私の素朴な疑問!長屋の隣が【特定空き家】に指定されたら!?行政代執行で解体するとき切り離し承諾いるの?

 

 

大阪で古い長屋を査定していると、

たまにこんな物件に出会います。

 

自分の家も古い。

しかし……

隣はもっと古い。

 

しかも誰も住んでいない。

 

瓦はズレている。雨樋も外れている。

外壁も傷んでいる。

「お隣さん、どなたの家ですか?」

 

売主さんに聞いても、

「さあ……昔はおばあちゃんが住んでたんですけどねぇ」

これは困りました。

 

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大阪市の最新計画案でも、長屋建ての約6割が

1980年以前の建築で、

すでに老朽化が進んでいるとされています。

(大阪市公式サイト)

 

自分の長屋だけ直してもアカンのちゃう?

 

 

長屋について考えていて、

ふと疑問に思ったんです。

 

例えば私が長屋の一戸を所有していたとします。

 

私はちゃんと屋根を直して、

雨漏りも修理して、家を大事にしている。

 

ところが隣は空き家。

しかも雨漏り絶賛進行中。

 

その雨水が回り回って、とうとう私の家まで……

 

ポタッ。

「おいおい!こっちまで来たがな!」

 

これ、笑い話ではありません。

 

空き家は人が住んでいる住宅より傷みが進みやすく、

放置すれば外壁落下など近隣にも影響を与える

可能性があるため、大阪市も早期の適正管理を

呼びかけています。(大阪市公式サイト)

 

さて、どうしましょう。

 

 まず役所へ「どないかしてや!」

 

 

おそらく私は役所の空き家担当部署へ相談するでしょう。

 

「隣の空き家、メチャクチャ傷んでますねん。

所有者も分かりません。どないかしてもらえません?」

 

自治体側では状況確認や所有者調査などが行われ、

要件を満たす危険な空き家なら

行政による対応が進む可能性があります。

 

ただし、ここで一つ大きな注意があります。

 

長屋の一室だけが空き家の場合、

そもそも空家法上の「空家等」として扱えるのか?

という問題があります。

 

自治体独自の条例による対応などもありますので、

これは所在地によって確認が必要です。

 

つまり、

「ボロボロや!」
↓
「特定空家や!」
↓
「ほな明日解体!」

 

そんな簡単な話ではありません。

 

所有者を調べて、必要な手続きを進めて……

私は横で思います。

 

「その間にも雨降りますけど!?」

 

 そして、いよいよ行政代執行!……ちょっと待って!

 

 

仮にさまざまな手続きを経て、最終的に

行政代執行による除却まで進んだとしましょう。

 

ここで私の素朴な疑問です。

 

これ、一戸建てちゃうで。

長屋やで?

 

隣だけ解体したら、

私の家と切り離さなければなりません。

 

そして実際の連棟住宅の切り離し現場がこちら。

 

 

これ、今回の記事では

ぜひ見てもらいたい写真です。

 

片方を解体すると、それまで建物の内側だった部分が

いきなり外部にさらされます。

 

ブルーシートで覆われている意味がよく分かります。

 

雨は?風は?

耐震性は?屋根の取り合いは?

私は言いたくなります。

 

「行政さん、そこ切るんやったら

私にも一言聞いてや!」

 

 普通の長屋の切り離しなら「同意」が大問題

 

 

ここを調べてみると、なかなか興味深い。

 

八尾市は大阪弁護士会空家対策プロジェクトチームと

連携して、長屋特有の区分所有や切り離しなどの問題を

整理した報告書まで作っています。(八尾市公式サイト)

 

普通に長屋の一戸を解体する場合なら、

共有部分や他の所有者への影響がありますから、

関係者との調整は非常に重要です。

 

ところが行政代執行となれば、

通常の自主的な解体とは法的な仕組みが違います。

 

ですから、「行政代執行でも

絶対に隣家の切り離し承諾書が必要です!」

と単純に言い切れる話でもなさそうです。

 

個々の権利関係や建物の構造、

行政が行う措置の内容などによって判断されるでしょう。

 

でも少なくとも……

残された私の家を無視して、ズバーン!

