見えない敵と戦う不動産仲介営業!3ヶ月契約0の社員が挑む満額(値下げなし)への道!【後編】 ~3,100万円でも断られた営業マンが、最後に考えた作戦とは?~

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売出価格3,280万円の中古マンションに、

3,000万円の購入申込みが入りました。

 

売主である娘さんも、最初は、

「ええお話ですね」

と前向きな反応を見せていました。

 

ところが翌日、ご主人が反対しているという理由で拒否。

 

営業マンは諦めず、買主さんにお願いして

3,100万円まで上げてもらいました。

 

それでも話はまとまりません。

 

娘さんは売りたそうにしている。

 

反対しているはずのご主人は、

「営業さんも大変やなぁ……」

と、なぜか他人事です。

 

「下げる気なかったら、最初から言うてくれや……」

 

3ヶ月契約ゼロの営業マンは、

電話を切ると机に突っ伏しました。

 

しかし、まだ諦めるわけにはいきません。

 

この営業マン、契約は取れていませんが、

根性までなくしたわけではありませんでした。

 

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売主宅から出てきた貫禄あるおばあちゃん

 

後日、営業マンは販売状況を報告するため、

娘さん夫婦のもとを訪ねました。

 

何とか売却を進めたい。

 

そして何より、娘さん夫婦の本音を聞きたい。

そう考えていたのでしょう。

 

売主宅へ到着すると、

一人のご年配の女性が出てきました。

 

年齢は80~85歳くらいかな?

けど足取りもしっかりしており、見るからに元気です。

 

そして、なかなか貫禄があります。

 

営業マンは、そのおばあちゃんと

入れ替わるように家へ入りました。

 

「あのご年配の方は、どちら様ですか?」

 

娘さんは、何でもないことのように答えました。

 

「私の母です。元気で、よう遊びに来るんですよ」

 

「そうですか……」

 

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その瞬間、営業マンの頭の中で、

何かがピンとつながりました。

 

謄本に載っていた、もう一人の女性

 

営業マンは、このマンションの謄本を確認していました。

 

現在の所有者は娘さん一人です。

 

しかし過去の登記を見ると、

購入当初は娘さんと別の女性との共有名義でした。

 

その後、もう一人の女性が持っていた共有持分は、

「贈与」によって娘さんへ移されています。

 

営業マンは、それまで

元共有者の女性が誰なのか知りませんでした。

 

しかし、売主宅から出てきた84歳のおばあちゃん。

 

娘さんの母親。

 

そして、謄本に記載されていた元共有者の女性。

 

バラバラだった点が、

営業マンの頭の中で一本につながりました。

 

娘さんは3,000万円を「ええ話」と言っていた。

 

ところが翌日、突然断られた。

反対しているはずのご主人は、どこか他人事だった。

 

そして、母親は頻繁に娘さん夫婦の家へ出入りしている。

 

「ひょっとして……この人か?」

 

後から分かったことですが、このマンションを購入した時、

おばあちゃんは自己資金として2,000万円を出していました。

 

登記上は、すでに娘さんの単独名義です。

 

しかし、おばあちゃんの感覚では、

「このマンションは、私が2,000万円出して買った物件」

だったのでしょう。

 

謄本から名前は消えても、

売却に対する発言力までは消えていなかったのです。

 

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遊びではなく、販売会議に来ていた?

 

娘さんは、

「元気で、よう遊びに来るんですよ」

と言いました。

 

しかし、営業マンには違って見えました。

 

おばあちゃんは、遊びに来ていたのではない。

販売会議を開きに来ていたのではないか。

 

「3,000万円の話が来たで」

 

「280万円も負ける必要ない!」

 

「けど、営業さんは難しい言うてるで」

 

「値段下げんでも、そのうち売れる!」

 

実際にどのような会話があったかは分かりません。

 

ただ、おばあちゃんが価格交渉を

嫌っていたことは間違いありません。

 

娘さんは3,000万円以上での売却が難しいと

理解していましたが、母親の意見にはなかなか逆らえません。

 

ご主人も事情を知っていたのでしょう。

 

だから営業マンに何を言われても、

「営業さんも大変やなぁ……」

としか答えられなかった。

 

ご主人が反対していたのではありません。

 

ご主人もまた、見えない敵の前で

身動きが取れなかったのです。

 

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値下げを説得するのは諦めよう

 

営業マンは考えました。

 

娘さん夫婦を説得するだけでは、

このマンションは売れない。

 

かといって、おばあちゃんへ直接、

「3,100万円で売ってください」

とお願いしても、おそらく答えは変わりません。

 

それなら、売出価格3,280万円の満額で

買ってくれる相手を探すしかない。

 

しかし、一般の買主さんにとって、

周辺相場より高い物件を満額で買う理由はありません。

 

買取業者へ相談しても、

「3,280万円で仕入れたら、再販しても利益が出ませんわ」

と言われます。

 

購入費用、リフォーム代、税金、登記費用、管理費、販売経費。

 

すべてを考えると、

このマンション一軒だけでは採算が合いません。

 

そこで営業マンは、通常とは少し違う作戦を考えました。

 

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「その代わり、もう一軒あります」

 

営業マンの手元には、もう一軒、

安めに購入できそうな中古マンションの情報がありました。

 

そちらはリフォームして再販すれば、利益を見込めます。

 

営業マンは、ある買取業者へ

二つのマンションをまとめて提案しました。

 

「このマンション一軒だけやったら、

3,280万円ではしんどいと思います」

 

