昔と比べて居住中の一戸建やマンションは売りづらくなった? リノベーション済み物件が割高でも売れる理由を構造的に解説
はじめに
「住みながら売るの、こんなに大変やったっけ?」
不動産売却の相談現場で、ここ数年
とくに増えているのがこの声です。
- 内覧が入りにくい
- 写真の反応が悪い
- 値段を下げても動かない
一方で、
「ちょっと高いなと思ったけど、
リノベ済みはすぐ決まった」
こんな話もよく耳にします。
果たしてこれは偶然なのか。
それとも、市場構造そのものが変わったのか。
結論から言えば、
👉 居住中物件が“売れなくなった”のではない
👉 リノベーション済み物件が“選ばれやすくなった”
この理解が、最も実態に近いと言えます。

1. 昔は「居住中=当たり前」だった
まず前提として、一昔前までは
居住中で売りに出すのが普通でした。
理由はシンプルです。
- 情報量が少なかった
- 比較対象が限られていた
- 現地内覧が判断の中心だった
ポータルサイトも今ほど充実しておらず、
- 写真は数枚
- 間取り図も簡易
- 実物を見て初めて判断
という流れが一般的。
多少生活感があっても、「住んでる家ならこんなもん」
と受け止められていました。

2. 今は「比較される前提」の市場
現在の不動産市場は、昔と決定的に違います。
それは、
👉 内覧前に8割判断される市場
になったことです。
買い手は、
- ポータルサイトで条件検索
- 写真・動画で印象判断
- 比較してから内覧予約
この流れが完全に定着しています。
ここで居住中物件は、構造的に不利になります。
- 生活感が強く出る
- 家具・物が多い
- 実際の広さや明るさが伝わりにくい
結果として、👉 内覧に至る前に候補から外れる
これが「売りづらくなった」と感じる最大の理由です。

3. 居住中物件が抱える“見えないハードル”
居住中物件の問題は、
物件そのものの価値ではありません。
問題は**「想像のしづらさ」**です。
買い手は常に、「ここで自分が暮らしたらどうなるか」
を頭の中でシミュレーションしています。
しかし居住中物件では、
- 今の住人の生活が前に出る
- 家具配置に引っ張られる
- 動線がイメージしづらい
結果、👉 「悪くないけど、ピンと来ない」
という評価になりやすい。
この“ピンと来ない”が、今の市場では致命的です。

4. なぜリノベーション済み物件は割高でも売れるのか
一方で、リノベーション済み物件が多少
価格が高くても選ばれる理由は明確です。
① 完成形が一目で分かる
リノベ済み物件は、
- 写真映えする
- 空間の使い方が明確
- 入居後の生活を想像しやすい
買い手は「考えなくていい」状態になります。
これは非常に大きい。
② 買い手の「手間をかけたくない心理」
現代の住宅購入者は、
- 共働き世帯
- 子育て世代
- 時間に余裕がない
こうした層が中心です。
そのため、
- リフォームの打ち合わせ
- 工事期間の調整
- 追加費用の不安
これらを極力避けたいと考えます。多少高くても、
👉 「完成している安心感」
👉 「すぐ住める状態」
が評価されるのです。

③ 総額で見ると割高とは限らない
リノベ済み物件は表面上の価格は高く見えます。
しかし買い手は、
- リフォーム費用
- 仮住まい費用
- 手間・時間
これらも含めて総コストで判断しています。
結果、
「この価格差なら、最初から完成してる方がええ」
という結論になりやすい。

5. 居住中物件が不利になる“決定的な場面”
特に差が出るのが、比較検討の最終段階です。
居住中物件とリノベ済み物件が並んだ場合、
- 条件が似ている
- 価格差が許容範囲
この状態では、👉 感覚的にラクな方が選ばれる
結果として、
- リノベ済みが先に決まる
- 居住中は後回し
- 価格調整を迫られる
こうした流れが生まれます。

6. 「居住中=売れない」は誤解
ここで重要なのは、居住中物件でも
売れるケースは多いという事実です。
売れている居住中物件には共通点があります。
- 室内が整理されている
- 写真の質が高い
- 価格設定が現実的
- 内覧対応が柔軟
逆に言えば、
👉 昔と同じ感覚で売ろうとすると失敗する
これが現実です。

7. 売主が感じる「売りづらさ」の正体
売主側が感じる「売りづらくなった」という感覚は、
- 情報量の増加
- 比較の厳格化
- 買い手主導の市場
これらが重なった結果です。
物件の価値が下がったわけではありません。
👉 評価される基準が上がった
この理解が重要です。

