知っていますか?「引渡し前の滅失・損傷」 不動産売買契約後に隣からもらい火…。火災保険未加入の怖さとは

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「これで一安心や。」

 

売買契約が終わり、買主様から手付金を受け取った売主様は、

ホッとした表情でそう話されました。

 

残るのは決済日。

 

残代金を受け取り、

鍵をお渡しすれば無事に引渡し完了です。

 

不動産会社としても、

「あとは予定どおり決済を迎えるだけですね。」

という場面でした。

 

ところが、その翌日。

 

一本の電話ですべてが変わりました。

「兄ちゃん……。」

 

電話の向こうの声は震えていました。

「どうしました?」

 

「隣から火が出て……。」

「うち、もらい火で燃えてもうた。」

 

一瞬、言葉が出ませんでした。

 

急いで現地へ向かうことにしました。

 

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契約が終わっても、不動産売買はまだ終わっていない

 

現地へ到着すると、建物は半焼。

幸い人的被害はありませんでした。

 

しかし、買主様は

この家をリフォームして住む予定でした。

 

外壁だけではありません。

 

屋根や室内まで火災の影響を受けており、

予定していたリフォームでは対応できない状態でした。

 

買主様も大変悩まれた末、

「この状態では購入できません。」

という結論になりました。

 

誰も悪くありません。

 

売主様も被害者。

買主様も被害者。

 

そして隣家の方も火災の被害を受けた当事者です。

 

それでも契約は進められない状況でした。

 

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「引渡し前の滅失・損傷」という契約条項

 

ここで確認したのが、

不動産売買契約書でした。

 

契約書には「引渡し前の滅失・損傷」に

関する条項があります。

 

これは、売主様から買主様へ建物を引き渡す前に、

火災や災害などによって建物が滅失・損傷した場合の

取扱いを定めたものです。

 

今回の契約では、

この条項に基づき白紙解約となりました。

 

つまり、

 

・売買契約は解除

・買主様へ手付金を返還

 

という流れです。

 

契約書の内容によって取扱いは異なりますが、

今回のケースではこのような結論となりました。

 

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一番困ったのは「手付金」でした

 

売主様は肩を落として言われました。

 

「兄ちゃん……。」

「手付金、もう生活費に使ってしもた。」

 

契約が終われば安心。

そう思っていたのです。

 

もちろん返還しなければなりません。

 

でも突然まとまったお金を

用意するのは簡単ではありません。

 

売主様は何度もこう話されました。

 

「誰も悪ないんや。」

「隣の人も被害者や。」

 

「せやけど、なんでこのタイミングやったんやろ……。」

 

その言葉が今でも忘れられません。

 

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「隣が火事を出したんやから、弁償してくれるんちゃうの?」

 

そう思われる方も多いでしょう。

 

しかし、日本には「失火責任法」があります。

 

重大な過失が認められる場合を除き、

通常の失火では出火元に損害賠償責任が

認められないケースがあります。

 

つまり、もらい火の被害を受けても、

必ずしも隣家が補償してくれるとは限りません。

 

そのため、自分自身の火災保険が非常に重要になります。


火災保険未加入だったら…

 

もし火災保険に加入していなかったらどうなるでしょう。

 

建物の修繕費。

解体費用。

住宅ローンが残っていれば、その返済。

 

さらに今回のように契約が解除となれば、

手付金の返還も必要になる場合があります。

 

もちろん、

保険の補償内容や契約条件によって対応は異なります。

 

しかし、「火災保険に入っていない」というだけで、

経済的な負担が一気に大きくなる可能性があります。

 

火災保険は、

自分が火事を起こしたときのためだけではありません。

 

もらい火や自然災害など、思いもよらない出来事から

自分の財産を守るための備えでもあります。

 

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不動産売買は「契約したら終わり」ではありません

 

この仕事をしていると、

価格が上がって喜ばれることもあります。

 

長年悩んでいた空き家が売れて

笑顔になる方もいます。

 

その一方で、今回のように誰も悪くないのに

契約が成立しなくなるケースにも立ち会います。

 

だからこそ、契約書をしっかり確認すること。

 

火災保険の内容を見直しておくこと。

 

そして「契約が終わったから安心」ではなく、

「引渡しが終わるまでが不動産売買」という

意識を持つことが大切です。

 

この出来事は、売主様にも、買主様にも、

私たちにも大きな教訓を残しました。

 

家を売ることは人生の大きな出来事です。

 

だからこそ、万が一の備えも含めて準備しておくことが、

安心した取引につながります。

 

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不動産売買でよくある質問

 

火災保険は売却予定の空き家でも加入しておいた方がいいですか?

 

建物を所有している間は、火災や自然災害、

もらい火などに備えて加入を検討することが大切です。

 

補償内容は保険会社や契約内容によって異なります。

 

売買契約後に建物が火災に遭ったら必ず白紙解約になりますか?

 

必ずではありません。

 

契約書の内容や被害の程度、

当事者間の合意などによって取扱いは異なります。

 

隣家からのもらい火なら必ず補償してもらえますか?

 

必ずとは限りません。

 

火災の原因や重大な過失の有無などによって

法的な取扱いは異なります。

 

契約後も引渡しまで建物の管理は必要ですか?

 

はい。引渡しが完了するまでは、建物の管理や

保険の確認なども含めて大切な期間です。

 

※この記事は実際にあった出来事をもとに、

個人が特定されないよう一部内容を変更・再構成しています。

 

また、法的な取扱いは契約内容や個別事情によって異なるため、

実際の案件では契約書や専門家へご確認ください。

 

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筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
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