10年間空き家だった雨漏り中の長屋くん。何社に断られても長屋くんが焦らなかった理由とは!?

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大阪の、とある住宅街。

 

そこに5軒が肩を寄せ合って建つ、

古い長屋がありました。

 

そのど真ん中にいるのが、今回の主人公。

 

名前は――。長屋くん。

 

築年数?

 

本人いわく、

「細かいこと気にしたらアカン。

人間かて年齢聞かれたら嫌やろ?」

とのことなので伏せておきます。

 

ただし、ひとつだけ確かなことがあります。

空き家歴、約10年。

 

 

両隣は屋根が新品。ワシだけ古い瓦のまま

 

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5軒長屋なので、当然お隣さんがいます。

 

ある日、右隣が屋根を葺き替えました。

ピカピカです。

 

長屋くん、

「ええなぁ……」

 

しばらくすると左隣も葺き替え。

そのまた隣も。

気がつけば、周りはみんなきれいな屋根。

 

自分だけ古い瓦。

 

「お前もか……」

「お前までやったんか……」

 

そして雨の日。

 

ポタッ。……ポタッ。…………ポタッ。

「うん。知ってる。ワシ、雨漏りしてる。」

 

10年間空き家です。

誰もバケツすら置いてくれません。

 

それでも長屋くんは、

じっと誰かが来るのを待っていました。

 

ついに不動産会社がやって来た!

 

 

ある日、玄関がガラガラッ。

 

不動産会社がやって来ました。

長屋くん、ちょっと緊張します。

 

「おっ。ついにワシも売りに出されるんか」

 

営業マンは室内を見ます。

天井を見る。床を見る。屋根を見る。腕を組む。

 

そして一言。

「うーん……50万円ですかね」

……。

 

玄関が閉まる。

長屋くん、

「…………ワシ、50万円なん?」

 

まあいい。

査定なんて会社によって違う。

 

次の会社が来ました。

 

今度の営業マンも、あっちを見て、こっちを見て、

「頑張って……70万円が天井ですかね」

 

長屋くん、

「おおっ!20万円上がった!」

なぜか喜んでいます。

 

しかし、100万円を超える査定をする会社は現れません。

 

むしろ、断られる方が多い。

 

そして、とうとう強烈な一社が現れました。

「これだったら……」

 

長屋くん、聞き耳を立てます。

「お金もらわんと引き取れませんね」

 

 

……。

…………。

 

 

長屋くん、

「ワシ、とうとうマイナスなったん?」

 

 

それでも長屋くんは焦らない

 

 

普通なら心が折れます。

 

50万円。

70万円。

 

買取不可。

 

挙げ句の果てには、

「お金をもらわないと引き取れない」です。

 

しかし、長屋くんは妙に落ち着いていました。

「まあ、ええねん」

 

雨漏りしながら、そう言います。

「ワシの良さが分かる人に買ってもらったら、

それでええねん」

 

強がりなのか。

本当に自信があるのか。

 

誰にも分かりません。

 

でも長屋くんは、10年間ずっとここにいました。

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昔は人が暮らしていた。

 

玄関が開く音がした。

台所からご飯の匂いもした。

 

夜になれば灯りがついた。

 

でも今は誰もいない。

 

雨の日には、ただ雨音だけがする。

ポタッ。

ポタッ。

 

「……また誰か住んでくれたらええな」

 

長屋くん、

本当はちょっと寂しかったのかもしれません。

 

ある日、一人の女性がやって来た

 

 

そんなある日。

また玄関が開きました。

 

ガラガラッ。

「また不動産屋さんか……」

長屋くんは、もう期待していません。

 

ところが今回は、

不動産会社の人だけではありません。

一人の主婦が一緒です。

 

長屋くん、

「内覧か。まあ、好きに見てや」

 

女性が玄関から入ります。

 

古い室内を見る。壁を見る。間取りを見る。

 

そして――。

「うわっ!メッチャ好みやわ!」

 

……。

長屋くん、「え?」聞き間違いか?

 

これまで散々、「古い」「雨漏り」「厳しい」

と言われ続けてきた。

 

なのに、この人。「メッチャ好み」言うた?

 

 

「雨漏り?こんなん全然問題ないわ!」

 

 

 

女性はどんどん奥へ進みます。

 

長屋くん、急に緊張してきました。

「いや、ちょっと待って」

「そっちはあんまり見ん方が……」

 

女性が天井を見上げます。

雨漏りの跡。

 

長屋くん、

「あぁぁぁ……そこ見つかった……」

 

ところが女性。

「雨漏り?こんなん全然問題ないわ!」

……。

 

長屋くん、

「…………え?」

 

「直したらええやん」

 

長屋くん、「…………この人や。」

 

10年間。

やっと現れました。

 

自分の古い瓦を見ても逃げない人。

雨漏りを見ても驚かない人。

 

ところが、この主婦。ただ者ではなかった

 

 

 

実はこの女性。

 

普通の住宅購入者ではありません。

長屋を中心に賃貸経営をしている大家さん。

 

しかも――。

すでに約30軒所有。

 

そして、それらを賃貸に出し、

満室で運営しているという強者です。

 

目標を聞けば、「50軒!」

 