 

というわけにはいかないでしょう。

 

 切ったら終わりちゃいます!

 

 

ここが長屋の切り離しで一番分かりやすいところです。

解体中はこんな状態になることがあります。

 

そして、切り離し後にきちんと外壁処理すると……

全然違うでしょう?

 

 

実際、この施工例は

木造連棟住宅の切り離し+外壁工事です。

 

つまり長屋の一戸をなくすというのは、

「一戸解体しました。以上!」

ではないんですね。

 

今まで隣の家によって守られていた部分を、

これからは外壁として雨風から守らなければならない。

 

構造上の安全性に問題が出るなら

補強についても考えなければなりません。

 

だから私はここが気になるんです。

行政代執行の場合、どこまでやってくれるんやろ?

 

単に危険な隣家を撤去するだけなのか。

 

残った私の長屋の雨仕舞いや

必要な補強まで含めて措置されるのか。

 

ここは個別案件で非常に重要なポイントでしょう。

 

 それより私が気になるのは「それまで」です!

 

 

行政代執行まで一年かかったとしましょう。

その間、隣から雨水が侵入。

ポタ……ポタ……。

 

最初は天井に小さなシミ。

半年後――

 

デカなっとるがな!

 

さらに壁にカビ。柱にも水が回った。

修理見積もり……150万円。

 

そして、ようやく隣が行政代執行で解体されました。

 

私、「ありがとうございます!」

そして続けます。

 

「……ところで、この150万円は?」

 

ここは分けて考える必要があります。

 

行政代執行による切り離しのために必要となる

雨仕舞いや補強と、それ以前に

隣家が原因で私の家に発生していた損害は別問題です。

 

後者について、

「行政代執行になったから役所が全部直してくれる!」

という制度ではありません。

 

そうなると、本来は

隣家所有者側との民事上の問題が考えられます。

 

ところが……所有者不明。

 

私、また役所へ行きます。

「ほな、この天井……誰に請求したらええの?」

 

……長屋、深いですわ。

 

 そもそも長屋は全部ボロいわけではありません

 

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ここで勘違いしてほしくないのが、

「古い長屋=危険」ではないということです。

 

大阪には、古い長屋をきちんと改修して

今も活用している事例がたくさんあります。

 

例えば大阪・昭和町周辺では、

古い長屋を店舗などへ再生して

活用する取り組みが続いています。

 

結局、大切なのは築年数だけではないんですよね。

 

 

 長屋は「自分の家だけ」の問題ではありません

 

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今回、最初は単純な疑問だったんです。

 

「古い長屋ってリフォームしたら、

あと何年もつんやろ?」

ところが考えているうちに気付きました。

 

長屋の寿命って、

自分の家だけでは決まらないんですよね。

 

自分は屋根を直した。雨漏りも止めた。

柱も補強した。大切に住んでいる。

 

それでも隣がボロボロで、

所有者不明で、雨漏りを何年も放置していたら……

 

壁一枚向こうの話では済まない可能性があります。

 

 

 筆者の独り言

 

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築80年でも両隣が元気で、

みんなできちんと手入れしている長屋。

 

一方、築50年でも隣がボロボロ、雨漏り、

所有者不明の長屋。

 

私ならどちらが安心か。

……考えてしまいます。

 

長屋を査定するときは建物の中だけでなく、

「お隣さん、大丈夫かな?」

これから今まで以上に見てしまいそうです。

 

そしてもう一つ。

 

長屋を所有している方も、

「うちはちゃんと直してるから大丈夫!」

だけでは済まないことがあります。

 

長屋って、自分では選べない**「お隣さん」も

建物の寿命の一部なのかもしれませんね。**

 

※実際の行政代執行、特定空家等への指定・措置、

長屋切り離し時の同意や補強範囲などは、

建物の権利関係、構造、自治体の条例等によって異なります。

 

個別案件では自治体や弁護士、建築士等への確認が必要です。

 

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筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!

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