相続不動産の査定は何のために必要?査定のタイミングや注意点を解説
相続不動産の査定は何のために必要?査定のタイミングや注意点を解説
相続不動産の査定は、公平な遺産分割や納税資金の把握、
相続放棄の判断に役立ちます。査定と鑑定の違い、
依頼するタイミング、簡易査定や相続登記で注意すべき点を
整理し、目的に応じた査定方法を解説します。
Q1: 相続で不動産査定が必要な理由は何ですか?

相続した不動産の査定が必要な主な理由は
「遺産分割を公平に進めるため」
「売却による納税資金の目安を把握するため」
「相続放棄をすべきか判断するため」の3点です。
現金であれば金額が一目でわかりますが、
不動産は市場の状況によって価値が変わるため、
客観的な時価(売却予想価格)を把握することが、
トラブルのない相続の出発点になります。
公平に遺産分割を行うため
遺産分割協議では、相続人全員が納得できる形で
財産を分けることが求められます。
たとえば、1人が不動産を相続し、ほかの相続人へ
現金を支払う「代償分割」では、
査定額が100万円違うだけで代償金にも差が出ます。
この差が不公平感につながることもあるため、
複数社に査定を依頼し、根拠のある価格を把握しておくとよいでしょう。
相続税の「納税資金」や特例の目安を把握するため
相続税には基礎控除があり
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の
金額までは課税されません。
控除額を超える場合は、相続税の申告と納付が必要です。
「売却して得たお金で税金を支払うつもりが、
査定してみたら税額に足りなかった」という事態を
防ぐためにも、早めに査定を依頼し、
納税資金の目安を把握しておくことが大切です。
なお、不動産会社の査定額は売却予想価格であり、
相続税を計算する際の評価額とは異なります。
不動産には、一定の要件を満たすことで適用できる
特例もあるため、実際の税額は税理士などの
専門家に確認しましょう。
出典:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm)
相続放棄をすべきか判断するため
不動産に住宅ローンなどの負債が残っている場合、
相続放棄を検討することもあるでしょう。
相続放棄は、原則として「自分が相続人になったと
知った日」から3か月以内に、
家庭裁判所へ申述する必要があります。
とくに老朽化した空き家や長屋のように
資産価値が読みにくい物件を相続した場合は、
放棄すべきか判断する材料として、
早い段階での査定が欠かせません。
出典:裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_25/index.html)
Q2: 不動産査定・不動産鑑定・自己調査の違いは何ですか?

不動産査定は、不動産会社が無料で行う
売却予想価格の算出であり、法的効力はありません。
一方、不動産鑑定は、国家資格を持つ
不動産鑑定士が有料で行う法的効力を持つ評価です。
自己調査は、路線価や固定資産税評価額をもとに
自分で計算する方法で、費用はかかりませんが
精度と証拠力には限界があります。
不動産会社による査定の特徴
不動産会社による査定は、多くの場合無料で依頼でき、
現在の市場価格(売却予想価格)を
知る手段として適しています。
売却を前提に不動産の価値を知りたい場合には、
まずこの方法を選ぶとよいでしょう。
ただし、査定書には法的効力がないため、
遺産分割協議で相続人どうしが強く対立している場合には、
別の方法が必要になることもあります。
不動産鑑定士による鑑定の特徴
不動産鑑定士による鑑定は有料で、費用の目安は
数十万円程度ですが、物件の規模によって変動します。
鑑定書には法的効力があり、遺産分割の調停や裁判でも
客観性の高い証拠資料として提示できます。
親族間で意見がまとまらず、話し合いが難航している場合は、
費用がかかっても鑑定を依頼したほうが、
後々のトラブルを防げることがあります。
路線価・固定資産税評価額による自己調査の特徴
路線価は国税庁が公表しており、
実勢価格(実際の取引価格)の8割程度が目安とされています。
固定資産税評価額は各市区町村が算定するもので、
相続税や固定資産税の計算に使われます。
自分で計算できる手軽さはありますが、
あくまで税務上の指標であり、
売却できる金額とは異なる点に注意が必要です。
なお、実際の取引価格に近い水準を自分で調べたい場合は、
不動産流通機構が運営する
「レインズ・マーケット・インフォメーション」で、
周辺の成約価格を無料で確認できます。
税務上の指標である路線価とあわせて見ることで、
売却価格の見当をつけやすくなるでしょう。
出典:REINS Market「REINS Market Information」(http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do)
出典:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(https://www.rosenka.nta.go.jp/)
Q3: 相続の査定はどのタイミングで依頼すればよいですか?

