空き家へ行くたび「またか・・・」売主さんを悩ませ続けた室内のバケツ。雨漏りを直して売ろうとした結末は!?
今年の日本では**「線状降水帯」**という言葉を
頻繁に聞くようになりました。
空き家を所有している人にとっても、
あまりいい響きではありませんね……。
線状降水帯は、発達した雨雲が次々と発生して同じ場所を
通過・停滞し、数時間にわたって強い雨を降らせる現象です。
気象庁も、発生すると
災害の危険性が急激に高まるとしています。(気象庁)
テレビから、
「線状降水帯が……」
「記録的な大雨となるおそれが……」
なんて聞こえてくると、
「うちの空き家、大丈夫かな?」
「屋根、雨漏りしてへんかな?」
すでに雨漏りしている家なら、もっと気になります。
「あのバケツ……そろそろ満タンちゃうか?」
今回ご紹介するのは、
まさにその**「室内のバケツ」**に
悩まされることになった売主さんのお話です。
空き家管理は毎回わずか5分!それでも大丈夫だと思っていた

この売主さん、空き家を
完全に放ったらかしにしていたわけではありません。
比較的近くに住んでいたので、
たまに様子を見に行っていました。
玄関を開ける。
1階の窓を開けて風を通す。
2階へ上がって、こちらも換気する。
そして、
「よし。今日も異常なし!」
滞在時間は、だいたい5分程度。
ところが、ある日のことです。
いつもなら2階までで帰るところ、
「そうや。久しぶりに屋上も見とこか」
そう思って3階へ上がりました。
そこで目に入った光景にビックリ!
「なんじゃこりゃ!」
……亡き松田優作さんではありません。
※太陽にほえろのジーパン刑事参照・・
雨漏りです。
しかも「ちょっと天井にシミがありますね」
という程度ではありません。
売主さんの感覚では、
クソほど雨漏りしていた。
定期的に空き家を見に来ていた。
換気もしていた。
だから本人としては、
ある程度管理できているつもりだったんです。
ところが、普段ほとんど行かない3階では、
その間にも雨漏りが進んでいた。
人が住んでいれば、
「あれ?こんなシミあった?」
「昨日より広がってへん?」と気付きます。
ところが空き家には、
「ちょっと!雨漏ってまっせ~!」
と電話してくれる人がおりません。
とりあえずバケツを置いた。それから生活が変わった
売主さんが最初に取った対策は、とてもシンプル。
バケツを置く。
古い空き家を査定していると、
こういう光景に出会うことがあります。
天井には大きな雨染み。
そして、その真下にポツンとバケツ。
何とも言えない哀愁があります。
最初は売主さんも、
「これで床まで濡れへんやろ」
くらいに考えていたそうです。
ところが問題はここから。
雨が降る。
自宅で天気予報を見る。
「……あのバケツ、大丈夫かな?」
翌日、空き家へ行く。
3階まで上がる。バケツを見る。水を捨てる。
また置く。帰る。
そしてまた雨が降る。
「また見に行かなあかんのか……」
大雨の予報が出れば、もっと気になります。
最初は雨水を受けるためだけに置いたバケツが、
いつの間にか、
雨が降るたび売主さんを空き家へ呼び出す装置
になってしまいました。
「雨漏りしたままでは売れへんやろ」

そこで売主さんは、この空き家を売却しようと考えました。
しかし、大きな問題があります。
もちろん、雨漏りです。
「こんな状態で売りに出しても買う人おらんやろ」
「せめて雨漏りくらい直してから売らなあかん」
これは、ごく普通の考え方だと思います。
そこで屋根の補修を始めます。
目的は大規模なリフォームではありません。
「とにかく雨漏りだけ止めたい」
ところが古い家の雨漏りというのは、
そう簡単にいかない場合があります。
室内で水が出ている場所と、
実際に雨水が侵入している場所が同じとは限りません。
「ここが怪しい!」と思われる部分を補修。
工事終了。
売主さんもひと安心。
「よっしゃ!これでバケツともお別れや!」
そして次の大雨――。
恐る恐る3階へ上がる。
天井を見る。
ポタポタ……ではありません。
ジワ~~~~。
「……まだ漏れとるがな!」
一回直したら途中でやめにくい!「修理の蟻地獄」へ

ここからが厄介です。
一度お金を払って修理したら、
「せっかくここまでやったんやから、完全に止めたい」
と思います。
もう一度見てもらう。
別の怪しい部分を補修する。
次の雨を待つ。
「今度こそ大丈夫やろ」
そして天井を見る。
ジワ~~。
「お前、まだおったんか!」
もう一回部分補修する?
もっと大掛かりに屋根や防水を直す?
濡れた天井や内装も直す?
気が付けば、最初の目的だった、
「空き家を売りたい」から、
「何としてでも雨漏りを止めたい」
へ目的が変わっています。
これが今回の、
「雨漏り修理の蟻地獄」です。
売る家に、どこまで修理代をかけますか?