8. これから売却を考える人への視点整理
もし今、居住中の不動産売却を考えているなら、
考えるべきは「居住中かどうか」ではなく、
- どう見せるか
- どの層に届けるか
- 比較された時に勝てるか
この3点です。そして、
- 価格
- 見せ方
- タイミング
これらを整理できない場合、リノベーション済物件
との差は今後さらに広がる可能性があります。

9. 大阪では「居住中 vs リノベ済み」の差がより顕著に出やすい
全国的な傾向としてリノベーション済み物件が
強くなっているのは事実ですが、
大阪ではこの差が特に出やすいと感じられます。
理由は、大阪特有の住宅ストック構成にあります。
- 築20〜40年のマンションが非常に多い
- ファミリー向け3LDKの供給過多エリアがある
- 同条件・同価格帯の比較対象が多い
たとえば大阪市内の城東区・東淀川区
・住吉区・平野区などでは、
- 同じ築年数
- 同じ広さ
- 似た価格帯
の物件が、同時期に複数売りに出る
ケースが珍しくありません。この状況では、
👉 「中身が分かりやすい物件」
👉 「完成形をすぐ想像できる物件」
が、圧倒的に有利になります。

10. 大阪の居住中マンションで実際に起きやすいケース
大阪でよくあるのが、次のようなパターンです。
ケース①:
築25年・70㎡・居住中マンション
- 価格:3,200万円
- 室内:生活感あり
- 写真:家具そのまま
- 内覧:土日限定
同時期に近隣で、
- 築26年
- 同じ広さ
- フルリノベ済
- 価格:3,450万円
の物件が出た場合。
多くの買い手は、「250万円高いけど、こっちはすぐ
住めるし、 中のイメージもしやすい」と判断します。
結果として、
- リノベ済み:先に成約
- 居住中:問い合わせ減少 → 価格調整
という流れになりやすい。
売主から見ると、「ウチの方が安いのに…」
と感じますが、
👉 買い手は“価格差”より“分かりやすさ”を取っている
これが現実です。

11. 大阪の戸建ては「居住中=個性が強く出すぎる」問題
戸建ての場合、大阪ではさらに顕著な傾向があります。
特に、
- 建売ではない注文住宅
- 間取りにクセがある
- 増改築を重ねている
こうした居住中戸建ては、
生活感と個性が強く出すぎてしまい、
👉 買い手が自分の生活を重ねにくい
という問題が起こりやすい。
一方で、
- 空き家にして
- 内装を整理
- 必要最低限のリノベーション
を行った物件は、
「このまま住めそう」という評価を得やすく、
多少価格が高くても話が進みやすい傾向があります。

12. 大阪の買い手は「比較慣れ」している
大阪の買い手の特徴として、
- 現地を何件も見る
- 相場感を掴むのが早い
- 条件と価格のバランスに敏感
という点が挙げられます。
そのため、
- 居住中で分かりにくい
- 説明が必要
- 想像力を要求される
物件は、比較の段階で不利になりやすい。
逆にリノベ済み物件は、
- 写真で判断できる
- 説明が少なくて済む
- 家族で意見を合わせやすい
という理由から、「検討テーブル」に残りやすいのです。

13. 大阪で売却を成功させるための現実的な視点
大阪で居住中物件を売却する場合、
重要なのは次の視点です。
- リノベ済み物件と並んだときに勝てるか
- 価格差が“説明できる差”になっているか
- 写真段階で不利になっていないか
これらを整理できない場合、
👉 「居住中だから売れない」のではなく
👉 「今の大阪市場に合っていない見せ方」
になっている可能性が高い。

結論
居住中物件が売りづらくなったのではない
「完成された物件」が強くなっただけ
最後に整理します。
- 居住中物件は今も売れる
- ただし戦略なしでは厳しい
- リノベ済み物件は
今の買い手心理に合っている
だからこそ、
👉 割高でもリノベ済みが選ばれる
これは一時的な流行ではなく、
市場構造と価値観の変化によるものです。
不動産売却は、「昔こうだった」ではなく
「今どう見られるか」で考える。
この視点を持てるかどうかが、
売却結果を大きく左右します。
大阪では「居住中のまま売る」
難易度が一段上がっている
大阪の実例を踏まえて整理すると、
- 居住中物件が売れなくなったわけではない
- ただし大阪は比較環境が厳しい
- リノベ済み物件は非常に強い
結果として、
👉 「割高でもリノベ済みが売れる」
👉 「居住中は戦略なしだと埋もれる」
この構図が、他エリア以上に分かりやすく出ています。
売却を考える際は、
- 居住中か
- 空き家にするか
- リノベ前提で出すか
この選択そのものが、価格戦略の一部になっている。
ここを見誤らないことが、今の大阪不動産市場では
何より重要と言えるでしょう。

