相続した不動産を売却する方法は?発生する税金の種類や注意点を解説
相続した不動産を売却する方法は?発生する税金の種類や注意点を解説
不動産を相続した場合、売却には相続人の確定や
遺産分割協議、相続登記を済ませる必要があります。
売却時にかかる譲渡所得税などの税金、空き家特例
・取得費加算の要件、仲介と買取の選び方、
複数人で進める際の注意点を解説します。
Q1: 相続した不動産を売却するまでの流れはどうなりますか?

相続した不動産を売却するには、
遺言書の確認や相続人の確定、必要に応じて
遺産分割協議を行い、相続登記(名義変更)を済ませたうえで、
不動産会社への売却依頼・売買契約・引き渡しへと進みます。
通常の売却と異なり、事前に
相続手続きが必要になる点が大きな特徴です。
相続登記や遺産分割協議に時間がかかると、
売却までの期間が延びることもあります。
仲介による売却期間は3〜6か月が目安ですが、
相続税がかかる場合は、原則として被相続人が
死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に
申告・納税する必要があります。
早く現金化したい場合は、買取も選択肢のひとつです。
出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm)
相続発生から売却準備まで(遺言確認・相続人確定・遺産分割)
まず、遺言書の有無を確認します。
遺言書があればその内容に従い、なければ戸籍謄本を
取り寄せて相続人を確定させたうえで、遺産分割協議を行い、
誰がどの財産を引き継ぐかを話し合います。
ここでつまずくと相続登記や売却も進められなくなるため、
早めの着手が大切です。
相続登記(名義変更)の手続き
遺産分割協議がまとまったら、不動産の名義を
被相続人から相続人へ変更する相続登記を行います。
申請には被相続人や相続人全員の戸籍謄本、住民票、
遺産分割協議書、固定資産税評価証明書などが必要です。
書類が多く、司法書士に依頼するケースが一般的です。
不動産会社への依頼から引き渡しまで
相続登記が完了する前でも、
不動産会社への査定相談は可能です。
売却価格や仲介・買取にかかる期間の目安を早めに
把握しておくと、遺産分割や納税の準備を
進めやすくなります。
正式な売買契約や引き渡しは、
相続登記を完了してから行います。
仲介では媒介契約後に販売活動を行い、
買主が見つかれば契約・決済・引き渡しへと進みます。
買取では不動産会社と直接契約するため、
仲介より短期間で現金化できます。
少しでも高く売りたい場合は仲介、
相続税の納税や遺産分割のために早く現金化したい場合は
買取が向いています。
とくに長屋や再建築不可物件、老朽化した空き家は、
仲介では売却が長期化することもあります。
そのため、特殊物件や相続不動産の
取扱実績がある不動産会社に相談し、
物件の状態や売却期限に合った方法を選びましょう。
株式会社NEXER Groupと株式会社フォローウィンドコーポレーションが共同で実施した「長屋・空き家の放置に関するアンケート(2026年)」では、長屋・空き家を放置したことがある全国の男女30名に「長屋・空き家を放置して最も後悔したこと」を聞いたところ、上位の回答は次のようになりました。
- 固定資産税などの維持費がかかり続けた:40.0%
- 老朽化が進み、資産価値が下がった:16.7%
- 雨漏り・倒壊リスクなど建物の劣化が深刻化した:16.7%
この結果から、長屋や空き家を放置すると、
維持費の負担だけでなく、老朽化や資産価値の低下に
つながることがうかがえます。
相続手続きに時間がかかる場合でも、
早めに査定や売却方法を検討することが大切です。
アンケート引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003002.000044800.html
Q2: 相続した不動産は名義変更(相続登記)なしで売却できますか?

相続登記をせずに、買主への所有権移転登記まで
完了させることはできません。
売買契約や売却準備を進められる場合もありますが、
決済・引き渡しまでに相続登記を完了させる必要があります。
2024年4月からは相続登記が義務化されており、
取得を知った日から3年以内に申請しない場合、
10万円以下の過料の対象となります。
義務化にあわせて「相続人申告登記」という
簡易な制度も新設されましたが、
これは申告事実の記録にとどまり、売却まではできません。
売却には正式な相続登記が必要です。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
Q3: 相続した不動産を売却したときにかかる税金は何ですか?

