建ぺい率・容積率オーバーの中古住宅、なぜ都市銀行ではローンNG?昔は通った理由も徹底解説【大阪市内版】
はじめに
「気に入った大阪市内の中古一戸建を見つけたけど、建ぺい率がオーバーしていて銀行ローンが通らなかった」
——近年、こうした声が非常に増えています。
実際、10年前なら通っていたような物件でも、今では**「違反建築扱い」**として都市銀行が融資を断るケースが多発しています。
「昔は問題なかったのに、なぜ今はダメなのか?」
「そもそも建ぺい率・容積率オーバーってどんな状態?」
この記事では、大阪市内の中古住宅を購入したい方に向けて、以下の3点を中心に解説します。
- なぜ都市銀行の住宅ローンが通らないのか
- どんな場合なら融資が受けられるのか
- 現実的に取れる選択肢(銀行・金融機関・リフォーム対応など)

建ぺい率・容積率オーバーとは?【まず基礎を理解】
建ぺい率・容積率の基本
- 建ぺい率とは、敷地面積に対する「建築面積(建物が地面を覆う部分)」の割合のこと。
例:100㎡の土地に50㎡の建物を建てる場合、建ぺい率は50%。 - 容積率とは、敷地面積に対する「延べ床面積(全ての階の合計)」の割合のこと。
例:100㎡の土地に延べ床120㎡の家を建てると、容積率は120%。
大阪市内では、地域ごとに用途地域
(住宅地・商業地など)で上限が決まっています。
例えば、第一種低層住居専用地域では
建ぺい率60%・容積率200%が上限、といった具合です。
なぜオーバー物件が存在するのか
大阪市内の古い住宅では、以下のような理由で
オーバーしているケースが多いです。
- 昭和期の法改正前に建てられた建物
→ 当時は合法だったが、のちの法改正で基準が厳しくなった。 - 増築や改築を確認申請せずに実施
→ 台所や風呂場を増設して容積率オーバーになっている。 - 狭小地・長屋建てエリア特有の事情
→ 大阪市内の下町(生野区、西成区、東成区など)では、隣家との距離が近く、古い建物が密集しているため、法改正後に「オーバー扱い」となることが多い。
つまり、「違法建築」と「既存不適格」はまったく違います。
- 既存不適格:当時の法に適合して建てられた合法建物。
- 違法建築:建築確認を得ずに、現在の法にも適合していないもの。

🏦なぜ都市銀行ではローンが通らないのか?
都市銀行の審査基準は「担保価値重視」
都市銀行(三菱UFJ・三井住友・みずほなど)は、住宅ローン審査で「担保価値」を最も重視します。
つまり、「万が一返済不能になった時に、建物を売って回収できるか」が判断基準。
建ぺい率・容積率オーバーの建物は、
- 建築基準法に違反している
- 再建築ができない、または制限がある
とみなされるため、「担保価値ゼロ」と評価されてしまいます。
結果として、ローン審査で自動的に否決されるのです。
「昔は通っていた」理由
10〜20年前までは、都市銀行でも柔軟に判断する支店がありました。
「多少のオーバーならOK」「現況が安定していれば問題なし」とするケースも。
しかし、
- 金融庁による監査強化(コンプライアンス重視)
- 建築確認制度の厳格化
- 不動産評価基準の見直し(担保リスク管理)
により、現在は全国的に審査が厳格化されています。
つまり「昔は支店判断で通った物件」が、今ではシステム上自動的にNGになるのです。

都市銀行の対応イメージ(2025年時点)
| 金融機関 | 基準 | 対応傾向 |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 建築基準法適合必須 | 検査済証なしNG |
| 三井住友銀行 | 原則適合物件のみ | 既存不適格は個別審査 |
| みずほ銀行 | 再建築不可・違法増築NG | 原則不可 |
| りそな銀行 | 既存不適格は相談可 | 建物評価減で融資額減額の可能性 |
※詳細は各銀行にご確認ください。
💬融資を受けられる可能性があるケースとは?
①「既存不適格建築物」の場合
これは昔の法律で合法的に建てられたが、
今の法律ではオーバーしている建物。
たとえば、1980年以前に建築確認を受けた家で、
その後の法改正で容積率が下がった地域など。
→ この場合、「検査済証」が残っていれば、都市銀行でも個別審査で通る可能性があります。
② 違法増築部分を是正すればOKになるケース
例:2階のベランダを囲って部屋にしたことで容積率オーバー。
→ 囲いを撤去し、登記を修正すれば、適法に戻せる。
→ この場合、是正工事後にローン審査が再度通るケースもあります。
③ 建物評価を下げて“土地担保重視”で通す
土地に十分な価値(例:大阪市西区・中央区の整形地)があれば、
建物を評価から外して土地担保+収入審査でローンが組めることも。

