最近また話題の「地面師」 ― 大阪のどんな不動産が狙われるのか?本当に空き家は危ないのか

はじめに|「地面師なんてドラマの話」と思っていませんか?
「地面師(じめんし)」
この言葉、最近ニュースやドラマで
耳にする機会が増えました。
どこか遠い世界の話、巨額の土地を狙った特殊詐欺、
プロの投資家が引っかかるもの――
そんなイメージを持っている人も多いと思います。
ですが現場では、もっと身近で、
もっと現実的な不動産が狙われています。
特に大阪では、
- 空き家
- 古い戸建
- 築古マンション
- 使われていない事業用不動産
こうした物件が、**「ちょうどいいターゲット」**
になりやすいのです。

そもそも地面師とは何をする人たちか
地面師とは簡単に言うと、
「本当の所有者になりすまして、不動産を売却する詐欺」
を行う集団、または個人です。
特徴は、
- 書類を非常に巧妙に偽造する
- 他人になりすます役者(なりすまし役)がいる
- 売却までの流れを熟知している
という点です。
力ずくではなく、**「正規の取引に見せかける」**
のが最大の特徴です。
大阪で地面師が狙いやすい不動産の特徴
ここからが本題です。
① 空き家・長期間使われていない不動産

空き家は、やはり狙われやすいです。
理由は明確で、
- 所有者が現地にいない
- 近隣も所有者をよく知らない
- 郵便物が溜まっている
- 管理が行き届いていない
こうした状態だと、「本当にこの人が所有者か?」
というチェックが甘くなりやすい。
特に大阪市の周縁部、東大阪市、八尾市、寝屋川市
このあたりは、相続後に放置された
空き家が多いエリアでもあります。

② 古いビル・事業用不動産
意外と多いのがこれです。
- 元工場
- 小さな雑居ビル
- 昔の事務所
こうした物件は、
- 所有者が高齢
- 相続関係が複雑
- 登記が何十年も動いていない
ケースが少なくありません。
「確認が面倒」
「誰に聞けばいいか分からない」
この“面倒さ”が、地面師にとっては好都合になります。
③ 再開発エリア周辺の“地味な不動産”
これも大阪特有です。

梅田や天王寺そのものではなく、
その少し外側。
- 昔からある住宅
- 小規模な建物
- 値段は高すぎない
こういう不動産は、
「派手じゃないけど、確実に売れる」
ため、狙われることがあります。
不動産価値が低いものは狙われないのか?
これはよくある誤解です。
結論から言うと、
「安い不動産=安全」ではありません。
むしろ、
- 数百万円〜数千万円
- 個人売主
- チェックが甘くなりやすい
こうした価格帯のほうが、
発覚しにくいケースもあります。
地面師にとって重要なのは、
- 高く売れるか
- ではなく
- 「スムーズに現金化できるか」
です。

年配の人だけが狙われるわけではない
これも重要なポイントです。
確かに、
- 高齢者
- 認知症
- 一人暮らし
はリスクが高いですが、
それ以外の人も普通に狙われます。
たとえばこんなケース
- 相続したが、遠方に住んでいる
- 仕事が忙しく管理を任せきり
- 不動産に詳しくない
「年齢」よりも、
不動産から“距離がある人”が狙われやすい、
というのが実態です。

地面師の典型的な流れ(簡易図解)
① 狙う不動産を決める
(空き家・管理不十分)
↓
② 所有者情報を調べる
(登記・近隣情報)
↓
③ なりすまし役を用意
↓
④ 書類を整え、売却活動
↓
⑤ 代金受領後、消える
この流れの中で、
どこで止められるかが重要になります。
現実的な予防策は何があるのか
① 空き家を「放置」しない
- 定期的に現地に行く
- 郵便物を溜めない
- 近隣と関係を持つ
これだけでも、狙われる確率は大きく下がります。
② 登記情報を最新にしておく
- 相続登記を放置しない
- 住所変更登記をしておく
登記が古い不動産ほど、
地面師にとって“隙”になります。

③ 不審な売却話には「即決しない」
- 価格が良すぎる
- 話が異様に早い
- 会わずに進めたがる
こうした場合は、必ず第三者
(司法書士・弁護士)を入れるべきです。
④ 「空き家だから売る」前に確認する
売却する場合でも、
- 本人確認
- 権利関係の整理
- 専門家チェック
を丁寧に行うことで、
自分が被害者になるだけでなく、
加害側になるリスクも防げます。