相続した不動産を売却すると、譲渡所得が生じた場合に
譲渡所得税、相続登記を行う際に登録免許税、
売買契約書を作成する際に印紙税がかかります。
このうち、金額が大きくなりやすいのが譲渡所得税です。
ただし相続の場合は被相続人の所有期間を引き継ぐため、
多くのケースで税率の低い
長期譲渡所得(約20%)が適用されます。
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却価格(収入金額)から
取得費と譲渡費用を差し引いた利益にかかる税金です。
収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
<cite>引用元:<a href=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm”>国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」</a></cite>
税率は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間で決まります。
5年以下は約39.63%、5年超なら約20.315%の税率です。
取得日から5年を過ぎていても、
売却した年の1月1日時点で5年以下であれば短期の税率が
適用されるため、売却時期には注意が必要です。
相続不動産の場合は被相続人が取得した日を引き継ぐため、
長期譲渡所得の税率が適用されるケースが多くなります。
たとえば売却価格3,000万円・取得費1,500万円
・譲渡費用100万円で、特別控除の適用がない場合、
課税譲渡所得は1,400万円、税額は約284万円が目安です。
※長期譲渡所得の税率20.315%で計算
なお、後述する空き家特例などの特別控除が使えれば、
課税対象となる金額を大きく減らせます。
出典:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)
出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)
登録免許税
登録免許税は相続登記にかかる税金で、
固定資産税評価額の0.4%です。
評価額3,000万円なら12万円になります。
出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)
印紙税
印紙税は売買契約書に貼付する税金です。
契約金額に応じて税額が決まり、令和9年3月31日までに
作成された契約書は軽減措置の対象となります。
Q4: 相続不動産の売却で使える節税特例にはどのようなものがありますか?

相続した不動産の売却では、
主に「空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」と
「相続税の取得費加算の特例」が使える可能性があります。
要件や期限を満たさないと受けられず、
この2つは併用できません。
空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)の要件
空き家特例は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋に
被相続人がひとりで住んでいたことなどの条件を満たせば、
譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。
この特例を利用するには、相続が始まった日から
3年が過ぎる年の12月31日までに売却する必要があります。
たとえば、2024年中に相続が始まった場合、
原則として2027年12月31日までが売却期限となります。
令和6年1月1日以後の売却では、売却時点で耐震改修や
解体が済んでいなくても、買主が売却した年の翌年2月15日
までに耐震改修または解体を行い、その他の要件も満たせば、
空き家特例の対象となるケースがあります。
また、対象となる家屋や敷地を相続した人が
3人以上いる場合は、控除額の上限が
相続人1人あたり2,000万円となります。
適用期限は、令和5年度税制改正によって
令和5年12月31日から令和9年12月31日まで延長されました。
今後の税制改正によって期限や要件が変更される
可能性もあるため、売却前に最新情報を確認しましょう。
出典:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)
相続税の取得費加算の特例の要件
取得費加算の特例は、
相続や遺贈により財産を取得し、相続税を納めた人が
一定の要件を満たす場合に利用できる制度です。
支払った相続税のうち一定額を取得費に加算することで、
譲渡所得税を軽減できます。
この特例を利用するには、相続した財産を
「相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の
翌日以後3年を経過する日まで」に譲渡する必要があります。
一般的には、相続税の申告期限が相続開始を知った日の
翌日から10か月以内であるため、相続開始から
約3年10か月以内が売却期限の目安となります。
出典:国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm)
2つの特例の違いと選択の基準
空き家特例と取得費加算の特例は
どちらか一方しか選べません。
相続税額が大きい場合は取得費加算の特例が、
譲渡益が大きい場合は空き家特例が
有利になりやすい傾向があります。
迷ったときは両方を試算したうえで選ぶとよいでしょう。
Q5: 相続不動産を売却する際にとくに注意すべきことはありますか?

相続不動産の売却では、相続人が複数いる場合の
遺産分割協議の合意形成と、取得費が不明な場合の
税負担増加が、とくにトラブルになりやすいポイントです。
複数人の遺産分割におけるトラブル
不動産を複数の相続人による共有名義にすると、
売却には名義人全員の同意が必要です。
代表者ひとりの名義にして売却し、代金を分け合う
「換価分割」がよく選ばれます。
ただし協議書に「換価分割のため」と明記しないと、
渡ったお金が贈与とみなされるおそれがあります。
取得費不明による税負担の増加
被相続人が不動産を購入したときの売買契約書が
見つからない場合、取得費は売却価格の5%として計算します。
譲渡所得が大きくなり税負担も重くなるため、
当時のパンフレットや通帳の出金記録など、
購入価格がわかる資料を探してみることをおすすめします。
出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm)
まとめ

相続した不動産を売却するには、遺言書や相続人の確認、
遺産分割協議、相続登記を済ませたうえで、
売却手続きを進める必要があります。
また、売却時には譲渡所得税などがかかる
可能性があり、空き家特例や取得費加算の特例には
適用要件や期限があります。
早めに必要な手続きと税金の見通しを
確認しておくことが大切です。
売却方法は、時間をかけて高値を目指す仲介と、
早期現金化しやすい買取のどちらが適しているかを、
物件の状態や売却期限に応じて判断しましょう。
とくに長屋や築古物件、再建築不可物件は、
一般的な仲介では売却に時間がかかることもあります。
株式会社フォローウィンドコーポレーションでは、
大阪市内・兵庫県東部を中心に、相続した空き家や長屋、
再建築不可物件などの売却相談に対応しています。
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- 不動産キャリア29年
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