「そらそうや。再販しても利益出えへんで」

 

「その代わり、もう一軒あります」

「もう一軒?」

 

「そちらは安めに買えます。

もう一軒の再販で利益を取ってください。

 

このマンションは再販してトントンでもええという形で、

二軒まとめてお願いできませんか?」

 

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買取業者も計算します。

 

一軒目では利益が出る。

 

二軒目は利益がほとんど出なくても、

大きな赤字にならなければよい。

 

二物件を合わせた事業全体で採算が取れるなら、

購入を検討できます。

 

そして営業マンの頭の中でも、別の計算が始まりました。

「これがまとまったら、契約二本や……!」

 

3ヶ月間、契約ゼロ。

 

課長から毎日のように、

「今月どうするんや?」

 

と聞かれてきた営業マンが、一気に二本です。

 

昨日まで坊主だった男に、

突然の二冠王になるチャンスが訪れました。

 

 

現金・満額の買付けが入った!

 

買取業者は二つのマンションを精査し、

ついに購入を決断しました。

 

売出価格3,280万円。

 

値下げなしの満額。

 

しかも現金購入です。

 

営業マンは、満額の買付証明書を持って

娘さん夫婦のもとを訪れました。

 

「3,280万円、満額です。現金で購入していただけます」

 

娘さん夫婦も納得しました。

 

これなら、誰からも反対される理由はありません。

 

営業マンにとっては、

このマンションだけではありません。

 

もう一軒のマンションも同じ業者が購入します。

契約ゼロが3ヶ月続いたところへ、一気に契約二本。

 

あれほど重かった営業マンの足取りが、急に軽くなりました。

 

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最後に現れた真の司令官

 

話がまとまった頃、あのおばあちゃんが現れました。

 

そして娘さんに言いました。

「ほら、値段下げんでも売れたやろ!」

 

営業マンは心の中で叫びました。

「売れるまで半年近くかかっとるがな!」

 

3,000万円の買主さんを逃し、

3,100万円まで頑張った買主さんも逃しました。

 

何社もの買取業者へ相談し、最後は利益の出る別の

マンションと組み合わせ、ようやく作った満額3,280万円です。

 

普通に販売して、

簡単に満額で売れたわけではありません。

 

営業マンも、ここだけは

言わせてほしかったのでしょう。

 

「この価格では、ほかの不動産会社ではまず売れませんから!」

 

すると、おばあちゃんは

満足そうに何度もうなずきました。

 

「ほうか、ほうか。よう頑張ったな、僕。ありがとよ」

 

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昨日までの見えない敵から、

ようやくお褒めの言葉をいただきました。

 

営業マンも満面の笑顔で答えます。

「ありがとうございます!」

 

しかし心の中では、

「あなたに褒めてもらうために、

半年走り回ってたんとちゃいますねん!」

 

と思っていたかもしれません。

 

今度は課長が手のひら返し

 

営業マンが会社へ戻り、契約二本が

まとまったことを報告すると、課長も大喜びです。

 

「ようやった!」

 

そして、営業マンの肩をたたきながら言いました。

「俺はな、お前なら絶対やると思ってたんや!」

 

営業マンは笑顔で答えます。

「ありがとうございます!」

 

けれど心の中では、もう一度叫んでいました。

 

「昨日まで毎日、

今月どうするんや言うてたやないか~い!」

 

こうして3ヶ月契約ゼロだった営業マンは、

二物件を組み合わせる作戦で、一気に契約二本を獲得しました。

 

 

偶然、満額の買主が現れたのではありません。

 

一軒では利益が出ないなら、

別の一軒と合わせて採算を取ってもらう。

 

満額で売れる仕組みを、営業マンが自分で作ったのです。

 

登記上の所有者は娘さんでした。

 

しかし、売却に最も強い影響力を持っていたのは、

謄本からすでに名前が消えていた

84歳のおばあちゃんだったのかもしれません。

 

謄本から名前は消えても、

決定権までは消えていなかった――。

 

不動産仲介営業が戦う相手は、

いつも目の前にいるとは限らないのです。

 

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よくあるご質問

 

Q.所有者ではない家族が売却条件を決めることはありますか?

 

契約を締結するのは所有者ですが、

購入資金を援助した親や家族の意見が、

実際の売却判断へ強く影響することはあります。

 

Q.売主は価格交渉を断ってもよいのでしょうか?

 

価格交渉に応じるかどうかは売主さんの判断です。

 

ただし、相場より高い価格にこだわる場合、

売却まで時間がかかったり、

購入希望者を逃したりする可能性があります。

 

Q.複数の物件を同じ業者へ提案することはありますか?

 

買取業者が複数の物件をまとめて検討することはあります。

 

取引全体で採算が見込めれば、一物件だけでは

難しい条件でも話がまとまる可能性があります。

 


筆者の独り言

 

3ヶ月契約ゼロだった営業マン。

 

3,000万円でもまとまらず、3,100万円でもまとまらず、

最後はもう一軒のマンションまで用意して

満額3,280万円を作りました。

 

これは偶然売れたのではありません。

 

売れる仕組みを、営業マンが自分で作ったのです。

 

それにしても、おばあちゃんのひと言。

「ほら、値段下げんでも売れたやろ!」

 

確かに、その通りです。

 

その通りなんですが――。

営業マンの苦労も、ちょっとだけ分かってあげてください。

 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
売主様には査定時に買取価格を算出します!

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