『外国人は日本で家を買えた。でも税金は誰がどう払う?【後編】~納税管理人制度だけでは解決しない”現場の課題”とは
外国人が日本の不動産を買った後に困ること
前編では、海外在住の外国人が日本で不動産を購入した際に
関わる「納税管理人制度」についてご紹介しました。
制度そのものは決して新しいものではありません。
しかし、実際に外国人のお客様との取引に携わっていると、
「制度があること」と「制度が円滑に機能すること」は、
必ずしも同じではないと感じる場面があります。
今回は、不動産会社として
実際に感じた”現場の課題”についてお話しします。
市役所へ問い合わせて初めて気付いたこと
海外に住むお客様の固定資産税について確認するため、
自治体へ問い合わせをしたことがありました。
私たちは、お客様が日本の税制度を理解し、
安心して不動産を所有できるようサポートしたい
という思いから相談しました。
しかし、返ってきたのは、
「個人情報に関わるため、お答えできません。」
という回答でした。
もちろん、市役所としては当然の対応です。
個人情報を守ることは行政にとって非常に重要な責務であり、
その対応自体に問題があるという話ではありません。
ただ、不動産会社としては、お客様のために
納税管理人の手続きを進めたい、必要な制度を案内したい
という思いがあっても、個人情報保護の壁によって
十分な確認ができない場面があることを実感しました。
制度は存在していても、実際の運用では関係者それぞれに
役割や制限があり、その間に小さな”すれ違い”が
生まれることがあります。
海外へ送られる納税通知書。本当に伝わっているのでしょうか?
自治体へ確認した際には、海外に住む所有者へ
固定資産税の納税通知書を国際郵便で
発送しているケースがあることも伺いました。
これも行政として適切な対応です。
しかし、その話を聞いたとき、一つの疑問が浮かびました。
「日本語で書かれた納税通知書を、
海外に住む購入者が正しく理解できるのだろうか。」
日本で暮らしている私たちにとって当たり前の言葉でも、
海外に住む外国人にとっては初めて目にする内容ばかりです。
納付期限や納付方法、同封されている案内文など、
日本独特の制度を理解することは
決して簡単ではありません。
もちろん、すべての方が困るとは限りません。
翻訳アプリや家族・知人のサポートを受けながら
対応される方もいるでしょう。
それでも、言葉や制度の違いがある以上、
「通知を送ること」と「内容が伝わること」は
別の課題だと感じます。
納税管理人は、安心して所有するための大切な仕組み
こうした背景があるからこそ、
納税管理人制度はとても重要です。
当社でも、中国本土や台湾など海外在住のお客様から
ご相談をいただく際には、日本国内にお住まいの親族や知人が
いらっしゃる場合、納税管理人制度についてご説明しています。
もちろん、納税管理人は
税金を代わりに支払う人ではありません。
行政からの通知を受け取り、必要な手続きを
円滑に進めるための窓口となる制度です。
しかし、日本国内に頼れる方がいないケースもあります。
その場合は、購入前から税金や各種手続きについて
十分に理解し、必要に応じて税理士などの専門家へ
相談することも大切になるでしょう。
これからは「売る」だけではなく、「購入後」まで見据えたサポートが求められる
外国人による日本の不動産購入は、
今後も一定の需要が続くことが予想されます。
それに伴い、固定資産税や不動産取得税、
納税管理人制度に関する相談も増えていくかもしれません。
その中で、不動産会社に求められる役割も
少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
契約や引渡しだけではなく、
「購入後に必要となる手続き」まで丁寧に案内すること。
行政が制度を整え、不動産会社が分かりやすく伝え、
購入者が安心して日本で不動産を所有できる環境をつくること。
そうした連携が、
これからますます重要になると感じています。
まとめ
外国人でも日本の不動産を購入することはできます。
しかし、本当のスタートは
契約が終わったその日からです。
不動産取得税や固定資産税、納税管理人制度など、
日本ならではの仕組みを理解しながら
所有していく必要があります。
私たちも現場で多くの取引を経験する中で、
「制度があること」と「制度が十分に伝わっていること」は
別の問題だと感じる場面がありました。
だからこそ、これからは契約だけで終わらないサポートが、
より重要になっていくのではないでしょうか。
外国人のお客様が安心して日本で不動産を所有できるように。
そして行政・購入者・不動産会社が
それぞれの立場で協力し、制度を正しく活用できる環境が
広がっていくことを期待しています。
実務上でも、「国内連絡人がおらへん」という
海外在住の外国人買主は珍しくありません。
2024年4月から、海外に住所がある人が日本の不動産の所有権登記を
する場合は、原則として国内連絡先(国内連絡人)の情報を
登記申請時に提供することになりました。
国内連絡先は個人でも法人でもよく、
不動産会社や司法書士などがなることも想定されています。
ただ、実務上は少し事情があります。
法務省も、**「国内連絡先となる者がないときは、
その旨を申請情報とすることもできます」**と案内しています。
つまり、「国内連絡人がいない」という
申請自体は制度上、今のところ認められています。
- 不動産キャリア29年
- 株式会社フォローウィンドコーポレーション代表取締役
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