戦後80年でここまで変わった|長屋からマンションへ。日本の住宅と不動産市場のリアルな今
1. 戦後の住宅不足と「長屋」から始まった暮らし
終戦直後の大阪。
あちこちに焼け跡が残り、
街全体がまだすすけた色をしていた頃。
人々が最初に取り戻そうとしたのは「家」やった。
食べるものよりも、「寝る場所」
「雨風をしのぐ場所」やったんやね。
あの時代は、今みたいにハウスメーカーもなければ、
分譲マンションもない。
男手が集まっては、トタン屋根を打ちつけ、
焼け残った材木でバラックを建てて。
ご近所総出で釘を打つ音があちこちから聞こえた。
「向こう三軒両隣」という言葉がよう似合う、長屋の時代。
台所は外に面して一列、風呂は共同。
夕方には、煮炊きの匂いが隣からふわっと流れてきて、「今日は肉じゃがかいな」「こっちはコロッケやで」なんて会話が当たり前。
人の距離が近いぶん、喧嘩も多かったけど、
それ以上に「助け合い」があった。
今思えば、あれこそ“暮らしの温度”があった
時代やったんかもしれません。

2. 高度経済成長期の「マイホーム」ブームと建売住宅の誕生
昭和30〜40年代、大阪の街がぐんぐん伸びていった頃。
高速道路が走り、地下鉄が延び、街の灯りが
どんどん明るくなっていった。
あの時代の合言葉は「いつかはマイホーム」。
住宅金融公庫(今の住宅金融支援機構)からお金を借りて、郊外に小さな一戸建てを建てるのが夢やった。
「うちも庭付きやで!」
「テレビが来たで!」
そう言って、みんながちょっと誇らしげに笑ってた。
建売住宅もこの頃に増えた。
規格化された間取りに、四角い家。
同じような家がずらっと並ぶ光景は、
まさに“昭和の夢”の象徴やった。
けど、夢が形になっていく反面、「便利さ」と引き換えに「ご近所づきあい」は少しずつ薄れていった。
長屋の頃のように、「お醤油ちょっと貸して」なんて
声をかける人は、だんだんおらんようになった。

3. 都市化と共に進んだ“集合住宅”の時代へ——マンション文化の到来
昭和40年代後半。
大阪の中心部では土地が高うなって、郊外は通勤が遠い。
そしたら登場したのが「マンション」やった。
最初は“団地”と呼ばれる集合住宅。
それが次第に鉄筋コンクリート造になって、「分譲マンション」という新しいスタイルが広がっていった。
「鍵ひとつで安心」「掃除も管理人さんがしてくれる」
そう聞けば、共働きの家庭にはピッタリやった。
ただ、便利な暮らしの裏で、家は“家族の記憶を積み重ねる場所”から、“機能としての住まい”に変わっていった気もする。
昭和の終わり、バブルの時代になると、
マンションは「投資」や「資産」になっていった。
「家=暮らし」から「家=お金」へ。
ここから、日本の不動産の意味が
少しずつ変わっていったんや。

4. 平成〜令和:「古い家」とどう向き合う?
平成に入ってバブルがはじけ、「地価が永遠に上がる」なんて信じてた人たちは現実を見た。
中古住宅市場も動き出したけど
“古い家”=“価値がない”という考え方は根強く残った。
でも今、令和の時代。
風向きが少し変わりつつある。
たとえば大阪の空堀あたりの長屋。
昔ながらの木造の町家をリノベして、
カフェやアトリエに生まれ変わってる。
昭和の建築様式には、「無駄」やと思われてたゆとりがある。
土壁、木の香り、通り土間。
それらが“レトロかわいい”“味がある”と再評価されとる。
「古い=悪い」ではなく、
「古い=時間の価値を持っている」。
ただ、現実的には、耐震や再建築不可など、
法律や構造上の制限もある。
「味はあるけど、安全性は?」という課題も多い。

5. 今の不動産市場で“戦後の家”がどう扱われているか
ここで、今の市場のリアルを見てみよう。
戦後すぐに建てられた家は、もう築70〜80年。
残っているのは、木造長屋・連棟・狭小住宅が多い。
多くは「土地の価値」で評価される。
けど、ここ数年、「リノベーション向き」「再生可能」として古い家を買い取る専門業者も増えてきた。
大阪では、古民家を活用した店舗や
外国人向けのゲストハウスも人気や。
中には、再建築不可でも“現状のまま”
買い取る業者も出てきてる(弊社も)。
たとえば、相続で空き家を引き継いだ方の中には、「誰も住まへん」「税金だけかかる」「壊すにも費用がいる」そんな悩みを抱える人が多い。
けど、いざ調べてみると“ゼロ円提示”の会社もあれば、
“数十万円〜百万円単位”の査定が出る会社もある。
古い家やからこそ、「どういう立地か」「再利用できるか」
その見立てひとつで価値はまるっきり変わる。

6. まとめ:80年の住宅史が教えてくれる“家の本当の価値”
戦後の焼け跡から始まって、
長屋、建売、マンション、そして今の空き家問題。
80年という時間の中で、
日本の家はめまぐるしく変わってきた。
けど、どの時代にも共通してるのは、
「家は人の人生そのもの」やということ。
笑い声、匂い、思い出。
家の中には、数字では測られへん価値が詰まってる。
「もう古いから」「価値なんてないやろ」
そう思う前に、一度、今の価値を知ってほしい。
それが、売るにしても、残すにしても、
一番後悔せえへん第一歩になるから。

📞 まずは“今の家の価値”を知ることからはじめましょう
相続した家や長屋、古い木造住宅でも、
“現状のまま”買い取ってくれる専門業者があります。
- 再建築不可でもOKなケースあり
- 相続登記前でも相談可能
- 現地調査・査定は無料
思い出を手放すのは寂しいけど、「家を次の人につなぐ」という考え方もまた、新しい“継承”の形です。
不動産売買等でのよくある質問
Q1. 古い長屋や木造住宅でも売れるんですか?
A. はい、条件次第で十分可能です。
再建築不可や老朽化していても、現状のまま買取してくれる専門業者が増えています。
Q2. 相続登記がまだ終わっていない状態でも相談できますか?
A. 登記前の段階でも、査定や相談は可能です。
売却までの流れをサポートしてくれる業者もあります。
Q3. 建物が古すぎて解体しないとダメですか?
A. 無理に解体する必要はありません。
解体費を含めた査定を出してくれる会社もありますので、まずは相談してみましょう。
Q4. 売却とリノベ、どちらが得ですか?
A. 立地や建物状態によります。
リノベは費用がかかりますが、地域によっては“レトロ住宅”として再利用価値がある場合も。
Q5. 空き家のまま放置しておくとどうなりますか?
A. 税金・倒壊リスク・近隣トラブルなど、デメリットが多いです。
放置するより、早めに活用や売却を検討するのが安心です。
💬まとめの一言
家は、時代の鏡。
戦後の焼け跡から令和の街並みまで、
80年の住宅史は「日本人の生き方の歴史」。
壊れても、古くなっても、そこに“人の記憶”が
残っている限り、家には価値がある。
もし今、手元に古い家があるなら——
それは“過去の遺物”やなく
“未来へ引き継ぐバトン”かもしれません。