もちろん、雨漏り修理が
無駄だと言っているわけではありません。
これから自分たちが長く住む家なら、
原因を調査して必要な修繕をするべきでしょう。
また、仲介で一般の買主さんへ売却する場合には、
きちんと修理した方が売りやすくなるケースもあります。
でも今回の家は、
もう誰も住む予定のない空き家。
所有者の目的は、売却すること。
ここで一度立ち止まって考えてみてもいいと思います。
仮に雨漏り修理へ50万円使った。
だからといって、
売却価格が必ず50万円上がるとは限りません。
100万円かけたから、100万円高く売れるとも限らない。
しかも雨漏りが完全に止まらなければ、
「もう一回工事しましょうか」となる。
またお金が出ていきます。
「雨漏りしたままなんですけど……買取できます?」

雨が降る。
バケツが気になる。
空き家へ見に行く。
修理する。
また雨が降る。
また天井を見る。
売主さんも、だんだん疲れてきました。
そして最終的に、不動産買取業者へ相談することに。
恐る恐る聞きます。
「雨漏りしたままなんですけど……
こんな家でも買ってもらえます?」
すると、
「その状態で一度見せてください」
雨漏りしている。
天井にシミがある。
室内にはバケツ。
それら全部を含めた現在の状態で査定する。
そこで売主さんは初めて思います。
「……え?最初からこれでよかったん?」
そして最後に電卓を叩いてみた

これまで雨漏り対策に使ったお金。
屋根の補修費。
その他の修繕費。
それらを計算してみます。
そして、
もし何も直さず、
最初から現状のまま買取業者へ相談していたら?
提示された買取価格と、
これまで使った修理費を見比べる。
電卓を叩く。
……。
………。
…………。
そして一言。
「雨漏りしたまま買い取ってもらった方が、手取り多かったやんけ~!」
これが今回のお話の結末です。
売却予定なら「修理する前」に査定する方法もあります

今回、一番お伝えしたいのはここです。
雨漏りしている家=売れない家ではありません。
特に不動産会社による買取なら、購入後に
屋根・防水・内装などを修繕することを
前提として査定できる場合があります。
それなら売主さん自身が先に何十万円、
場合によっては100万円以上のお金を使う前に、
「この状態なら、いくらで買い取れますか?」
と聞いてみる。
査定価格を確認してから、直して売るのか?
それとも、そのまま売るのか?
判断しても遅くありません。
バケツが置いてあっても構いません。
天井に雨染みがあっても構いません。
むしろ雨漏りしていることを隠さず、
「ここ、雨漏りしてます」と、そのまま見せてもらった方が
査定する側にも分かりやすいです。
雨漏りしている空き家は「時間」にも注意

そして、もう一つ大切なのが時間です。
今はバケツ一個で済んでいる。
「ほんなら来年売ろか」
「もうちょっと置いとこか」
しかし、その状態がずっと続くとは限りません。
また猛烈な雨が降るかもしれない。
今まで漏っていなかった場所から
水が入ってくるかもしれない。
気象庁も、線状降水帯が発生すると災害の危険性が
急激に高まるとしており、
近年は予測情報の充実も進めています。(気象庁)
だからこそ、すでに雨漏りが分かっていて
売却する意思もある空き家なら、
何年もバケツと付き合う必要があるのか?
一度考えてみてもいいと思います。
筆者の独り言

室内に置いたバケツ。
最初は頼もしいんです。
「よし!これで床まで濡れへんぞ」
ところが、一度置いたら今度はそのバケツが気になる。
雨が降る。
「あのバケツ、大丈夫かな?」
大雨が降る。
「もう満タンちゃうか?」
空き家へ行く。3階まで上がる。水を捨てる。
また置く。そして帰る。
これでは、
空き家を管理しているのか、
バケツを管理しているのか分かりません(笑)。
売却すると決めている家なら、
雨漏りを完璧に直してからでなければ
不動産会社へ相談できない、なんてことはありません。
まずは現状を見てもらう。
査定価格を聞く。
それから修理するかどうか考える。
その順番でもいいと思います。
そして最後になって、
「最初からこのまま売っといた方が
手取り多かったやんけ~!」
これだけは避けたいところですね。
雨漏り空き家の売却Q&A

Q.雨漏りしている空き家でも買取できますか?
物件や建物の状態にもよりますが、
現状のまま査定・買取できる不動産会社はあります。
まず雨漏りしていることを伝えたうえで相談してみましょう。
Q.売る前に雨漏りを修理した方が高く売れますか?
修理した方が有利になるケースもあります。
しかし、かけた修理費がそのまま
売却価格へ上乗せされるとは限りません。
特に買取を検討しているなら、
修理前の査定価格を確認して比較する方法があります。
Q.室内にバケツを置いている状態でも査定できますか?
相談できます。雨漏り箇所が分かっているなら、
隠さずそのまま見てもらった方が状況も伝わりやすいでしょう。
Q.雨漏りしている空き家をしばらく放置しても大丈夫?
建物や雨漏りの状態、今後の雨量によっては
被害が広がる可能性があります。
すでに売却する意思があるなら、長期間放置する前に
査定だけでも受けておくのは一つの方法です。
最後に――。
バケツは雨水を受けてくれます。
でも、
売主さんの心配までは受け止めてくれません。
売却予定の雨漏り空き家なら、修理業者へ電話する前に、
まずはそのままの状態で査定してもらう。
そんな選択肢も覚えておいてください。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
- 宅地建物取引士
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