🏠大阪市内で現実的な融資の選択肢とは?
① 地方銀行・信用金庫・JAバンクを検討
都市銀行がNGでも、地方銀行や信用金庫では柔軟な審査をしてくれるケースがあります。
| 金融機関 | 対応傾向 | 備考 |
|---|---|---|
| 大阪シティ信用金庫 | 現況調査で判断 | 検査済証なしでも可能性あり |
| 関西みらい銀行 | 支店判断あり | 既存不適格対応可 |
| JA大阪市 | 担保評価よりも返済能力重視 | エリア融資が得意 |
→ 担当者に「建築確認済証」「登記簿」「現況図面」を持参して相談すると、通るケースが多いです。
※上記はあくまで傾向です。
詳細は直接、各金融機関にご確認ください。
② ノンバンク・フラット35の活用
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利ローン。
ただし、技術基準を満たす必要があります(検査済証必須)。
一方、**ノンバンク(オリックス・ARUHIなど)**では、担保評価を独自に行うため、違反部分が小さい場合は融資可の例もあります。
③ 減築・リフォームで合法化する
違反部分を取り除いて確認申請を再取得することで、
建築基準法適合物件に戻せるケースもあります。
大阪市内なら、建築士やリフォーム会社が
「合法化サポート」を行っているので、相談するのが現実的です。
④ 現金+一部ローンという方法
「全額ローンが組めない=買えない」ではありません。
頭金を多く入れて、建物部分を除いた
土地担保でローンを組むことも可能です。
実際、大阪市旭区や東淀川区などでは
この方法で購入した例もあります。

📋購入前に必ず確認すべきポイント
- 建築確認済証・検査済証が残っているか
→ ない場合、違法建築の可能性が高い。 - 登記簿と現況が一致しているか
→ 登記図と現況が違うと、融資審査で指摘される。 - 建築士・不動産会社への事前相談
→ 増築部分の面積、是正工事の可否、融資の見込みを確認。 - リスクを理解した上で購入判断を
→ 将来の売却・相続時にも影響するため、長期的な視点で判断。
💡まとめ|ローンNG=“買えない”ではない
- 建ぺい率・容積率オーバーでも、全てが違法建築ではない。
- 都市銀行は厳しいが、地方銀行や信用金庫では可能性あり。
- 「既存不適格」と「違法建築」を見極めることが重要。
- 建築士・不動産会社と連携して、合法化・減築・金融機関選定を行えば、購入は十分可能。

📞まずは専門家に相談を【無料相談のすすめ】
建ぺい率・容積率オーバー物件は、書類と現況の差で評価が180度変わります。
「この家は本当に違法なのか?」「どの銀行なら通るのか?」
この判断を、個人で行うのは非常に難しいのが実情です。
購入を検討している方は、まずは不動産会社・建築士・ローン専門家に相談し、**“通る可能性のあるルート”**を確認しましょう。
大阪市内では、エリアごとに対応可能な
金融機関が異なるため、早めの動きがポイントです。
💬不動産売買でよくある質問(大阪市内編)
Q1. 建ぺい率オーバーでも住宅ローンは一切通らない?
→ いいえ。既存不適格(昔の法基準で合法)なら、銀行によっては審査通過の可能性があります。
Q2. 違法建築を買うと将来売れない?
→ 売却は可能ですが、次の買主もローンが組みにくく、
売却価格が下がる傾向があります。
Q3. 検査済証がなくてもローンが通る銀行はある?
→ 都市銀行では厳しいですが、大阪シティ信用金庫や
関西みらい銀行などでは個別判断のケースもあります。
Q4. 減築して合法化すればローンが通る?
→ 違反部分を是正し、再申請すれば審査が通ることも。
建築士に相談が必要です。
Q5. 担保評価が低くても通るケースは?
→ 土地の立地(駅近・整形地など)によっては、建物評価を外して「土地担保」で通る場合もあります。