地面師は「隙のある不動産」を狙う
地面師が狙うのは、
- 高い不動産
- 派手な土地
だけではありません。
むしろ、誰もちゃんと見ていない不動産
が、最も危険です。
空き家、築古、相続物件。
これらは「資産」であると同時に、
管理しなければリスクになる存在でもあります。
不動産は、持っているだけで安全ではありません。
「誰が、どう管理しているか」
それが、地面師対策として最も重要なポイントです。

地面師に強い不動産会社・司法書士の共通点
― 「慎重すぎる」くらいが、ちょうどいい理由
地面師被害の多くは、
**「誰か一人が悪かった」**のではなく、
チェックが甘い工程が重なった結果として起きます。
逆に言えば、地面師被害を防いでいる
不動産会社や司法書士は、はっきりした共通点があります。
ここでは、実務の現場で
「この人たちは地面師に強い」
と感じられるポイントを整理します。
共通点① 本人確認を「形式」で終わらせない
地面師に強い専門家ほど、
本人確認を単なる手続きとして扱いません。
- 身分証が本物か
- 写真と本人の雰囲気が一致しているか
- 受け答えが自然か
- 所有状況の説明に矛盾がないか
こうした点を、会話の中で何度も確認します。
特に、
- 相続の経緯
- 不動産を取得した理由
- なぜ今売るのか
この説明が曖昧な場合、
地面師を疑う重要なサインになります。

共通点② 「話が早すぎる案件」を嫌がる
地面師案件には、共通する特徴があります。
- 価格が相場より妙に良い
- 決断を急がせる
- 「今日中に」「今週中に」を連発
- 専門家を入れるのを嫌がる
地面師に強い不動産会社ほど、
「一度持ち帰らせてください」
「確認に時間がかかります」
と言われた時に、相手がどう反応するかを見ています。
ここで不機嫌になったり、
話を打ち切ろうとする相手は、非常に危険です。
共通点③ 登記情報を“疑って”見る
地面師対策に慣れている司法書士ほど、
登記簿を鵜呑みにしません。
- 登記が何十年も動いていない
- 住所変更登記がされていない
- 相続登記が未了
- 所有者が高齢
こうした場合、「登記が合っている=安全」
とは考えず、「なぜ今まで動いていなかったのか」
を重視します。
登記が古いほど、なりすましの余地が
生まれやすいためです。

共通点④ 「空き家」「築古」を軽く扱わない
意外に思われがちですが、
地面師に強い専門家ほど、
- 空き家
- 築古
- 低価格帯
の不動産を、むしろ慎重に扱います。
理由は単純で、
- 管理者が不在
- 近隣の目が届きにくい
- 所有者の確認が曖昧
こうした条件が重なると、
不正が入り込む余地が大きくなるからです。
共通点⑤ 「グレーでもやらない」姿勢が明確
地面師に強い不動産会社・司法書士には、
共通した姿勢があります。
「グレーなら、やらない」
- 曖昧な本人確認
- 判断能力が怪しい売主
- 後見制度を避けたがる家族
こうしたケースでは、「今回はお受けできません」
と、はっきり断ります。
一時的な利益より、後から起きる
リスクを正確に見ているからです。

共通点⑥ 必ず「第三者チェック」を入れる
地面師対策ができている現場では、
- 不動産会社
- 司法書士
- 必要に応じて弁護士
といった形で、
一人で判断しない体制が取られています。
地面師事件の多くは、
「誰もが薄々おかしいと思っていたが、
誰も止めなかった」という状況で発生します。
第三者の目を入れること自体が、
最大の抑止力になります。
「地面師に強い」=取引が遅い、ではない
誤解されがちですが、地面師に強い専門家は、
単に動きが遅いわけではありません。
- 確認すべきところは徹底的に
- 問題がなければ一気に進める
このメリハリがあるため、結果的に
「トラブルなく、早く終わる」ケースも多いのです。

まとめ|安心できる専門家ほど「慎重すぎる」
地面師被害を防ぐうえで重要なのは、
- 経験
- 技術
- 書類の正確さ
以上に、「おかしいものを、おかしいと言える姿勢」です。
- 急がせない
- 簡単に信じない
- 面倒な確認を省かない
こうした専門家に出会えた場合、
それは「話が進まない相手」ではなく、
**「資産を守ってくれる相手」**だと考えるべきです。

