🏠 大阪版|仲介で家を売る人必見! 契約不適合責任の「免責」は本当に通用するのか?
はじめに:大阪で増える“免責トラブル”
「仲介で売るとき、契約不適合責任は免責にできます」
——そう言われて、ほっとした方も多いかもしれません。
しかし、近年の大阪の中古住宅売買では、「免責にした
はずが通らなかった」というケースが増えています。
2020年の民法改正以降、「瑕疵担保責任」は廃止され、「契約不適合責任」という新しいルールが適用されるようになりました。
これにより、売主が負う責任の範囲が広がり、「免責」と
いう言葉が“魔法の言葉”ではなくなったのです。
特に大阪では、築古住宅・連棟・長屋・再建築不可物件など特殊な物件が多く、売主が知らずに“地雷”を踏んでしまうことも珍しくありません。
この記事では、
✅ 契約不適合責任の基本と免責の限界
✅ 実際に免責が通らなかった大阪の事例
✅ 安全に売却するための実践アドバイス
を、一般の売主さんにもわかりやすく解説します。

1:契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、「契約内容と異なる状態」で物件を
引き渡した場合に、売主が負う法的な責任のことです。
これは「欠陥があるかどうか」だけでなく、
**“契約書に書いたとおりであるか”**が判断基準になります。
たとえば:
- 雨漏りがあるのに「問題なし」と説明していた
- 給湯器が動かないのに「使用可能」と記載していた
- 境界や面積が契約書と異なっていた
このような場合、買主は修補・代金減額・
契約解除・損害賠償を請求できます。
大阪では、築年数の古い家や長屋などでこうしたトラブルが多く、「知らなかった」「気づかなかった」では通らないケースも増えています。

2:「免責」とは?そして万能ではない理由
仲介で家を売る際、契約書に「契約不適合責任を免責する」
という条項を入れることがあります。
この免責特約によって、売主が欠陥の
責任を負わなくなるのが基本です。
しかし、実際の運用では免責が「通る」ケースと
「通らない」ケースがはっきり分かれています。
❌ 免責が通らなかった代表的なパターン
① 売主が事実を知っていて隠した場合
たとえば「過去に雨漏りがあった」ことを知りながら告げなかった。
→ 故意の隠蔽(いんぺい)とされ、免責条項は無効。
② 重要な事実を告知しなかった場合
「ブロック塀が越境している」「事件があった」などを
把握していたのに未告知。
→ 誠実義務違反として、免責が否定される。
③ 確認すべき不具合を放置した場合
設備が壊れているのに「知らなかった」
で済ませるのは難しい。
→ “知る立場にあった”とみなされることも。

✅ 免責が有効になるケース
逆に、以下の条件を満たす場合は免責が認められやすいです。
- 売主が欠陥を知らず、かつ通常調査でも気づけない
- 契約書に明確に免責条項が記載されている
- 売主が誠実に告知・説明している(虚偽がない)
つまり、「知らなかった」+「誠実に対応した」+「書面で明記」
が揃えば、免責は実務的に有効と判断されるのです。

3:大阪の実例にみる「免責が通らなかった」トラブル
事例①:屋根修理歴を口頭で伝えただけ
浪速区の中古住宅を売却したAさん。
屋根を一度修理していましたが、書面で告知せず。
引渡し後に雨漏りが再発し、買主から修理費の請求が。
結果:「知っていたのに書面で伝えなかった」
と判断され、免責無効。
事例②:越境ブロック塀を放置
生野区で実家を売却したBさん。
塀が隣地に10cm越境していると知っていたが、
「昔からだから問題ない」と告げずに売却。
結果:建て替え時に発覚し、買主から
損害賠償請求。免責は認められず。
事例③:「現状有姿」でも通らなかったケース
「現状有姿・免責」として契約した古家付き土地。
実際には、排水管が隣地を通っていた。
結果:「現状有姿」でも“隠していた事実”は
免責にならないと判断。

📘 共通点:
どの事例も「売主が知っていたのに書面で
告げなかった」点が問題でした。
口頭説明や“黙認”では免責にならないのです。
4:免責が通用するための3条件
大阪宅建協会が推奨する契約書でも、
免責条項には次の文言が使われています。
「売主は契約不適合責任を負わない。ただし、売主が知っていた事実を故意に告げなかった場合はこの限りでない。」
つまり、**「正直に告げていれば免責は通る」**
という考え方が前提です。
では、免責を有効にするにはどうすればいいのでしょう?

① 告知書は「少しでも気になることは書く」
修繕歴・漏水跡・近隣トラブルなど、
「もう直った」「大したことない」と思っても必ず記載。
書かない方が後でリスクになります。
② 不動産会社に正確な情報を伝える
宅建士が作成する重要事項説明書の
元情報は、売主の告知です。
情報が誤っていれば、説明も間違い、
最終的に責任が売主に戻ります。
特に大阪では、私道・越境・長屋など“法的制限”に
関わる情報をしっかり伝えましょう。
③ 契約書の文言を自分でも確認する
免責条項を入れるときは、「どんなリスクが残るのか」
「どこまで責任を負わないのか」を理解して署名を。
内容を読まずに押印するのは最も危険です。

5:「現状有姿」は免責の代名詞ではない
よく「現状有姿だから責任はない」と思われがちですが、
実は“現状有姿”=“免責”ではありません。
現状有姿とは「現状のまま引き渡す」という意味であり、
事実を隠していいという免罪符ではないのです。
したがって、
- 知っていた雨漏り
- 越境や違法増築
- 地中埋設物(廃材・古い配管)
などを説明しなかった場合は、
現状有姿でも免責になりません。
6:大阪の仲介売却で売主がやるべき3つの対策
✅ 1. 売却前に簡易点検・測量を実施する
築古住宅では、設備不良や境界トラブルが多い。
事前点検を行えば、告知の裏付けが取れ、
トラブルを防ぎやすい。
✅ 2. 告知書と写真をセットで残す
「言った・言わない」を防ぐには、修理箇所や
雨漏り跡などの写真を残しておくのが効果的。
契約後の証拠になります。
✅ 3. 特約文言を宅建士と一緒に確認する
仲介業者が提案する免責文をそのまま使うのではなく、
「自分の物件に合っているか」を確認しましょう。
専門家にチェックを頼むのもおすすめです。

7:まとめ|免責は“逃げ道”ではなく“信頼の証”
- 契約不適合責任の免責は「誠実に告知してこそ」有効。
- 書いていなければ、どんな条項も通らない。
- “正直さ”が結果的に自分を守る最大の武器になる。
大阪の中古住宅取引は、地域慣習や物件の複雑さゆえに、
ちょっとした説明不足が大きなトラブルに発展することがあります。
「免責だから安心」ではなく、**「免責が通るような
正確な説明をしたか」**を意識しましょう。
それが、最も安全で信頼される売却の第一歩です。
H2-8:不動産売買でよくある質問(FAQ)
Q1:免責条項があれば完全に責任を免れる?
→ いいえ。
売主が知っていた欠陥を隠した場合は無効です。
Q2:仲介業者が説明を誤ったら?
→ 売主が正確に情報を伝えていれば、
業者の説明責任になります。
Q3:大阪で特に注意すべき物件は?
→ 長屋・連棟・築古・再建築不可物件。
越境や配管トラブルが多いです。
Q4:現状有姿で売れば免責になる?
→ 条件付きで有効ですが、隠していた
事実があると通用しません。
Q5:免責を入れない方がいい場合は?
→ 新築やリフォーム済など、状態に自信がある
物件では信頼性重視が得策です。

