🏙️ なぜ中国人が大阪に住むの? 不動産購入から見える“定住”のリアル事情〜2025年の経営・管理ビザ改正後に起きた変化と今後の大阪不動産市場予測〜
2025年、静かに変わった「在留の条件」
2025年10月16日。
日本の「経営・管理ビザ」が大きく変わりました。
これまで比較的ハードルが低かった外国人の起業・経営在留
資格が、新しい省令改正によって一気に厳格化されたのです。
資本金要件は500万円から3,000万円へ引き上げ、さらに
常勤職員の雇用義務や経営経験の証明が必要になりました。
この変更は、特に大阪市内でビザを活用していた
中国人経営者層に大きな影響を与えています。
なぜなら、彼らの多くが「不動産購入+会社設立」を
セットで行っていたからです。
この記事では、
- なぜ中国人が大阪に定住するのか
- 不動産購入とビザの関係
- そして、改正後に何が起きているのか・これから何が起きるのか
を、データと現場の変化から読み解いていきます。

中国人が大阪を選ぶ理由とは?
東京ではなく大阪を選ぶ3つの理由
かつて日本移住といえば東京が主流でした。
しかし近年、**「大阪を選ぶ中国人」**が急増しています。
理由は主に次の3つです。
- 不動産価格のバランスが良い 東京に比べると土地・住宅価格が3〜5割安く、広めの物件が手に入りやすい。
たとえば中央区や浪速区では、3,000万円台で1LDKを購入できることも。 - 中国人コミュニティが既に形成されている
中国語が通じる店舗、学校、医療機関が増え、生活のハードルが低い。
留学生から経営者層まで、多様な層が「暮らしやすい都市」として定着しています。 - 商業都市・大阪のアクセスと経済性
関西国際空港から上海・北京・香港などへの直行便が多く、
中国ビジネスとの往来が容易。
東京よりもコストが低く、起業の初期負担が小さいという点も魅力です。
定住の背景にある「経営・管理ビザ」という仕組み
中国人が日本で長期的に生活・事業を行うには、
「経営・管理ビザ(Business Manager Visa)」が必要です。
このビザは、
“日本で事業を経営または管理する外国人”
に与えられる在留資格で、もともとは起業支援のために設けられました。
以前(2025年改正前)は、
- 資本金500万円
- オフィス確保
- 事業計画の提出
で比較的取得しやすく、不動産をオフィス兼住居として使うケースも多かったのです。
しかし、この仕組みが一部で乱用されていました。
「実態のない会社」「名義だけの登記」「ビザ目的の不動産購入」など、経営実体が乏しいケースが全国で問題視されるようになったのです。

H2-2:2025年10月改正後の「経営・管理ビザ」の新要件
2025年10月16日に施行された改正では、
入管庁が以下のような厳格化を行いました。
| 要件項目 | 改正前 | 改正後(2025年10月以降) |
|---|---|---|
| 資本金または出資金 | 500万円以上 | 3,000万円以上 |
| 常勤職員 | 任意 | 1名以上の日本人または永住者を常勤雇用必須 |
| 経営経験 | 不問 | 3年以上の経営・管理経験または経営学修士以上 |
| 日本語能力 | 不問 | JLPT N2以上が望ましい(明文化は任意だが実質要件化) |
| 実体審査 | 書類中心 | 現地調査・税務確認・事業継続性チェックを強化 |
つまり、「資金+雇用+実態+経験」が
すべて揃わないと許可が下りない。
形式的な不動産購入だけでは、もはやビザは取れません。
新制度が中国人の不動産戦略をどう変えたか
駆け込みから“静かな整理”へ
改正前の2025年9月、大阪市内では
中国系法人の登記が前月比で約2倍に急増しました。
“旧制度のうちにビザを取りたい”という駆け込み需要。
しかし10月以降、更新・新規審査では多くの申請が却下・保留となり、現在は**「経営実態を持たない法人の整理」**が進んでいます。