相続が発生したら、遺産分割協議を始める前に
査定を依頼しておくことが望ましいといえます。
相続放棄を検討する可能性がある場合は、
相続発生後できるだけ早く査定を依頼しましょう。
不動産の価値と住宅ローンなどの負債を
把握しておくことで、相続放棄をすべきか
判断しやすくなります。
相続放棄を予定していない場合も、相続人どうしで
分け方を話し合う前に価格を把握しておくと、
遺産分割協議を進めやすくなります。
また、相続税の申告と納付には、相続の開始を知った日の
翌日から10か月以内という期限があるため、
納税資金の確保や売却を検討している場合は、
期限から逆算して早めに動くことが大切です。
とくに大阪市内の長屋など、密集した市街地にある物件は、
境界の確定に時間がかかることもあります。
早めに不動産会社へ相談しておくことで、
その後の資金計画や手続きを進めやすくなり、
スムーズな売却にもつながります。
Q4: 相続の不動産査定で注意すべき点は何ですか?

相続の不動産査定で注意すべき点は、
主に3つあります。
- 不動産会社の査定書は、相手方が同意しない限り、遺産分割の調停や裁判で証拠として採用されにくいこと
- 簡易査定(机上査定)の金額が実際の売却価格と乖離する場合があること
- 相続した不動産を売却するには、相続登記が必要であること
2024年4月から相続登記が義務化されています。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html)
不動産会社の査定書は調停・裁判で採用されにくい
不動産会社が作成する査定書は、
売却予想価格を示す資料です。
遺産分割協議の参考資料としては活用できますが、
相手方の相続人が内容に同意しない限り、
調停や裁判では証拠資料として採用されにくいという
性質があります。
話し合いが長引いている場合や、相続人どうしで
不動産の評価をめぐって対立している場合は、
不動産鑑定士による鑑定評価が必要になることも
押さえておきましょう。
簡易査定(机上査定)の価格はズレることがある
簡易査定(机上査定)は、物件情報や周辺の
取引事例などをもとに短時間で価格を算出できる反面、
実際の売却価格とズレが生じることがあります。
なかには契約を取るために高めの査定額を
提示する業者もあるため、高すぎる査定額を
鵜呑みにしないよう注意が必要です。
とくに老朽化した物件は、建物の傷み具合を
直接確認する訪問査定を受けたほうが、
実態に近い価格を把握しやすくなります。
また、長屋や狭小地、再建築不可物件なども、
接道状況や周辺環境によって価格が大きく変わるため、
地域の物件事情に詳しい不動産会社へ
訪問査定を依頼することが大切です。
売却には「相続登記(名義変更)」が必須である
相続した不動産を売却するには、
被相続人から相続人へ名義を変更する「相続登記」が必要です。
2024年4月からは相続登記が義務化されており、
正当な理由なく申請を怠ると過料の対象となる場合があります。
登記を放置すると、売却の手続きを進められないだけでなく、
過料の負担が生じる可能性もあります。
相続登記の手続きに不安がある場合は、
司法書士などの専門家へ相談しながら、
売却の準備を進めましょう。
出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)
まとめ

相続不動産の査定は、公平な遺産分割や
納税資金の把握、相続放棄の判断に役立ちます。
相続放棄や相続税には期限があるため、
できるだけ早く価格を確認しましょう。
また、売却価格を知りたい場合は不動産会社の査定、
調停や裁判で使用する場合は不動産鑑定士による
鑑定など、目的に応じた使い分けが必要です。
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地域の取引事例にもとづいた価格の根拠をお示ししますので、
他社の査定額と比べる際の判断材料としてもご活用いただけます。
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