まだ買うんかい。

 

長屋くんも驚きます。

「奥さん……ワシみたいなん、

あと29軒も持ってるん?」

 

いや、それどころか20軒増やす気です。

でも、だからこそ彼女には見えていました。

 

普通の人が、「ボロボロやん」

と見るところを、「直せるやん」と見る。

 

「雨漏りしてる」ではなく、

「屋根直したらええやん」と考える。

 

古い長屋を再生して活用する事例は実際に大阪にもあり、

大阪市も空き家だった5軒長屋を修景し、

賃貸などへ再生した事例を紹介しています。

 

 

そして運命のひと言

 

 

 

女性が不動産会社に聞きました。

「これ、いくら?」

 

長屋くん、

「来た……」

 

これまでの査定額が頭をよぎります。

 

50万円。

70万円。

マイナス査定まであった。

 

そして不動産会社から価格を聞いた女性が言います。

 

「えっ!150万円なら買えるん?」

……。

…………。

 

長屋くん、

「買えるん!?やなくて、買ってくれるん!?」

 

人生――いや、家生最大の衝撃です。

100万円に届く査定すらなかった自分。

 

10年間空き家。雨漏り中。5軒長屋の真ん中。

 

周りは屋根を直してもらったのに、自分だけ古い瓦。

 

そんな自分を見て、

「メッチャ好み」と言ってくれる人が現れた。

 

長屋くんから出ているオーラは、もう隠せません。

「ワシ、この人に買ってほしい!」

 

不動産の価値って、誰が決めるんやろ?

 

 

 

ここだけ少し真面目な話をしましょう。

 

不動産の価値は、必ずしも一つではありません。

 

一般の住宅購入者から見れば、

「雨漏りしている古い長屋」かもしれません。

 

ある不動産会社から見れば、

「買取が難しい物件」かもしれない。

 

でも古い長屋を何軒も再生し、

賃貸経営してきた人から見れば、

「直して貸せる物件」に見えることがあります。

 

実際、大阪では古い長屋を改修して賃貸住宅や店舗など

として活用する取り組みがあります。

 

大阪市も、長屋を含む古家についてDIY型賃貸などの

活用方法を案内しています。

 

だから、

「査定が安かった」「一社に断られた」

それだけで、その不動産に価値がないと

決まるわけではありません。

 

物件と買い手にも、相性がある。

 

人間と一緒なのかもしれません。

 

長屋くん、10年間待った甲斐あったな

 

 

10年間。

誰も住んでくれなかった。

 

何社もの不動産会社に見てもらった。

 

50万円と言われた。

70万円と言われた。

お金をもらわないと引き取れないとまで言われた。

 

それでも長屋くんは言っていました。

「ワシの良さが分かる人に買ってもらったらええねん」

 

そして本当に現れました。

 

「古いから嫌」ではなく、

「古いから面白い」と思ってくれる人。

 

「雨漏りしてるから無理」ではなく、

「直したらええやん」と言ってくれる人。

 

人間も家も、誰かに必要とされなくなったからといって、

価値までなくなるわけではないのかもしれません。

 

見る人が変われば、欠点だと思っていたところまで、

「そこがええねん」と言ってくれる人がいる。

 

長屋くん。

空き家歴10年。

 

ようやく自分を分かってくれる大家さんと出会えました。

 

よかったな。

 

長屋くんも、きっと心の中で泣いているでしょう。

……。

 

ポタッ。……ポタッ。

 

いや。

それ涙ちゃう。雨漏りや。

 

大家さん、屋根だけはほんま早よ直したってや!

 

不動産売買等でのよくある質問

 

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雨漏りしている長屋でも売却できますか?

 

売却できる可能性はあります。

 

ただし、建物の状態や土地、接道、

権利関係などによって条件は大きく異なります。

雨漏りなど把握している不具合については、

不動産会社などにきちんと伝えて相談しましょう。

 

何社にも買取を断られたら、もう売れませんか?

 

一社や数社に断られたからといって、

必ず売れないとは限りません。

 

特に長屋や古家は、不動産会社によって

得意・不得意があります。

物件の特性に合った会社へ相談することも大切です。

 

長屋を買って賃貸物件として再生することはできますか?

 

実際に大阪でも、古い長屋を改修して

賃貸住宅などとして活用している事例があります。

 

ただし、建物状態や法令上の条件、必要な修繕費などを

確認したうえで判断する必要があります。

 

査定価格は不動産会社によって違うものですか?

 

査定方法や想定する売却方法などによって

差が出ることがあります。

特に一般的な中古住宅として扱いにくい長屋や古家では、

複数社へ相談して比較する意味があります。

 

ボロボロの長屋は直してから売った方がいいですか?

 

必ずしもそうとは限りません。

 

修繕費をかけても、その費用分だけ

高く売れるとは限らないからです。

現状のまま売却する方法も含め、

工事を始める前に不動産会社などへ相談するとよいでしょう。

 

 

 

 

筆者松本 親幸
  • 不動産キャリア29年
  • 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
  • 宅地建物取引士
個人的には今までの不動産業経歴において1,500件超のお取引に関わっております。
どんな物件買取もお任せ下さい!

若い時にはリフォームの仕事も経験済。
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