不動産売却・再投資の動きが活発化
ビザ更新が難しくなった人の中には、「居住できなくなった」「会社を維持できなくなった」という理由で大阪市内のマンションやオフィスを売却するケースも出ています。
一方で、
本格的に日本市場で事業を行う層は、3,000万円以上の資本を確保し、「オフィス+住宅」や「商業物件」を購入して事業基盤を強化しています。
つまり“ふるい分け”が進み、残る層は本気の経営層。
一過性のブームが終わり、安定志向の
外国人投資が主流になってきています。
中国人コミュニティの変化と地域経済への影響
以前は民泊・短期滞在目的の購入が目立ちましたが、現在は教育・福祉・不動産管理業など、地域密着型の事業が増えています。
中央区では中国系幼児教室、浪速区では飲食・シェアハウス運営など、「地域で雇用を生む外国人企業」が登場し始めました。
大阪の中国人社会は、単なる投資家集団から
**“地域経済のプレイヤー”**へと変化しています。

中国人定住が大阪の不動産市場にもたらす影響
地価・賃料の二極化
中央区や浪速区の中心部では、依然として
中国人購入者が市場価格を押し上げています。
一方、西成区・生野区などの築古住宅地では、
ビザ更新不能による売却物件が少しずつ増加中。
今後は、
**「高資本層による商業物件買い」vs「中小物件の放出」**
という二極化が進むと見られます。
中古・再建築不可物件の再評価
厳格化により、単なる投資目的ではなく、「日本で長く経営・生活を続けるための拠点づくり」が主流になっています。
結果として、築古でも立地の良い物件や再建築
不可住宅が、「安定運用型資産」として見直されています。
大阪市の空き家再生支援制度を活用し、外国人企業が
リノベーション・再販を行う事例も出ています。

地域社会との共生フェーズへ
外国人住民が5万人を超えた大阪では、
行政が中国語通訳・多文化共生窓口を強化中。
「生活者」としての定住を前提に、
地域融和が進んでいます。
この流れは、単なる不動産市場の話にとどまらず、大阪という都市が“多文化経済圏”へと変わる兆しでもあります。
これからの大阪市場を読む——2026年以降の予測
短期的な供給増と価格調整
2026年〜2027年前半にかけて、旧制度で
許可を得た経営者の「更新審査」が集中します。
その一部が不許可となることで、
短期的な中古物件供給の増加が予想されます。
一方、インバウンド再開や大阪万博需要により、商業地・観光地近接エリアでは需要が底堅く、価格の急落は限定的と見られます。

中長期では「本格移住・家族定住層」の増加
新制度でも、資金・人材・経験を持つ中国人経営者は
むしろ“安心して長期滞在できる環境”を得たと言えます。
そのため、2027年以降は「永住・家族帯同・教育移住」を
目的とした安定層の不動産購入が主流になるでしょう。
つまり“投資から定住へ”が完全にシフトします。
不動産業界が迎える転換点
大阪の不動産業者も、この変化に対応しています。
通訳付き内覧、外国人融資サポート、ビザ・税務提携など、
“多文化対応型の不動産サービス”が拡大中。
業界としては、
- 短期転売モデル → 長期管理モデルへ
- 個人投資家依存 → 法人・家族定住層の支援へという変化が求められています。

まとめと行動提案
- 中国人の大阪定住は、ビザ改正後も続くが「質」が変わった。
- 実体経営・高資本・地域共生がキーワードになる。
- 不動産市場は短期的に揺れるが、中長期では健全な安定化へ。
もしあなたが大阪で不動産を所有・購入予定なら、「誰が住むのか」「どんな経済層が残るのか」を見極めることが重要です。
外国人動向は、今後の資産価値を左右する要素のひとつ。
専門家に相談しながら、
制度と市場の両面から判断を進めましょう。

不動産売買等でのよくある質問(FAQ)
Q1:中国人でも今後も日本の不動産を自由に買えますか?
はい。所有に国籍制限はありません。
ただし、資金源の証明や税制面の確認が厳格化しています。
Q2:ビザが切れたら購入した家はどうなる?
所有権は維持されますが、日本に居住できなくなるため、
賃貸や売却に切り替える人も多いです。
Q3:経営・管理ビザの改正で
不動産取得は意味がなくなった?
いいえ。ビザ取得“目的だけ”では難しくなりましたが、
実態ある事業・居住拠点としての購入は引き続き有効です。
Q4:2025年改正で、既存のビザ保有者も影響を受ける?
更新時には新基準の一部
(資本金・雇用実態など)が確認されます。
完全な遡及ではありませんが、
事業が形骸化していると更新が難しいでしょう。
Q5:今後の大阪不動産市場はどうなる?
2026〜2027年にかけて調整期を迎える可能性はありますが、インバウンド・再開発需要が底支えし、長期的には安定成長が見込まれると考えます。

