。
不動産屋が言いました。
「今日、ちょっといい中古一戸建てがあります」
「どこ?」
「まあ、とりあえず見に行きましょう」
車は南へ。
あびこを越え……。
遠里小野方面を抜け……。
前方に大きな川。
奥さん。
「なあ……これ何川?」
「大和川です」
「渡るん?」
「渡ります」
ブーーーン。
旦那さん。
「ちょっと待って!」
橋の真ん中。
「大阪市から出てるやん!」
不動産屋。
「大阪府内です!」
何の説明やねん。
大和川を越えたら……あれ?なんかホッとした

車はそのまま堺市へ。
最初は、
「堺まで来てもたで……」
と戸惑っていた二人。
ところが少しすると奥さんが言いました。
「でも堺って松原の隣やんな?」
旦那さん。
「そうやん」
今住んでいるのは松原市。
天王寺から南へ南へ追いやられた気分に
なっていましたが、考えてみれば堺市は松原市のお隣さん。
「あれ?むしろ馴染みあるんちゃう?」
急に二人とも安心(笑)。
そして車が向かった先は――。
南海高野線「堺東」駅から
徒歩15分ほどの中古一戸建て。
「まあ、とりあえず見よか」
この時点では、まだそんな感じでした。
「うわっ!新築みたいやん!」

玄関を開けます。
二人とも一瞬止まりました。
「……綺麗やな」
リノベーション済み。
壁も床も綺麗。
水回りも新しい。
LDKも広い。
部屋数も十分。
収納もある。
間取りも使いやすい。
「これ中古なん?」
「リノベーションしてますからね」
奥さん、キッチンへ。
旦那さん、リビングへ。
さっきまで、
「堺まで来てもた……」
と言っていた二人が、
急に無言で家の中を歩き回ります。
こういう時は、不動産屋には分かります。
あ、気に入ったな。
奥さん。
「ここやったら赤ちゃん生まれても広いな」
旦那さん。
「子供部屋もあるで!」
まだ0歳にもなってへんけどな(笑)。
「ベビーベッドここ置けるな」
「収納も多いし」
「今の2LDKより全然ええやん」
気がつけば、
天王寺。阿倍野。昭和町。西田辺。長居。あびこ。
住吉区。大和川。堺市。堺東。
大阪の地名を南へ南へたどった末に、
ようやく二人が「ここに住みたい」
と思える家に出会いました。
そして――。
契約。
ところで……ここ校区ええんか?

無事に契約が終わりました。
旦那さんも満足。
奥さんも満足。
これから生まれてくる子供と
3人で暮らす家も決まりました。
良かった良かった。
……で終わるはずでした。
帰り道。
旦那さんが突然言いました。
「そういや……」
奥さん。「何?」
旦那さん。
「ここ、校区ええんか?」
……。
奥さん沈黙。
旦那さんも沈黙。
そして奥さん。
「あんた、もう契約したやんか!」
そやった。
この家探し――。
「子供のために校区が大事や!天王寺や!」
から始まったんやった(笑)。
天王寺から阿倍野へ。
阿倍野から昭和町、西田辺。
長居から住吉区へ。
とうとう大和川まで越えて堺東。
広さよし。
間取りよし。
リノベーション済みでピカピカ。
予算もよし。
夫婦とも大満足。
そして最後の最後に――。
校区のこと、忘れとったがな。
家探しは「最初の条件」が変わってもええんです

これは笑い話のようですが、
マイホーム探しでは珍しいことではありません。
ネットで探し始めた頃には、
「絶対このエリア!」
「駅10分以内!」
「築20年以内!」
「4LDK!」
など、条件がたくさんあります。
でも実際に10軒、20軒と見ていくと、
「駅15分でも、この家ならええな」
「築年数よりリフォーム状態やな」
「この街、思ってたより住みやすそう」
と考え方が変わる。
それは妥協とは限りません。
自分たちに本当に必要な条件が分かってきた
とも言えるんです。
ただし――。
校区が最優先なら、契約前に確認しましょう(笑)。
よくあるQ&A

Q.最初に決めたエリアから広げても大丈夫?
もちろんです。
希望する広さ・価格・駅距離などとの
バランスを見ながら、隣接エリアまで広げることで
選択肢が大きく増えることがあります。
Q.中古一戸建ては築年数を重視した方がいい?
築年数だけでは判断できません。
建物の状態、過去の修繕、リフォーム内容などを
合わせて確認することが大切です。
Q.リノベーション済みなら新築みたいに住める?
内装や設備が大きく更新されている物件なら、
新生活を始めやすいのは魅力です。
ただし見た目だけでなく、
建物そのものの状態も確認しましょう。
Q.校区はいつ確認すればいい?
できれば物件を本格的に検討する段階で。
少なくとも――。
契約した帰り道に思い出すのは遅いです(笑)。
筆者の独り言

家探しって面白いですね。
最初は、「天王寺!」だったのに、
気がつけば堺東。
でもこの夫婦にとっては、結果的に広さも間取りも
申し分なく、リノベーションされた綺麗な家に出会えました。
来年1月。
この家に新しい家族が加わります。
きっと赤ちゃんも喜んでくれるでしょう。
……たぶん。
まだ本人に聞かれへんけど(笑)。
そして数年後。
子供が小学校へ行く頃、
旦那さんにはぜひ今日のことを思い出してほしい。
「家買うんやったら、やっぱり校区が大事や!」
そう言って始まったマイホーム探し。
その結果――。
天王寺で家を探していただけなんですけど……
私ら、大和川を越えて堺東で家買いました。
そして契約後に一言。
「ところで、ここ校区ええんか?」
奥さん。
「知らんがな!あんたもう契約したやんか!」(笑)
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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